不安と期待が入り混じった、複雑な思いに感情が波立つのを抑えようとシルヴィは目を閉じたが、なかなかそのときは訪れなかった。
「どうしたの、タケル?」
「その、ボク、どうしていいのか良くわからなくて……」
「タケルは、その…男になったんじゃないの?"経験"してないの?」
「その……、一回だけ、その……ハルカさんと、お話して。
ハダカは見せてもらったけど、あとは……手で、その、気持ちよくしてくれただけだから…」
「…………」
「え、ええと、その……」
「ふう、なんかワタシ、気負いすぎていたのかな……」
「ゴメン。その……。なんていうか、その……」
「他の女の名前を出すのはルール違反だけど、正直に言ってくれてありがと、だから……」
シルヴィは、タケルの股間に顔を埋め、彼を口に含んだ。
「……、ひゃっ、シ、シルヴィ!」
「んふ、ん……、はぁ。濡れていないと痛いのよ。私のほうは、もう準備できてるから……。ほら、ここに指を入れてみて。」
シルヴィはタケルの手をとり、自分の入り口に導く。
妖精は淫魔に変貌を遂げていた。
「ほら、奥まで入っていくでしょう?」
「あたたかくて、ぬるぬるしてる。」
「……はぁ、あんまり指を動かさないで、ココにあなたのを入れるのよ」
「……え、でもこんな狭いところに?」
「それは、ワタシのセリフよ。私の腰に手を当てて、そう。じゃあ手を添えてあげるから、ゆっくりと引き寄せて……」
「こう?」
「そう、そのまま……。んん……はぁ、ゆっくりね」
少しずつシルビィの中に、タケルが挿入されていく。
未経験の刺激に、タケルは思わず声が出る。
「ああ、あったかくて、気持ちいい……」
「もっと気持ちよくなるわ。もっと、……んぁっ!」
シルヴィは子宮を突かれて、思わず声を上げてしまった。
「大丈夫?」
表情が辛そうに見えるのだろうか、気遣うようにシルヴィの額に手を添える。
「はぁ……、平気よ。ねぇ、そのまま抱き締めてキスして」
タケルは言われるままに、シルヴィの背に手を回し抱き寄せてキスした。
お互いに舌を絡ませる濃厚なキス。
シルヴィが下腹部に力を入れて、腰をゆっくりと動かすと、タケルがくぐもった声を上げる。
シルヴィは自分の喘ぎ声が漏れないように、タケルの頭の後ろに手を回し、もっと深く舌を差し込んだ。
だんだんと律動が激しくなり、くちゅ、くちゅ……と音がしはじめる。
タケルは、少しずつ要領を得てきたせいか、積極的にシルヴィに自分を打ち付けてくる。
単純な動きだが、深いところまで突きあげ続けられるうちに、シルヴィは脱力状態となって、タケルのされるがままになっていた。
既に主導権はタケルに移っていた。
時々じらすように、タケルの胸板がシルヴィの胸の尖りに触れ、それがさらにシルヴィを高みに押し上げていく。
「はぁ、シルヴィ、ボク、もう……」
「わ……たし、も、もうダメ。いきそう……」
その刹那、タケルに一段と強く腰を打ちつけられたかと思うと、シルヴィは体の奥に熱いものが広がっていく感覚を覚えた。
「はぁ!……ううっ、あぁ……」
「くっ、うぅんん……!」
2人は同時に果てた。
(あれ、そういえば、私……)
タケルはシルヴィに覆いかぶさり、まだ息を荒げている。
シルヴィは深い充足感に、タケルが愛おしくなってそっと頭を撫ぜる。
「……シルヴィ、ボク……」
「何も言わなくていいわ、タケル」
そう言ってシルヴィは軽くタケルにキスをする。
「そういえば、撮影だったんだっけ、つい夢中に……」
シルヴィは急に恥ずかしさがこみ上げてきて、髪以外の体中を真っ赤に染めていた。
下を向かずにはいれず、とても周りを窺うどころではない。
「あれ?みんなは……。シルヴィ、ぼくたちしかいないよ」
「え、……?」
「ボクらが、あんまり……。その、自分たちの世界に入っちゃってたから、あきれて撮影やめちゃったのかな……」
そんなことあるわけが……とシルヴィは訝しんだが、おそるおそる周囲を窺うと、確かに他に誰かがいる気配は無かった。