目を覚ますと、僕はベットの上でした。 「まさか…夢オチ?」 布団をめくってみると、ちゃんとパンツもズボンも履いています。 枕もとの時計を見ると、時刻は午後の9時。 ええと……あれ?いまいち脳が上手く回転していません。 あれが夢であろうと何だろうと、午後9時といったら夕飯も終えて お風呂にでも入っている時間です。 これはどういうことなのでしょうか? ―がちゃ。 ドアが開きました。 「さーくーら君っ!目、覚めた?」 「うん…あの、ドクロちゃん。お母さん達は?あと晩御飯とか…」 「今日の朝『二人でお出かけしてくるから、夕飯は二人で適当にすませなさい』 って言ってたの、聞いてなかったの?」 そうでした。二人はいい年して、ディズニーシーにお泊りなのでした。 帰ってくるのは明日になってからの筈です。 「それより桜君、マック買ってきたから早く食べようよ。冷めちゃうよ?それとも…」 とてとてと、ドクロちゃんが僕に近づいてきます。 「さっきの続き、して欲しい?」 「おあああああぁぁぁぁっ!!」 僕はオタケビをあげてベットから跳ね起きました。 ―夢ではなかったようです。 階段を降りながら、僕はドクロちゃんに言いました。 「ドクロちゃん。着替えさせてくれたのはいいけど、ああいうのはもうやめて欲しいなぁ」 「えへへ、ちょっと調子に乗っちゃったかな。でも、気持ちよかったでしょ?」 「まぁ…ね。」「あはは」 僕たちは互いに、ちょっとだけ頬を紅潮させました。 「と、とにかくドクロちゃん!次の機会は僕に同じぐらいのアドバンテージをくれないと 不公平だよね?少なくともエッケルザクスの使用は許可してもらうよ!?」 そうです。今日のお返しとして、僕にだってドクロちゃんを自由にする権利がある筈です。 僕は照れくささを振り払うように言いました。 ですがドクロちゃんは 「…ねぇ。桜君は、ボクのこと、好き?」 と、僕に背を向けたまま、急に質問を投げかけてきました。 え?いきなり何ですか? 僕は戸惑いました。あらたまって訊かれると照れてしまうではないですか。 それでも…僕は正直に答えました。僕達はもう、あんな事をした仲なのですから。 「好きだよ、ドクロちゃん。大好き」 僕がそう答えると、ドクロちゃんは弾けるような笑顔で振り向きました。 「ボクも大好きだよ、桜君! だから、今度は…うん。桜君の、好きにしていいよ」 僕たちは触れるだけの、軽いキスをして。 仲良く、ハンバーガーの匂いの漂うリビングに足を踏み入れました。