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グレースの命日

 

グレースの誕生日:1995年(平成7年) 6月26日(月)
グレースの命日 :2006年(平成18年)6月 3日(土)
カレンダーにして同じパターンの月
あと少しで11歳のお誕生日を迎える前に逝去。

ドッグランで他の犬達と走りだした途端にぱたりと倒れた。
首輪をはずしてほんの数メートルのところ。
倒れた瞬間、母が近づき呼びかけたがグレースは起きなかった。
心臓は動いていたが、すぐに停止。
父がすぐさまかけつけ心臓マッサージをしている間に病院へ連絡。
5分後には病院へ担ぎ込んだがすでに心臓は停止。
父が他の家族へ連絡。
妹は大学から直接病院へ。
俺もすぐに向かった。

駅に着いたのは13時11分。
病院は駅の出てすぐ正面。
手術室では3時間交代交代で心臓マッサージを続けてくれていた。
しかし自力で呼吸する事も心臓を動かすこともなかった。
触れた時にはすでに死後硬直が始まっていた。
まだ少し暖かかった。
呼吸器を止めてください…
心臓の脈打っていたピッピッという音が消えた。
胸もしぼんでいった。
完全に動かなくなった。

俺が最後に写真を撮ってあげたのは水曜日にRX7に乗せた時。
あんな揺れまくるスポーツカーなのに大人しく乗っていた。
ハァハァと口もあけずに優雅に乗っていた。
開けた窓から顔を出してたなびく毛皮がとても綺麗で走っている最中だったのに写真を撮った。
母との待ち合わせの場所に着いたところで座席にすっぽり収まるグレースを2枚撮った。
『真っ赤なフェラーリのオープンカーに乗せてやるからな』 そう誓って撮った。
それが最後の写真。
最後に触れたのは前日の夜、帰宅した後だった。
いつもならベッドの上に寝ているグレースをなでるのだが、 この日はハウスの中に寝ていた。
ハウスの中にいる時は大抵毛が飛び散るからなでない。
でもこの日はハウスの中にいるグレースをなでた。
これが最後。

今にして思うと面倒くさがらずに、毛が飛び散るのを嫌がらずになでておいて本当によかった。
俺はグレースのために何もしてやってない。
でも今の生活を作ってくれたのはグレースだった。
色々な犬の活動により輪を広げられたのも全部グレースがいるからだった。
俺が先生になるって決めたのもグレースがいたからだった。
中学生のとき、荒れまくってた俺をなだめてくれたのもグレースだ。
何かあった時はすりすりと寄って来てぎゅーって抱きしめさせてくれたよな。
何もしゃべらない。
だけど一緒にいるだけで幸せにする、そんなグレースを見て先生になる事を決めた。
幸せを振りまく環境を作りたいって思った。
必ず作る。
関わった人が幸せになるための環境を必ずつくる。

10年間ありがとな、グレース。
そしておやすみなさい。

2006/06/03

 

 

 

 

 

 

 

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