世界有数の大都市・海洋都市イシュワルド。大都市の割には比較的平和で  
 
人々はいつもと変わらない日々を送っている。  
 
 
 
 クリック魔導工房。イシュワルドの商店街に数多くある魔法堂の一つ。  
 
主に魔法書や薬品を取り扱い、武器の強化も承っている。その店主である  
 
クリック=アルスターは、弱冠15歳でありながら、「レミュオールの魔女」  
 
として名高いティコにも認められた才能の持ち主である。しかし、  
 
店主が若い故、街の人々からは子供扱いされている。店の売り上げも  
 
それが仇となって伸び悩んでいる。  
 
 
「できたぁ……」  
 気の抜けた声が店の中に響く。外はもう日の出の時刻なのか、少し明るい。  
クリックは店に備え付けてあるソファーに倒れこむ。そばにあるテーブルには  
ビンが置いてあり、なにやら桃色の液体が入っている。それをうれしそうに  
何度も手に取る。  
「ヤヨイちゃん、喜ぶやろな♪」  
 
――三日前。  
 
 事の始まりは、ヤヨイの一言だった。  
「クリック君は、胸の大きい女の子って好きッスか?」  
「へ!?」  
 突然の質問に、クリックは戸惑った。  
 ヤヨイはクリックと同じく、職を求めてイシュワルドにやってきた移民である。  
同い年のクリックとは気が合うらしく、すぐに仲良くなった。  
今では完全に恋人同士で、よくデートもする。  
 彼女の問いの答えに困ったクリックは、あいまいに答えた。  
「い、いや、嫌いではないですわ」  
「やっぱりそうッスか……」  
 ヤヨイはすこしうつむいた。  
「しまった!」とクリックは思ったが、言ってしまってからではもう遅い。  
彼女を傷つけてしまったかとあわてるクリックに、ヤヨイは顔を上げて、  
「じゃあ、胸の大きくなる薬作れないッスか?」  
 
 彼女の予想外の二言目にクリックは思わず、二回目の「へ!?」を出す。  
「で、でも、何でそんないきなり!?」  
 なんとか落ち着こうとする。  
「ティコさんが『男は胸が大きいのが好みなもんよ』って言ってたッス!!  
だから私もティコさんみたく胸を大きくしたいッス!!」  
 どうやらティコの言葉を真に受けたらしい。  
「ヤ、ヤヨイちゃん、そない急ぐ事は――」  
「ダメッスか?」  
 潤んだ瞳が完璧にクリティカルヒットした。  
 
「うっ……」  
 これでは断れない。だが、胸の大きくなったヤヨイを想像してみれば、  
クリックにとっても悪くはない。クリックの出した答えは……  
「ま、一応頑張ってみますわ」  
 好きな子の頼みを断れず、クリックは快諾した。  
「クリック君、ありがとうッス!」  
 ヤヨイの天使の笑みに、クリックは舞い上がってもいい気分だった。  
 
こうして三日後、クリック特製『エノワールの豊胸薬』が完成した。  
 
「ふあぁ……ねむ……」  
 ここ三日クリックはろくに寝ていない。研究では周りが見えずに没頭する癖が  
あるので、食事もろくに摂ってない。運動も嫌いなので体がダルい。  
「効果は激強やから、一日一回スプーン一杯ってとこやな。あとでヤヨイちゃんに  
言っておかんと」  
 豊胸薬をテーブルに置くと、玄関の「CLOSE」の看板を確認し、倉庫から  
ティコ特製安眠薬を取り出した。ティコの安眠薬はクリックには欠かせない。  
   
 ソファーにあお向けに転がり、徹夜明けの目を癒すためにタオルを冷やして目にかぶせる。  
そのまま手探りでテーブルの上のビンを取り、中身を飲み干す。  
「う〜ん……やっぱティコさんの安眠薬は最高ですわ〜」  
 ビンをテーブルに置くと、クリックは眠りについた。  
「あれ?体が……熱い……?」  
 体の違和感を感じる。  
「ま、三日も寝不足じゃ体も疲れるやろな。前にも何度かあったし……」  
 クリックは気にしないで寝ることにした。  
 
――どれくらい経っただろう……  
 
 クリックが目覚めた。  
 
 窓の外の賑わい具合と西よりの日差しから、午後二時くらいだとわかる。  
「よっこらせ……っと……?」  
 ソファーから身を起こしたクリックは、自分の異変に気づいた。  
(……胸が重い……!?)  
 恐る恐る自分の胸を見て、クリックは驚愕した。  
「何や……これ……」  
 服の上からでも分かる程胸が膨らんでいる。それが自分の体の一部であることは  
触覚からしてもクリック自身が一番分かる。  
 服を脱いで確かめても、自分が巨乳になってしまった事を否定できなかった。  
大きさは少なくても、80cm半ばはある。  
 
「あ…ま、まさか……」  
 すかさず下の方も確認する。  
「!!!」  
 予想通り、自分のモノが消滅している。代わりに、ぷっくりした一対の恥丘が  
自分の股間にあった。  
「まさか……夢?」  
 ほっぺをつねっても、痛みしか感じない。  
(一体どうして……)  
とりあえず寝る前を思い出してみる。  
(豊胸薬をテーブルに置いて…カギ確認して…タオル目に当てて……安眠薬飲んで  
……安眠……薬……?)  
 不意にテーブルを見る。  
 テーブルには同じようなビンが二つ。一方に中身がいっぱいに入っているが、  
もう一方は空ビンだ。  
 
前者には淡い黄色の液体が入っている。  
(これは安眠薬だ……)  
 では空のビンに入っていたのは……  
 
(――まさ……か……)  
 クリックの不安は確信に変わった。  
(……豊胸薬!!)  
 どうやらあの時手探りで取ったのは豊胸薬らしい。クリックはがっくりと  
膝をついた。生涯最大の失態である。  
 クリックは、紛れもなく一人の女になってしまったのだ。  
「どないしよ……」  
 このままでは人前には出ることができない。かといってこのままこの姿でもいられない。  
さしあたって彼がすることは、即刻この体をなんとか戻すことだ。  
 
 立ち上がってすぐ本棚の資料で調べた。本棚にあるのはほとんど魔法書の類で、  
専門的な知識なしには読むことはできない。しかしクリックは膨大な魔法書の中の  
一冊を探し出すと、難なくすらすらと読み始めた。  
「……あった!!えーと……元に戻すから……ダリスの妙薬か。材料は……  
ダリスの薬草……メロウガエル……ブ、ブラドラドの肝!?」  
 何やら入手困難そうな品物が出てくる。  
「無理や〜。買い物するわけにはいかんし……あとは……治療法!?」  
 こうなったら品物が買えない以上、治療法とやらに賭けるしかない。  
 
「んー……刺激として他の男性の精液を……取り入れる!?うげっ  
……男とヤらなあかんの!?」  
 また難題である。しかし、他の方法はない。  
(やるしかないですわ、もう……)  
 心の中で半泣きになりながらも決心した。  
 
問題は相手である。  
(知らん男とはやりたくはないから……知り合いで誰か……)  
 候補を思い浮かべてみた。  
(シバさんは……却下)  
 金のためなら手段を選ばぬ男、シバ。奴と関わると絶対にろくな目に  
会わない。ネタにされる危険もある。  
 
(ヘルさんは……ダメだろうな)  
 硬派なサムライ、ヘルシンキ。彼は秘密は守ってくれるだろうが、  
ソフィア一筋だから、受け入れてくれないだろう。  
(フィル君は……難しいかな)  
 ウブな冒険者、フィル。彼は頼めばいけるかもしれない。しかし、彼は  
シオに思いを寄せているので、ヘルシンキ同様難しいだろう。  
(あとは……)  
 
――コンコン  
 
 ノックの音が響く。  
びっくりして振り返る。ドアには鍵がかかり、『CLOSE』の看板も  
ぶら下げているはずだ。他人だったら居留守を使うつもりだった。  
そう、ヤヨイちゃんともう一人……  
 
 少しして、ノックの主が声を上げた。  
「おーい、ワシじゃ、クリック……居らんのか?」  
 聞き慣れた声。自分を呼ぶその声は――  
「……兄さん!?」  
 慌てて鍵を開け、訪問者を確認する。そこには、言葉遣いとは裏腹に  
若い男が包みを持って立っていた。  
 ルヴェル=アルスター。クリックの兄で、現在ティコのもとに弟子  
(という名目の奴隷)として仕えている。弟思いで、何かと世話を  
焼いてくれる。クリックの方も、そんなルヴェルに懐いている。  
「三日間店を閉めてると聞いての、様子見ついでに差し入れを  
持ってきたんじゃが……」  
 
 どうやら心配して来てくれたらしい。  
「兄さん、いつもおおきに……」  
 礼を言ってルヴェルを中に入れる。  
「徹夜のし過ぎは体に毒じゃぞ。程々にしておけ……まあワシらも  
人のことは言えんがな」  
言葉に軽く苦笑いが入る。  
「うん……」  
「?」  
 ルヴェルは気づいた。どうも弟の様子がおかしい。  
いつもは気さくに話してくるのに……背中を向けたままこっちを見ない。  
(何かを隠しておるのか……?)  
 真顔で話してみる。  
「クリック、悩みがあるなら話せ……相談なら聞いてやる」  
 
 二人は沈黙する。そして、  
 
「ふぅ……兄さんにはかないませんわ」  
 クリックの顔に笑顔が浮かぶ。それは隠し事のバレた子供の様な  
ばつの悪そうな笑顔だった。  
「ここじゃアレなんで、ちょっと来てくださいな」  
「ん?」  
 言われるままにルヴェルは奥の部屋へついていく。奥はクリックの  
プライベートルームで、机と本棚とベッドがあるだけだ。  
ルヴェルはベッドに腰掛けた。  
「で……話とは何じゃ?」  
「見てもらった方が早いですわ」  
 そう言ってクリックはおもむろに服を脱ぎ始める。徐々に  
色白な肌が露出する。  
 
「な、何を……ワシはそういう趣味は……」  
 慌てふためくルヴェルだが、何かに気づいて言葉を失う。  
「な……い…………!!?」  
 クリックの一糸纏わぬ姿に、ルヴェルは驚愕した。  
 目の前に立っているのは自分の弟であるはずだ。しかし、男として  
決定的なモノがなく、代わりに90cmはあろうかという女物の胸があった。  
「お、お主一体……」  
 動揺しまくりのルヴェルに、女姿のクリックは抱きついた。  
「兄さん……助けて……」  
 クリックの頬に涙が伝う。ようやく落ち着きかけたルヴェルは  
弟の肩に手を置く。  
「……話してみろ」  
 
 クリックはこれまでのいきさつを話した。  
 
「……で、かくかくしかじかってワケか……」  
 ようやくルヴェルも状況を把握する。  
「うん……」  
「薬を間違えて飲むとは……全く、呆れたわい」  
「……」  
 返す言葉がない。クリックはうつむいたままだ。  
「それで、どうするつもりじゃ?」  
「……兄さんじゃ……ダメ?」  
「はあ!?」  
 思いがけない言葉にルヴェルは虚を衝かれた。  
「な、何言うとる!?ワシらは兄弟――」  
「兄さんしかいないんですわ。こんなこと頼めるのは……」  
 クリックの言葉がルヴェルの言葉を遮る。  
 
「兄さん……いいよね……?」  
 ルヴェルのズボンに手をかけ脱がしていく。当のルヴェルは  
心の中で葛藤し、動けなかった。  
(今ワシの目の前にいるのはワシの弟……こんな事は許されん。  
……しかしクリックがワシに助けを求めているのも事実。  
ここは拒むべきか……いや、どうすれば……)  
 そうこう迷っているうちに、ルヴェルのズボンは下ろされ、  
モノが露わとなる。クリックはそれを凝視する。  
(兄さんの……大きい!!)  
 ほんの数時間前まで自分の股間にあったモノとは  
比べものにならなかった。しかもそれは、少しずつ膨張していく。  
 
ルヴェルは必死にそれを抑えようとする。  
(くっ……弟に欲情などしてはならん!!しかし……)  
 クリックは元々色白で女顔なため、見た目で女と間違われやすい。  
身長も低く体を鍛える事もしないので、体つきも女性と遜色がない。  
さらに今は巨乳と女性器のついている。つまり体は完全に  
女性そのものと言い切れる。  
 そう思うと膨張は止まらない。しかも抑えようとすると逆に  
膨張は加速していく。  
 とうとう限界まで膨れたルヴェルの肉棒は、はち切れそうだった。  
(兄さんのコレ……スゴ……)  
 
 クリックにはソレが苦しそうにも見えた。右手でソレをつかむ。  
そして思い切って口に含む。  
「うぁっ……なにを……?」  
 驚いたのはルヴェルだ。実の弟がフェラなど……  
「んむっ……ふぁ……」  
 クリックも、フェラについては前にそういう本で読んだだけで、  
特に知識があったというわけでもない。ただ無意識に頭を動かした。  
「っぷ……兄さん……まだイかへんの?」  
「ワシにもプライドがあるからの。そう簡単には……」  
 強がるが、本当は弟に射精するわけにはいかないという気持ちが  
ルヴェルの中にあった。  
 
「むう……じゃあこれはどうや!?」  
 むくれたうクリックは兄のモノを自分の胸で挟んだ。そして  
先っぽをくわえて上下に動かす。  
「くぁっ……やめ……」  
 弾力のあるものでシゴかれ、ルヴェルは喘いだ。  
「くっ……もう……ダメじゃ……イくっ……!!」  
 
――次の瞬間  
 ルヴェルは自分自身を思いきりクリックの口の中に  
ぶちまけてしまった。  
(ああ……ワシ……やってしもうた……)  
 半泣きで軽い自己嫌悪になる。  
 一方、クリックはというと……  
(ふぁ……兄さんの精液、熱いよう……)  
 
 そう思いながらも飲み込んだ。精液を取り込まなければ  
元には戻れないから。  
(あれ……一回り胸が小さくなったかも……)  
 効果があったのか、さっきよりは胸が小さく見える。  
(……いける!!よし、今度は――)  
 クリックは未だ自己嫌悪に陥っている兄をいきなり  
ベッドに押し倒した。  
「!?……今度は何を――むぐっ……」  
 我に返ったルヴェルの眼前にクリックの顔が飛び込み、  
口で口を塞がれる。  
「ん、んむ……ぷはっ……何を……する……?」  
「兄さん、もう少しで治りそうなんや……いいやろ?」  
 必死で兄に懇願した。  
 
(…………フッ)  
 しばらく考えた後、ルヴェルの口に笑みが浮かぶ。それは  
世間体ということでさっきまで弟を受け入れていなかった  
自分に対する嘲笑だった。  
(ワシは今まで何を迷っていたんじゃ……  
全ては我が弟を治すためではないか)  
 ルヴェルから迷いが消える。そして、  
「クリック、すまんかったな。兄さんは今まで踏ん切りが  
つかんかった。今日はお主が満足するまでとことん  
付き合ってやるわい」  
 そう言って服を脱ぐ。ルヴェルの肉体は弟とは対照的に  
がっちりしている。ティコに日々鍛えられている(?)からであろう。  
 
「兄さん……」  
 クリックの表情がぱあっと明るくなる。  
「今度はワシが攻めてやる」  
「えっ……あっ」  
 今度は逆にルヴェルがクリックをベッドに押し倒す。そして  
胸を愛撫しはじめる。  
「ん……んあ……」  
「男のくせに師匠に負けず大きい胸しおって」  
 突起物に口をつけ、舌の上で転がす。  
「ひゃあっ!!……兄さ……ソコっ……」  
「感じるのか?」  
 意地悪そうに転がし続ける。  
「あっ、あう……兄さ、あっ!……おっぱい……ばっかりぃ  
吸わんといて……んんっ!!」  
 ルヴェルが舌を動かすたび、クリックに快感が走る。  
 
「次はこっちをやってやる」  
 足を開かせ、恥丘に指を這わす。  
「ああっ、ん……感じるよぅ……」  
 不意に恥丘の隙間に指を入れ、出し入れしてみる。  
「指が、あっ……入って……るぅ」  
 快感でうまくしゃべることができない。  
「普通の女は三本まで入るそうじゃぞ。お主はまだ  
一本ではないか」  
「んん、ボクは別に、あっ、普通の……ん、男やっ」  
 指の数を徐々に増やす。そして出し入れするたび、  
クリックの声が響く。  
「だいぶ濡れてきたの。ではさっきのお返しを  
してやろう」  
 
「えっ?……ひああっ!!」  
 指をやめたルヴェルは、いきなりクリックの恥丘に  
吸い付いた。  
「や、やめぇっ、そんなとこっ……」  
 じゅるじゅると音を立てて吸う。クリックはただ  
喘ぐしかできない。  
 吸った後は舌を膣の筋に沿って這わす。  
「ひっ、ひあっ、何か、いいよう……」  
「ここが全ての女が感じる箇所じゃ」  
 そう言って小さな突起をつまみ、いじり回す。  
「ああ、うん、ひゃああっ、あっ……」  
 クリックの喘ぎが一段と高くなる。  
「そんなに敏感では体が持たんぞ」  
 
 舌の上下させるする速度が上がる。比例して、  
クリックの喘ぎも速度を増す。  
「あっ、あっ、ああああっ!」  
 波が大きくなる。同時に、何かが押し寄せてくる。  
「あああっ兄さんっ、ボク、もう……んああっ!!!」  
 鋭い電流が体を伝う。一瞬意識が飛んだ。  
 
「……イったか」  
 ルヴェルが呟く。クリックはまだ絶頂の余韻の中にいる。  
「はあ……はあ……」  
「どうじゃ?気持ちよかったじゃろう」  
「……ずるいわ」  
「は?」  
「兄さんばかり楽しんで……ずるいわ」  
 クリックは不満を漏らす。  
 
「わかった……次はワシも一緒にイってやる。どうせお主には  
元に戻るためにまだ精液が必要じゃろう」  
 自分のモノをクリックの膣に当てる。中はかなり湿っている。  
「あっ、なんか……怖いよ……」  
「なに、最初だけじゃ。……安心せい」  
 そう言ってモノをクリックの中へ沈めていく。  
「んああっ!!兄さんのが……入ってくる!!」  
「くっ……やはりきついか。……動くぞ」  
 ゆっくりと腰を動かす。  
「ひゃっ、あっ…ああっ・・・」  
 ルヴェルのモノが出入りするたびに、内壁が擦れて  
大きな快感を生む。  
 
「どうじゃ……?気持ち……いいじゃろ」  
「くあぁっ!!……兄さんっ、何か……おかしくなりそうやあっ」  
「初めての……快感じゃろ?……んっ」  
 もはや二人は自分たちが兄弟ということを忘れ、一心不乱に  
腰を動かし続けた。  
「んっ、クリック、もう少し……速くするぞっ」  
 動きはさらに速くなり、両者とも苦しい表情を浮かべる。  
「ああんっ!!兄さん、い、イきそう……ああっ!!」  
「ワシも、げ、限界じゃ……イくぞおおおっ!!」  
 『びゅるっ』と音を立てて、ルヴェルの精液はクリックの  
中へ流し込まれる。  
 
クリックもまた、大きな絶頂を迎えて  
ベッドの上に倒れこむ。  
「ハア……ハア……ハア……ハア……」  
 ルヴェルは弟の顔を覗き込む。クリックはベッドの上で  
肩で息をしながら半ば眠っている。そして、  
(兄さん……ありがとな)  
 声は聞こえないが、そう言っている……気がした。  
 
「…………?」  
 気がつくとクリックはベッドに寝かされていた。  
服も着ていて、毛布も掛けられている。  
「目覚めたか」  
「……兄さん?」  
 近くにある椅子にルヴェルが腰掛けている。  
「もう体も戻っておるぞ」 そう言われて、クリックは確かめた。  
 
――戻っている!!  
「兄さん……」  
「もうこんなことは勘弁じゃぞ」  
 何か言いたげだったが先に言われてしまった。  
 クリックはベッドから降りてルヴェルに顔を近づけた。  
「!?……何を……!?」  
 またキスでもされるのかとたじろぐルヴェルに  
「兄さん……おおきにっ♪」  
 一言言って店のほうへ戻った。  
(いつもの……クリックじゃ)  
 ルヴェルは一安心した。  
 
――ドンドン!!  
 
 強い調子のノックが響く。  
「は〜い、今開けますわ」  
 ドアを開けたクリックは驚いた。  
「こんばんはッス!!」  
「ヤ、ヤヨイちゃん!?」  
 
 びっくりしたものの、突然の来訪者を喜んで迎えた。  
「これ、畑で採れた野菜で差し入れにきたッス」  
「いつもおおきに、ヤヨイちゃん」  
 奥の部屋からルヴェルも顔を出す。  
「おお、ヤヨイちゃん……」  
「ルヴェルは無視ッス!!」  
 対照的にルヴェルには厳しくなる。  
「シクシク……」  
 いつもの構図である。  
 
「じゃあワシは(居づらいから)帰るぞ」  
「ほな、またな〜兄さん♪」  
 クリックは大げさに手を振って兄を見送る。ヤヨイは  
見ようともしないが。  
 ルヴェルも軽く手を振り、後ろ手でドアを閉めた。  
 
 →クリックエンディング 
 →ルヴェルエンディング 

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