女の感覚は男のそれとは、まったく感じが違っていた。
もともとそういう目的で作り変えられた体とはいえ、ハルカは自分の肉体に与えられる刺激と、
恐怖感と期待感をない交ぜにした感情に、打ち震えていた。
自分でもまだ見慣れていない裸身を彼の目に晒す羞恥心。
息を吹きかけられるだけで、意識が朦朧となる首すじ。
男の時には何も感じなかった、耳たぶや指の付け根への刺激。
"女は初めてのときとても痛い"それは彼も心得ていたので、初めての幼いハルカの体に、ありとあらゆる愛撫を執拗に加えていた。
「あ、いや……」
彼がハルカの両足首を持って開いたとき、快感よりも恐怖感が上回り、声を出してしまった。
「怖い?やめようか?」
「ううん、ここでやめちゃったら何のために、ここへ来たのかわからないよ。お願い、私がどんなに辛そうに見えても続けて。最後までして!」
「……わかった」
そういうと彼は、ハルカの股間に顔を近づけて、花唇を舐め始めた。
「……、んんん」
今までとは比べようが無い初めての快感に、ハルカは自分の口を押さえて、声を出すのを我慢した。
体の奥でムズムズとこみ上げていたものが、さらに大きく広がるような感覚に、身を捩って耐えていた。
ハルカの小さな突起を、彼が甘噛みした刹那、電流のようなものがハルカの全身を爆発させるほどの快感となって襲った。
「んんんーっ!!。はぁ、はぁ……」
「イったのかい?、少し休もうか?」
「……いいの。いいから、続けて……」
ハルカは息も絶え絶えに彼に応じた。
すると彼は顔を近づけ、ハルカの目尻にうっすらと溜まった涙を舐めとりながら、膣に指を入れてきた。
「痛くない?」
「ん、……大丈夫。そこまでは……、自分でもしてみたから……」
「ふふふ、エッチな子だね。じゃあ、もう一本挿れてみようか?」
「ん、ダメ。声が出ちゃいそう……」
そういうと彼は、自分の唇でハルカの口をふさいだ。
「んふん……、ふむ……」
舌を絡ませるディープキスに再びハルカの中の何かがこみ上げてくる。
ハルカは秘穴に指を2本入れられ、入り口をこねくり回される感覚に気が遠くなりそうになっていた。
体の中を荒れ狂う嵐のような快感とは裏腹に静まり返った部屋の中に、くちゅり、くちゅりという音が響いて、ハルカの羞恥心を煽る。
「はぁ、はぁ、もう……。気が、遠く、ん……。なり、そう……」
「じゃあ、いいかな?」
これだけ体の準備ができていても、やっぱり痛いのだろうか?
そう思うとハルカは不安を感じないではなかった。
彼を見上げて、その優しい瞳に映る、もう一人の自分に尋ねた。
……いいよね、痛くても、怖くても、我慢できるよね。
だってそのために、私はここまで来たんだもの、自分を変えてでも、彼に愛されたかったんだもの……。
ハルカがそっと目を閉じたのを肯定と受け取った彼は、完全に強張りきった怒張をハルカの入り口にあてがうと、少しずつ侵入を果たそうと腰を動かした。
「い、痛い……」
ハルカは突然現実に引き戻された。
見ると男がフィストファックをしようと手の先をすぼめてハルカの膣内を犯そうとしている。
「やめて、壊れちゃうわ……」
「うそつけ。もう何年もやってるんだから、これぐらい経験あるだろ?」
若い男の身勝手な要求に、ハルカは目を閉じて我慢しなくてはならなかった。
たとえ性器や内臓を傷つけられても、再生槽にはいれば傷は治る。
それゆえに大胆にハルカの肉体を傷めつける男もいる。
……でもね。心だって傷つくんだよ。それが仕事だってわかっていたって、辛い事もあるんだから……。
ハルカは、男のしていることをあまり考えないように、再び優しかった彼の思い出を手繰り始めていた。
股間どころか、下半身を切り裂かれるような破瓜の痛みに耐えかねて、絶叫しかけたハルカの口を、彼は強いキスでふさいだ。
そして片手をハルカの背中に回して肩を抱き、もう一方の手で後頭部を押えて身動きできないように手に力を込めた。
ハルカは自分の中に押し込まれていく、焼け付くような痛みに耐える。
やがて、お腹の中の塊を押し上げるような感覚がすると、彼は動きをとめた。
……これが子宮に当たってる感覚なんだ…
目を開けて見上げると、彼は優しく微笑んでいた。
「大丈夫?痛いと思うけど、我慢できる?」
「うん、……大丈夫。続けて……」
そういうと、彼はゆっくりと抽挿を繰り返すように腰を動かし始めた。
……じゅぶっ、じゅぶっという愛液と血をハルカの膣内でかき混ぜる音だけが部屋に満ちていく。
何度も全身を刺し貫く痛みが、少しずつ快感に変化していった。
やがて恥ずかしい水音よりも、二人の喘ぎ声が部屋を支配していった。
最初は消えるように、途切れ途切れだったハルカの喘ぎ声も、やがてはっきりとした声に変わっていった。
暫くすると、彼のうめき声とともに、ハルカは体の中に何かをぶちまけられる感覚がした。
ドクドクと流し込まれる液体が彼の精液なのだと思った瞬間、ハルカの頭の中でフラッシュがたかれ、そのまま気を失ってしまった。
いつの間にか、ハルカを蹂躙していた男は姿を消し、一人部屋に残されていた。
毛布を掛けていってくれたのは、罪悪感を感じた男の、せめてもの思いやりのつもりなんだろうか。
股間に刺す様な痛みを感じたので見ると血が出ていた。
痛いのを我慢して傷口を確かめてみたが、傷の程度が良くわからなかった。
コンソールに押し付けて犯されていたのと、床に転がされていたのとで、全身にも鈍い痛みを感じる。
……医務室よっていかなきゃダメかな……
ぼんやりとそう考えながら、ハルカは服を身に着けるために、コンソールに手をついて立ち上がろうとしたが、
腰に力が入らなくてその場に再びへたり込んでしまった。
自然に涙が頬を伝って、流れ落ちていった。
優しかった彼に独占されていたかった、あの頃の自分を思い出す。
「ひくっ。…ア、…ラァ、寂しいよぉ。もう一度ハルカを慰めてよぉ…」
囁くような小さな泣き声が、部屋に消えていく。
部屋の隅にあるモニター装置の光が、一瞬チカリと明滅した。
永遠に再会することのかなわない人物の名を呼ぶ、ハルカの傷ついた心を知っているのは、アリスだけだった。