「「…ふぅ」」 なんとか間に合った。時間が遅いからかなり混んでいる。 けど、今日に限っては好都合だ。 とりあえず、周りに迷惑にもなる鞄は足の間に置くことにした。 「混んでるねぇ」 「ま、仕方ないよ」 少しすると、電車はますます混んでくる。 移動は難しいけど、私はさりげなく茜の背後に陣取った。 身長にかなり差があるから、私たちは大人たちの視界にほとんど入ってないと思う。 さて…そろそろいいかな。 私はそっと肘から先だけを動かすようにして、茜の足に手を伸ばした。 昨日の一件があるからすぐに反応するはず。 何度か足に触れると、茜はすぐに振り向いてきた。 「っ!?」 触ってるのが私だと気づいて、茜が息を飲んだ。 驚くのは当たり前だけど、茜は大きな目をさらに見開いている。 目があったのでちょっと笑いかけてみると、茜は慌てたように前を向いてしまった。 まぁ、そりゃあビビるよね。 きっとテンパってるだろうから(私が酔ったときのことを覚えてないと思ってるだろうし)、分からせてあげよう。 私は茜の耳に口を近づけた。 さて、声の大きさに気をつけて… 「茜。昨日の寝る前の、覚えてるよね」 そう囁くと、茜はビクッと肩を震わせた。 「『興味もないし、こういうのでエッチな気分にもならない』って言ってたよね?」 そう続けてもピンとこないようだ。 頭はいい筈なのに、子どもっぽい上に天然だからなぁ。 背中側の私に向かって喋ったら周りに声が聞こえちゃうから、茜は何も言い返してはこない。 けど、どんなことを考えてるかは大体想像できる。 「昨日の話だと、私だけやらしいみたいで嫌だからね。 茜が本当にエッチな気分にならないのか、確かめさせてもらうよ」 ここまで分かりやすく説明してやると、ようやく事態が把握できたようだ。 『お昼にDVD見ながら〜』のくだりは訊かれもせずに喋ったことだけど、 お酒を飲ませてきたのは茜のお父さんなわけだし。 というかぶっちゃけた話、前々からこの潔癖気味な幼なじみにちょっかいを出してみたかったのだ。 成長具合も気になるしね。 右手でスカートごしに足を撫で回してみると、茜は黙ってうつむいてしまった。 きっと周りにバレるのを心配してるんだろう。 「大人しいじゃん。もしかして期待してる?」 そう言いつつ、手の位置を少し上に持っていく。 んー…茜、太股にもそれなりに女の子らしさが出てきてる。 「私だから、触られるのは平気だよね」 昨日だってお風呂で洗いっことかしてるんだし。 少なくとも今のところは、単純に恥ずかしいってだけだろう。 調子にのってべたべた触っていると、唐突に手の動きを妨げられた。 見れば、茜が私の手を上から押さえている。 「おっ…?」 さすがに抵抗してくるか。力は弱いけど、あんまり動いて周りにバレると困るしなぁ。 私がどうしようかと迷っていると、電車が大きく揺れた。 毎日乗ってるから私には予想できていたけど、動揺している茜は反応が遅れた。 転ぶ!?ならさすがに助けないと…っと、セーフ。 上に伸ばした手が運良く吊革にかかって、茜は何とか踏みとどまった。 よくよく見れば、私にとってもかなりラッキーなのでは? 茜は前かがみになって私に向かってお尻を突き出しているような姿勢。 おまけに両手もふさがっていると。 これはつまり…触り放題。 私は頭を前に倒し、再び茜の耳元で囁く。 「残念でした。せっかく頑張ってたのにね」 そしてお待ちかねの…というか、ある意味一番王道な場所に手を伸ばした。 「やっぱり、痴漢っていったらここだよね」 お尻に人さし指をあてると、茜は一瞬大きく震えた。 そのまま指を動かすと、くすぐったがるように腰がもじもじと動く。 そのいかにもな反応がなんだか面白くて、つい口元がゆるんだ。 うーん…痴漢の気持ちも分かるような気も。もし私が男にやられたら、絶対に許さないけど。