時計の秒針は1周どころか、とっくに2周は回っていた。 しかし、混乱した千佳の頭からは既にそんなルールは消え去っていた。 「麻美。もう満足したでしょ?」 「はいはい。じゃ、そろそろ終わりにするね」 麻美は人さし指と中指の間に乳首を挟み、そのまま手の平全体で胸を揉みだす。 汗の染み込んだ白いシャツは体に張り付き、肌の色まで僅かに透けて見える。 「んぁっ!…ひっ…ぁ…あぁぁっ!」 「千佳ちゃん、『あ』ばっかり。もう限界みたいだね」 麻美がとどめとばかりに指をフル稼動させ、左右の胸を激しく揉みこむ。 「うぁっ!あ…あっ…あぁっ!…も…ダメぇぇぇ!!」 数分間の必死の我慢も空しく、ついに千佳は屈してしまった。 無我夢中で手を降ろし、麻美の腕を掴んでばっと胸から離す。 「千佳、ざんね〜ん。揉まれ損になっちゃったね」 「はぁっ……はぁっ……」 胸を押さえて息を荒げている千佳の耳には、由美のそんな言葉も入ってこない。 「…返事しないんなら、電気あんま始めちゃうよ」 「ぇ…あ、え!?待って!待ってよ!!」 火照った体も冷めない内に由美の利き足での電気あんまをされたら、どうなってしまうか分からない。 「お願い。ちょっとでいいから、休ませてよぉ…」 疲れきった千佳の声に、由美はしょうがないなぁ…という顔をする。 「分かったよ。それじゃ、休憩タイムにしよっか」 由美は千佳の足を離し、ベッドから降りる。 「あー、飲物の氷溶けちゃってる」 麻美と千佳もベッドから降り、三人はトレイを囲んで絨毯に座る。 少し薄まったジュースを飲んでいるうちに、やっと三人のいつも通りの空気が戻ってくる。 会話の内容はともかく、何十分ぶりの穏やかなムードだ。 「ね、千佳。その胸さ…牛乳とか飲んでるの?」 思春期の女の子としては、胸というのは当然気になるポイントである。 「飲んでるけど、胸のためじゃないよ。運動のため」 千佳は視線を気にするように、肌にくっついたシャツをはがす。 「それより、さ。これから…電気あんまする訳でしょ?」 「もち」 既に千佳自身と約束が交わされたからこそ(半ば無理矢理だが)、 三人はこうしてリラックスして休憩しているのだから。 「今更やめてなんて駄目だよ」 「ううん。それはもう、しょうがないとして。それとは別に、一つお願いしてもいいかな?」 オレンジジュースをズズッと飲み干し、由美が「お願いって、どんな?」と話の先を促す。