アリスの娘たち〜  ひろみ2


「あら?早かったのね。パートナーとはちゃんと話をしてきたの?」
ハルカさんは、もう医務室に来て、医官と打ち合わせをしていた。
「あの、はじめまして……。ヒロミです。その、よろしくお願いします」
「ハルカよ、よろしくね。これからは、私があなたのパートナーよ。 まぁ姉妹みたいなものね」
「ワシは医官の伝助じゃ。もっとも、はじめからこの名では無いがの」
「は、はい、評議長からうかがってます」
「緊張しているの?無理も無いわね。私も最初はとても不安だったわ。」


確かに女になるのは不安だったけど、それよりもボクはハルカさんの美しさにドキドキしていた。
黒くて長い髪、深い藍色の瞳。
差し出された手を握ると、とても柔らかだった。
それにとってもいい匂いがする。
アーカイブに記録されていた、花の匂いってこんな感じなのかな……?


「それで、やはり駄目なんですか?」
「うむ、アリスはそのまま施術に入るべきだと言っている。まぁワシもそう思うが。
 なんじゃ?この子があんまりかわいいから、先に食べてみたくなったのかの?ヒヒヒ」
「もう、からかわないでください。先生!」
「……あの? 何の話でしょうか?」
「いえ、その……ね、あなたが女の子になる前に、"経験"させておいてあげたほうが、いいかな?ってね。
 先生に相談していたの。何も知らないままなんて、ちょっとかわいそうかなと思ってね」
ハルカさんは、頬を赤くしながらいった。
ちょっとうつむき加減に、上目遣いで……。その仕種がボクをますますドキドキさせた。
一見冷たそうな印象を与える、整った顔立ち。切れ長の目に、薄い唇。
最初部屋に入ったときにボクを見た時は、威圧するほどの存在感があったのに、
いま目の前で話しているハルカさんは、思わず抱きしめたくなるほどかわいく見える。
ほんの一瞬のうちにその表情を変える。
女の人って、こんなにもドキドキさせてくれるものなのだろうか?
虚空の空間を当所ない旅を続けるボクたちの、心と体を癒す"アリスの娘"たち。
それにボクは、これからなろうとしているのだ。


「……ボクが、その、ハルカさんと?」
「ええ、まぁ……。でも、先生は、何も知らないまま女にするって言うのよ。その方が初々しさが残るんだって。」
「ワシじゃなくて、アリスがそう決めたのじゃよ。
 そういや、オマエさんは、有無をいわさずこれから世話になろうって相手を、無理やり押し倒したそうじゃな」
「あはは、そ、そんなこともあったかしら。だって悔しいじゃない、知らないままなんて、ね?」
「え?ボ、ボクは……、その……」
恥らう女性の表情から、今度は一変して悪戯女の表情に変わったハルカさんに、ボクはもう虜になっていた。
抱きしめてみたい……という感情が少しずつボクの中で大きくなってきた。


「やれやれ、ハルカに食べられちまわないうちに、さっさとはじめるかの……ほれ、コレを飲んで、服を脱ぎなさい」
「え?あ、は、はい……」
僕の心の変化を見透かすように、医官は施術の準備を促した。
「え、もう始めるんですか?いろいろ聞いておきたいことがあるのに」
「時間なら後でいくらでもあるじゃろうが、ほれ、手伝いなさい」
「はいはい、残念ね……。じゃ、脱がせてあげるわ、それくらいはしてあげなきゃね」
そういうとハルカさんは、ボクを軽々と抱き上げた。
ハルカさんはボクよりも頭ふたつ以上、背が高くて、まだまだ成長段階にあるボクを抱き上げるぐらいは、なんてことは無いのだろう。
「思ったよりも軽いのね。うふふ、こうすると気持ちいい?」
そういって、ハルカさんはボクの顔を自分の胸に押し付けた。
柔らかいふくらみが、ボクの鼻や唇にあたって、なんだかとても気持ちいい。
甘くてそれでいてさわやかな匂いがいっそう強くボクを包む。
体だけでなく、心までも……。


ボクをそっと診察台に下ろすと、今度は耳元で囁く様にいった。
「かわいいわね、ヒロミ。ホントに食べちゃいたいくらい。今服を脱がせてあげるわ……」
「あ、あの、自、自分で脱げますから……」
「駄目よ。これも勉強のうちなの。男を悦ばせる……ね」
そういうと、僕の耳元にキスをしながら、服の胸元のファスナーを下ろしていく。
上半身をはだけさせられ、インナーもとられた。ハルカさんと違ってペッタンコな僕の胸をなでる。
「まぁ、キレイな肌ね。船外活動もしたこと無いんでしょ?何のお仕事をしていたの?」
「え、資、資料の整理です。アーカイブの。」
「そう、このキレイな手。畑仕事にも縁がなさそうだしね。孤独な仕事でしょ?アーカイブの仕事って……。寂しくなかった?」
下のインナーにも手を入れながら、ハルカさんの声が耳をくすぐる。
ハルカさんの細い指先がボクの内股をなでたとき、ボクは思わず声が出てしまった。
「ああっ……」
「鳴き声もかわいいのね。男の子なのに。薬も利いてみたいね」
ハルカさんの愛撫が、ボクの意識に少しずつ霞を降らせていく。
他人に服を脱がされるのがこんなに気持ち良いなんて思いもしなかった。
いつの間にかボクはすっかり生まれたままの姿にさせられていた。
「寒い?ホントは肌と肌をくっつけあうと、もっと気持ちがいいのよ…」
「ほれ、遊んでないで、とっとと挿管せんかい」
医官が試験管ぐらいの管を差し出してハルカさんに言う。
「もう、せっかく気分が出てきたのに。それよりも塗り薬が先ですわ、先にそれを入れたら、この子が痛がるわ」
そういうと、今度はぬるぬるした薬をボクの体に塗りつけていく。
足も、手も、背中も、胸も、おしりも、性器も……。
体が熱く燃えてくるような、激しい衝動が体の奥から湧き上がってくるのに、ボクの意識は逆にまどろみ始めてきた。
そのもどかしさを何とかして欲しくて、ボクはハルカさんの目を見つめた。
「んー、その切なげな目もいいわね。きっと良い"娘"になれるわよ」
「だいぶ混濁してきたようじゃの、意識があるうちに機械に入れないと、面倒じゃぞ」
「ああ、もう、はいはい先生。では挿管を…。ちょっと痛いかもしれないけど我慢してね」
そういうと、ハルカさんはボクをうつぶせにして、少しだけ腰を持ち上げると、おしりの穴にいきなり指を入れた。




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