2000年のJ-POPベスト6

歌手名曲名
傳田真央耳もとにいるよ…~Ring the Bells~
宇多田ヒカルFOR YOU
Catch-Up6月
DMBQBoom-run Rock
BLANKY JET CITYSATURDAY NIGHT
MUROBOHEMIAN


※順番はミュージシャンの名前順で評価の高低とは関係ありません。ただし傳田真央さんは異例の早い時期に確定したので一番上に表示します。

かなり好きなのにあえて選ばなかったもの(works qualified but not selected)

蛍「カゼドケイ」
MANGAHEAD「目のまえのつづき」
中島みゆき「地上の星」
Sugar Soul「respect yourself」
Fayray「MY EYES」


各作品の感想

傳田真央「耳もとにいるよ…~Ring the Bells~」

 ウタダの次はデンダなのか(笑)。まあ、そんなことはどうでもいいでしょう。
「ディーヴァと言われる人がたくさんいるけどディーヴァなんだから歌がうまいのはあたりまえで、まおはエンターテイメントとしての全体的な完成度を追及したい」と語る傳田さんですが、この言葉を聴くとメジャーデビュー曲「耳もとにいるよ…」のてらいのないキャッチーさを客観的にも理解できるわけです。
 とにかくこの人、濃いです(笑)。この歌の真の聴きどころは「♪だんだんあつくなってぇぇぇ~」の「ぇぇぇ~」ではないでしょうか。
 また、上の傳田さんの発言に関して言うと、私のようにR&Bの文脈とやらに疎い人間でも問答無用で楽しめるウェルメイド・ポップスとしてこのような完成度の高い歌とグルーブをこれからも追及してもらいたいなと思っています。
 なにより率直に言ってわたしはこの人の声は非常に好きです。クリスタルとホワイトノイズとでもいいましょうか、系統の違う音色を重ねたようなうまみのある声です。一つの声としてしっかりした統一感があるうえに、音域や言葉によってきれいな分離も見せてくれます。そしてその声を自分自身よく研究していて「効かせ方」を知っているなと思います。

 どんどこ売れてほしいです。




 さてさて、2月25日にミュージック・ステーションに出演した傳田真央を見た(この番組を見るのは宇多田ヒカル以来だった)けど、WWWサイトで見ていた写真とは別人だったぞ!(笑)。まあ、それはともかく、いくら構成が単純で繰り返しが多い歌とはいえ、たったの2分で終わりとは驚きました。「だんだんあつくなってぇぇ~」までいくか、どころじゃなかった。傳田真央は一番手として歌ったのだが、番組の半ばでこの日の放送を最後にスタジオが変わることに因んだ回顧を時間を割いてやっていたので余計にぇぇ~をどうしてくれるんだと思ったわけなんだ。まあ、それもともかく、どうして傳田さんはこどばぁ~すぐなぐで...と来日中国人風の発音になるんだろう(^-^;。(2000.4.17)





Sugar Soul「respect yourself」

 Sugar Soulの歌声はひび割れていく大地を思わせる。少しぱさぱさした感じがある。わたしの好みと少し離れている。仰々しいと感じてしまう歌詞も好きではなかった。ただこの歌は歌詞の大仰さが抑えられていてまずそこが気に入った。そして彼女の歌声の特性を際立たせるみずみずしいアコースティックギターとの掛け合いが美しい。リズムパターンもかっこいい。ビデオでウルトラマンの変身シーンのようにフラッシュしている部分(呼び起こせ奇跡を~)がなければベストに入れていただろう。ただ2004年の今はこの部分がとても切実に聞こえる。一つの歌は時代によって違った光りを放つものである。(2004.11.28)



選考のための備忘録

DMBQ「Boom-run Rock」
Sugar Soul「respect yourself」
Fayray「MY EYES」
LOVE PSYCHEDELICO「Lady Madonna―憂鬱なるスパイダー」
Catch-Up「6月」(<『アージ』)
SOUL SCREAM feat.RINO「HIP HOP 2 ZERO 00」
美結(Miyui)「宝箱の中の老人」
MOTOCOMPO「TAKE ME TO YOUR PARTY」
MANGAHEAD「目のまえのつづき」
Estrella20/20「PHONE CALL@4AM」
Mari Mari rhythmkiller machinegun「TTAGGG」
BOaT「狂言メッセージ」
hiro:n「Blood Type AB-Lover」 (8.4)
DUE TESS PARLOUR(曲目はいろいろ)(8.21)
「カゼドケイ」(9.3)
DJ HASEBE「MASTER MIND」
MURO「BOHEMIAN」(9.8)
TICA「FREE」(11.11)
SUPER BUTTER DOG「Rainyway」(11.28)

・()内はここにメモした日付



ラジオをほとんど聴かなくなったのでソースが不足している。最近TVK「S.Presso」という番組に頼り切りだが、今年は当たり年ではないかと思えるほど面白いものが多い。

Catch-Up「6月」

 Catch-Up! 「6月」! 彼女らはすばらしい。必ずくるぞ、くるぞ......太鼓判ぽっこり
 (テレビ「優香のミュージック・プレミアム」で1曲だけ3分ばかし見ただけなのにここまで言うか)
 今日地元のタワー・レコーズへ行ったところCatch-Upはインディーズの棚の中に仕切板が用意されていたものの品物は一つもなかった。それで次に機械で検索したところ2枚目のアルバム『アージ』(INPARTMAINT, MJIP-7002, \2300)が登録されていたので商品情報を印刷して持ち帰った。画面ではアルバム収録曲のタイトルまで見られ、「6月」も入っていた。アルバム自体は2000.3.9に発売されている。「6月」はおそらく昨年出たシングルなのだろうが、このアルバムに入っているので今年のベスト[1-9]に入れることは可能だ。今度はVirgin Mega Storeが開いている日に行ってみよう。
 来るぞ来るぞ......(2000.5.17)


宇多田ヒカル「Wait&See~リスク~」

 この歌をベスト[1..9]に入れることはありません(笑)。ではなぜここにメモするのか。それはこの歌がなんとなくムーンライダーズっぽく聞こえるからです(^-^;とくにサビの部分はおじさんライダーズがユニゾンを決めそうで笑ってしまいます(鈴木慶一のうーべいびーうぇいとあんしーに続いてメンバー全員のコーラス)。宇多田ヒカル with ムーンライダーズというのもいいかもしれないぞ。(2000.6.18)

 先日「物は壊れる人は死ぬ 三つ数えて目をつぶれ」「くれない埠頭」のカバーを想像してみたのですが、やはり見事にはまりました。「プラトーの日々」だと物議を醸すでしょうね(笑)。(2001.2.2)

宇多田ヒカル「FOR YOU」

 この歌をベスト[1..9]に入れる可能性はひじょーに高いです(笑)。これはほんとに珍しい歌。こんなに方向が多角的な歌が流行歌として成立しているなんて驚きだ。それとも、流行歌手の流行歌だからなのか? よくわからないけど、言葉がグルービーにどんどん流れていくと同時に底にざらざらしたまま積もってゆくフィーリングと歌についての歌=メタソングとしての意味が歌になっていることに驚く。普通歌うことの意味を歌うと歌にはならないんだ。さすがウタダ先生だ!。今夜1年振りに「ミュージックステーション」で見たんだけど、この人はこの世界にはあまり向いていないんじゃないか、という印象とこれこそ歌というべき歌だろと思わせてくれる歌いっぷりの両方にいろいろ考えさせられるところがさらに強まっていた。「一人じゃ孤独を感じられない」という逆説は誰もが直感できるだろう。しかしそのことを流行歌にできる資質はほとんどの人に備わっていない。宇多田ヒカルは「真に葛藤できる」本物のアーティストということだ。
 「R&Bってリズム音がでかいほどせつなさが増すんだよね」というウタダセンセエの言葉(たしか『bounce』誌で読んだ)は心にメモさせてもらってますが、この歌はそれ以上だ。

 しかしまあ、「Time Will Tell」を入れなかったぐらいなのに今年この歌で宇多田ヒカルをベストXに入れるというのはわたしらしいのかな。(2000.6.23深夜)

Estrella20/20「PHONE CALL@4AM」

 乾いてますなぁ(笑)。
 ビデオの途中でくるくる回りながら手前に迫るのはジャガーかパンサーかメスのライオンか、私へのサービスか(冗)。笑いが生じるほどぎくしゃくしていていい!。意味がわからないバンド名、歌のタイトル、ビデオのアニメと実写部分の作り込み具合、イントロから受けた印象と本編の演奏、ぜ~んぶ不調和。Cracking Punk! 部室ロック! 琴線に触れた。♪あのかのじょ!げんきかな? どうでもいいけどっ! いうなればクラブパンク。(2000.7.9)

 ファンキーソウルへの道を汗をかかずに、というか汗は出るけど滴りはしないルートで登った感じということで、ハイロウズの「ミサイルマン」と対比できる。からっとしていてこれはこれなりに笑えて楽しい。(2000.7.20)



宇多田ヒカル「タイム・リミット」

 この歌はサビのメロディーが好みのタイプじゃない。
 ほんじゃあ、なしてここに書くの? それはね、「この曲の雰囲気って例えるなら凝固剤が多い(?)表面つるっつるっタイプのヨーグルトだなあ」などと思っていたら雪印のミスコンダクトが不幸な形で露見しちゃって、そのせいでこの事件のことを歌っているとしか思えなくなってしまったからなんだよ。

 ♪賞味期限の過ぎた後の牛乳の味は苦めですか~
 ♪骨太じゃないままオトナになったっていいじゃないか~
 ♪タイム・リミットに怯えているようじゃ儲けが出ないよ~

 おーべいびー、なんて社会派なんだ、さすがコロンビア大学だね!
 こんなに批判精神が溢れた歌を誇り高く売りまくる東芝EMIは偉い!さすが「Exciting Musician’s Initiative=はらはらさせる音楽家の主導権」を社名にしているだけある(^-^;
 ムーンライダーズも『最後の晩餐』の「はい!はい!はい!はい!」で"神がいる国だから国民はいないやいやい"と歌って問題なかったしねえ。
 今なら「放射能はいらねえ 牛乳飲みて~」もOKだっしょ?(2000.7.11)

hiro:n「Blood Type AB-Lover」

 小沢健二がやっていたような明るくて楽しいうきうきソウルですが、サウンド以上に歌詞の世界がかなり舞い上がっています。なにしろ「♪ママのお腹の中にいるときからB型のきみを好きになることわかってたの」です(^_^;。私はB型なのでよけいに笑えるというか、聴いていてくすぐったいです。(歌詞はatlastのサイトで見られたんだけど、今は「ピーチ」になってる→さらに「マーガレット」)
 こんな書き方をすると、あんたはEstrella20/20「PHONE CALL@4AM」と同じ感覚でこの歌を気に入っているのか?なんて言われそうなんで、きっぱり明言したいと思いますけど、このhiro:nという人は一言で言うと誠実さが感じられていいです。温度感があります。それと、くつろいで楽しそうに歌っているんですけどそれが雑な感じになっていません。歌声の端まで思いが行き届いています。

 そしてとても気になることが一つ。レコード会社のページに[最近感動したこと]として「親友“PON”のアメリカ旅立ち」とありました。彼女は北海道出身です。このPONは「BlueStar」のPONなんでしょうか。もしそうならとてもうれしいです。この二人が親友だとしたら、それはその音楽作品を聴いただけで納得できます。温もりがあるんです。ぽこらしいわけです(^^;
(hiro:nの公式プロフィールにある高校時代友人と組んだアカペラユニットというのは、高校三年生の時にPONと共に組んでいたヒロポンというユニットのようです。そしてシングル「マーガレット」に収録された「Precious Song」はPONへの思いを歌ったものだそうです。 2001.4.30)

 それから余計なことかもしれませんが、リカーショップで撮影されたビデオ(変といえば変)で見る限り、この人のお顔はちょっと優香風です(笑)。(2000.8.5)

hiro:nのパーソナルページ

MURO「BOHEMIAN」

 ムロか。こいつはいい。無論おれは専門家じゃないけど。ストリート・タフネス=つまらない自己主張をさらにせせこましく詰め込んだ暗い箱の置き場所を失ってしまった近未来の太陽の下で"Hand-madeなリズムで証明"(MURO)しててくれ。何を証明するのか海に見えたのか。傾いた帆船。潮が満ちればまたどこかを目指すのだろうか。目指さなければいけない時代は終わってしまったんじゃないのか。太陽の下で会おう。無論おれは実践家じゃないけど。ピアニストが一人いるべきだろう。ライムとピアノが風に流されリズムも揺らめき、そんな場所でこそ聴きたいものだ。無論おれは専門家じゃないけど。(2000.9.9)

 ムロか。こいつはもろにいい。



ホフディラン「長い秘密」

 歌はぴんとこないけど、ビデオが最高! 笑いのセンスが私好み。MOOV(一番おもろい音楽ビデオ(^_^))確定!
 この歌でボーカルを務める小宮山雄飛がレコーディング中に弾き間違いしたベース奏者を目から発射する光線で"I kill you for the music"してしまいます。被害者はこれにとどまらず、ギタリスト、ドラマー、エンジニア....と次々に倒れていくのです! その惨劇の展開が実に淡々としているので、殺人ミュージシャンの短絡ぶりがよけいに笑えます。このビデオのおかしさはもしかしたらKRAFTWERKのテクノサウンドの淡々とした進行の中で醸し出される聴き応えに通じるものがあるかもしれません(?)。(2000.10.23)

サカノウエヨースケ「SUPER DRIVE」

あがた森魚氏が30年後に生まれて、近頃デビューしたらこんな感じの若者になるのだったりして、などと思いました。それだけです。(2001.2.21)






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