1998年のJ-POPベスト5

歌手名曲名
ACOやわらかい肌
小島麻由美真夜中のパーティー
佐藤聖子エメラルド
Puffy愛のしるし
吉沢梨絵サヨナラはくちぐせ


※あいうえお順です


各作品の感想


 ACOは最もエレガントな歌謡曲シンガー。「やわらかい肌」は究極の歌謡曲、お江戸のハウスミュージックまで意識させる。

 小島麻由美は知っている。虚構と現実のなりわいとその一線を……かっこわるくなってしまう寸前にある洗練を……

吉沢梨絵「サヨナラはくちぐせ」

 10年以上経ってしまったので確信を持って言えないけれど、この曲をベスト5に入れたのは1999年に入ってからのことか? 何か別の曲と差し替えたような気もする。
 このベストnは一度決定したら後から変更を加えたことはないのだけど、この曲は珍しい例外だったような気がする。
 なぜ、こんなことになってしまったかというと、この曲を1998年中に聴いていたかどうかあやふやだったから。
 この年のある日、フジテレビの「HEY! HEY! HEY!」をラジオで音だけ聴いているときに、ある女性歌手の歌にものすごく感心したのを覚えている。テレビの歌番組でこんなにすばらしい楽曲、歌唱に出会えるなんてどういうことなんだ!?と思ったのを覚えている。しかし、その時は歌手名と曲名を把握することができなかった。メロディーラインすらしっかり記憶できなかった。ただ、テレビでこんなによい曲が?という驚きだけが胸に残った。
 後に、といっても何年も経ってからではなく、たぶん翌1999年中だと思うけど、吉沢梨絵がこの歌をHEY! HEY! HEY!で歌ったという事実を知り、ああ、あの時びっくりした歌はこれだったんだと思うようになった。

 前置きが長くなってしまったが、この歌は完璧なポップスだと思う。キャピキャピしたかわいくて軽い音とゴリゴリした渋くて重い音とのバランスが絶妙。よい曲を大きく二つに分けると、聴き終わってすぐにまた聴きたくなるクセになる「スナック曲」と、一度聴くとお腹いっぱいになってしばらく聴けなくなるゴージャスな「ディナー曲」になると思うのだが、この歌はその中間であるように感じる。一回聴くと満腹になって腹持ちもよいが、何日も聴けなくなるほどじゃない。軽やかさと重みのバランスが奇跡的。
 当時、吉沢梨絵の公式サイト(cutting edge)では「10年に一人のダイヤモンドの原石」というプロデューサー角松敏生の評価を掲げていた。この手のキャッチコピーは大概大げさすぎて羊頭狗肉にすぎないのだが、吉沢梨絵に関してはまったくそのとおりだと思った。これほど掛け値なしの宣伝文句も珍しいとここでも感心したのを覚えている。

 彼女のファーストアルバム『SWEET REVENGE』は発売記念ミニライブ兼握手会で購入した。吉沢さんは私が握手したことがある唯一の女性歌手である。

 彼女は現在はミュージカル女優として活躍しているようだ。劇団四季の一員としてフジテレビの「ミュージックフェア」に出演して歌ったのを見たことがある。私はミュージカルにはあまり関心がないのだが、機会があれば見に行ってみたい。(この項2011-1-30)



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