「んっ!?ぃや…やめて!くすぐったいってばぁ!」
左腕に夏美、右腕に真奈。左足には美保、右足には遥。
四人は自分の座った部位を中心に毛先を走らせる。
「動かないでよ〜」
「班長、お掃除大スキでしょ?」
サラサラと肌を滑る計八本もの筆は、玲奈に声なき悲鳴をあげさせる。
筆によって与えられる刺激は笑い転げる程のものではない。
しかし、くしゃみが出そうなのに出てくれない時のもどかしさ…
それをくすぐったさに置き換えたような歯がゆさが、玲奈の体と精神を苛んでいた。
「こっちもキレイにしてあげないと」
「ここもやってあげるー!」
全身を適当に這い回っていた筆が、限定された範囲に集中しはじめる。
腕をなぞっていた筆は腋へと滑り降り、毛先で窪みをつつきまわす。
一方足に跨っている二人は、玲奈の下腹に狙いを定めた。
四人は何度も筆を持ちかえては彼女の反応を楽しむ。
「ぁはっ…も、やだってば……ぅひゃっ!あ…んっ!」
「あー、分かっちゃった。班長、この筆に弱いんだ」
小学生が実際に使う機会があるのだろうか?
夏美が持っている筆の柄は太く、その細い毛は持ち主の手のひらを覆い隠せる程に多く、長い。
「どの筆ー?」
「これこれ」
夏美は同じ筆を真奈に手渡した。
「やめ…ぅひっ!はぁあぁっ!」
無数の毛が玲奈の両腋を包み込む。
玲奈は必死で身をよじるが、そんな僅かな動きには擦れる力を強める効果しかなかった。
身を震わせてしまう度に周りの毛が肌を舐め、新しい刺激が生まれる。
「あは、楽しい〜。そっちはちゃんとやってる?」
真奈が、下半身側の二人に声をかける。
「あたし達みたいにちゃんとやりなよー」
夏美もそう続けた。
玲奈を身悶えさせることに成功し、二人は得意になっているようだ。
「私たちだってやってるよね、美保ちゃん」
「うん。でも…」
美保と遥の筆も十分に効いてはいるのだが、腋ほどに分かりやすいリアクションが返ってこない。
それが不満で、二人はより筆の動きを速める。
「あ。ここ、効いてるかも…」
やがて美保が目をつけたのは、縦長で形の綺麗なおへそだった。
試しに指でちょんとつつくと、玲奈の腰がピクッと震える。
「おへそ弱いんだ?隠してちゃダメだよ」
「何がダメ…っ!や、そんなのっ!」
二人はようやく見つけた弱点に筆を集中させた。
「遥ちゃん。ちょっとやりにくいからこうしない?」
「あ、それ頭いい〜」
美保は左手の指で、玲奈のお腹の肉を外側に引っ張った。
そうしておへその穴を広げるようにしながら、二人で筆の毛先を潜りこませる。
筆は一本減ってしまったが、それを補ってあまりある効果があったようだ。
特に遥は小筆の扱いが上手く、一つ一つの皺の隙間まで見逃さない。
玲奈は穴の内側を丹念になぞられ、いいようのない感覚に鳥肌がたつ。
「腋もおへそも、両方へっこんでるもんね。丁寧に掃除してあげないと」
「そろそろキレイになったかなぁ?」
小学五年生とはいえ、玲奈も女の子だ。
毎日きちんと洗っているので、その二箇所も最初から十分清潔に保たれていた。
早い話が、四人は単に玲奈の体で遊んでいるだけなのである。
「は…ぁっ……お願い…だから、やめえぇっ!!」
縦横無尽に這いまわる筆は、玲奈の体にたまらないくすぐったさとむず痒さを与えた。
その刺激は彼女の体の奥まで染み込み、さらに肌を過敏にさせていく。
そして、それから何分が経っただろうか。
四人が疲れて手を休めると、玲奈はぐったりと動かなくなった。
ただし呼吸は荒くなり、胸は激しく上下している。
「はぁ……はっ…」
見れば顔も紅潮し、まるで運動をした後のようだ。
「どう?キレイになった?」
「ぁ…と…」
「なに?」
「あとで…」
玲奈は息を整えながら、何とかそれを言い切った。
「あとで、覚えてなさいよっ!」
もし正常な思考力が働いていたなら、思っても口に出さなかっただろう。
その台詞が四人をさらに挑発してしまうことが、簡単に予想できただろうから。
案の定、少女たちは一瞬の沈黙の後に悪戯っぽい笑みを浮かべた。


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