神山弘毅は、あまりの暑さにうなだれていた。 「くそ……死ぬ…」 場所はコンビニ―ではなく、個人経営の小さな酒屋。 弘毅は店に一つしかないレジにつっぷしていた。店内には彼一人の姿しかない。 「あの駄目人間、仕事押し付けやがって…」 二十歳を迎えたばかりの弘毅は、つい最近この酒屋の近くで一人暮しを始めた。 酒屋の店主は弘毅の叔父。近くに越してきたので、今日はわざわざ挨拶に来たのである。 だが叔父は弘毅の顔を見るなり、挨拶もそこそこに 「ところで、レジ任されてくれないかな」と、弘毅に店番を押し付けて出掛けてしまった。 店の奥の居住スペースにだけはクーラーがあるが、店に一人しかいない以上は場を離れる訳にもいかない。 「つーか、こりゃ拷問だな」 今は八月、夏まっさかり。じっとしていても汗が滴り落ちる。 せめて客でもいればまだやりがいがあったかもしれないが、それも前述の通りである。 「アイスとか、勝手に食ったらマズいかな…」 店番を始めて二時間が経過しても、一人の客もこなかった。 弘毅が商品に手をつけていいものか迷っていると、入口の方からカララ…という音が聞こえた。 (そういや、手動なんだよな…)弘毅がドアに目を向けると、店に入っきたのは一人の少女だった。 水色のワンピースに、花飾りのついたサンダル。 長い髪はゴムでポニーテイルに纏めてある。左手には手提げ鞄。 (中々可愛いじゃないか…ちと子ども過ぎるけど) それが少女に対する弘毅の感想だった。 弘毅は結構なロリ属性だったが、少女はぱっと見でせいぜい小3・4といったところ。 (しゃがんでパンツでも見れたら、運がいいんだけどなぁ) 弘毅は特にすることもないので、商品を眺める少女を見ていた。 「ん…?」 少しばかり、少女の行動が気にかかった。 少女は商品を手に取っては、すぐに戻すのを繰り返している。 それに、チラチラこちらを窺っているようにも見える。