時刻は午後六時、場所は僕んち二階の僕の部屋。 
僕はドクロちゃんと向かい合って座っていました。今からお説教なのです。 
「ドクロちゃん。ドクロちゃんはね、とーってもいけないコトをしちゃったんだよ?」 
「ふーん」 
「ふーんじゃないでしょ!何でそんな他人事みたいな反応するのかなこの天使は!!」 
僕はたまらなくやりきれない気持ちになりますが、彼女はそんなことなど微塵も意に介さないのです。 
本当に、少しは人の(主に僕の)迷惑というものを考えて欲しいです。 
全く…あんな事をしておいて。 
「あの時、図書室には宮本とちえりちゃんがいたよね」 
仕方なく、僕は一から説明することにしました。 
「知ってるよ。何かうつむいちゃってたけど」 
「うん。二人はね…」 
意を決して、言いました。ええ、言ってやりましたとも。 
「キスするところだったんだよ」 
「き……」 
ドクロちゃんは真っ赤になり、石像のように硬直してしまいました。 
ドクロちゃんはそのダイナマイトなボディに似合わず、かなりの恥ずかしがり屋さんなのです。 
「だからね。それを大きな音を立てて邪魔したり、あんな本でセクハラしちゃ駄目なんだよ?」 
「…」 
ドクロちゃんもさすがに、これにはしゅんとしてしまいました。 
「ま、まぁ、あの二人はこれからまたチャンスがあるんだから、ね。大丈夫だろうとは思うけど」 
ドクロちゃんが黙ってしまったので、僕はすかさず早口でフォローを入れます。 
「これから…」うん? 
「これから…ボクは…」何でしょう。何か言いたそうにしています。 
「だったら、これからボクは誰にこれを読んでもらえばいいの!?」 
ドクロちゃんはどこからか例の本を取り出し(服の背中側に仕込んでいたようです)、僕に突き付けました。 


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