今、僕は風呂に入っている。  
何の変哲も無い自宅の風呂だ。  
 
ただ両親と美也が不在で、七咲が泊まりに来ているという点を除けば、ごく普通の日常の光景だろう。  
 
「それじゃあ、一緒にお風呂に入りましょう」  
 
食後に七咲は、何気なくこんな爆弾発言を言い放った。  
うん、もちろん否定する理由なんて無い。  
むしろ願ったり叶ったりだ。  
 
と、いうわけで今、僕は風呂に入っている。  
 
ガラッ  
 
風呂のドアの開く音。  
高鳴る鼓動。  
通所の三割増しの力強さでいきり勃つわが息子。  
振り返るとそこには―――水着姿の七咲が居た。  
 
「あれ?どうしたんですか先輩」  
 
……そうですよね。  
全裸とは言ってないですよね。  
期待を裏切られたショックで、浴槽の縁に突っ伏している僕を尻目に、七咲はそ知らぬ顔で掛け湯をしている。  
 
……うん、それでも七咲と一緒にお風呂に入るなんて、めったに無い機会なんだし、気を取り直して楽しむとしますか。  
それに水着姿も―――これはこれで、なかなかそそるな。  
 
「もう、さっきから百面相してますよ。何を想像してるんですか」  
「え、いや、なんでもないよ」  
「ほら、少し寄ってください。入れないじゃないですか」  
 
湯に浸かっている僕の目線だと、湯船に入ろうとする七咲の格好を自然と見上げる形となる。  
片足を上げて浴槽の縁をまたぎ、チャプンと音を立てながら湯船に突っ込む。  
クリスマスの時の温泉とは違い、明るい今なら七咲の肢体を良く見ることが出来る。  
水気を帯びたおかげで少し縮んだ水着が体に喰い込んでいて、七咲の細身の体のラインを浮かび上げている。  
 
訂正しておこう。  
水着姿も充分にえろい!  
 
「なんかエッチな視線を感じるんですけど―――?」  
「き、気のせいだよ」  
「本当ですか?」  
 
ジト目で僕をにらみながら、もう見せませんと言うように七咲は肩まで湯に浸かった。  
僕と七咲の目線が同じ高さになる。  
七咲の頬に少し赤みが差しているのは、湯の温かさのせいだけだろうか。  
 
「先輩と一緒にお風呂に入るのは……あの日以来ですね」  
 
クリスマスのあの日、僕と七咲が恋人になった日。  
七咲の親戚の持っている混浴露天風呂で結ばれた日。  
あれからまだそんなに時間は経っていないけれど、僕たちはとても幸せな日々を過ごしている。  
とても幸せだ。  
 
「――っと!―――ちょっと先輩!?聞いてますか?」  
「へ?え?」  
 
おっといけない。少し意識が飛んでいたみたいだ……って、えええ?  
いつの間にか七咲がこちらに背を向けて、僕に寄りかかってきていた。  
七咲の着ていた水着は競泳用の水着だった。  
正面から見ると普通の水着にも見えるのだが、背中の方はクロスしたゴムの紐とお尻を覆う生地のみの作りで、実はかなり露出が高い。  
そんな七咲が僕に寄りかかってきている。  
 
やばい!非常にやばい!こんなに直接肌が触れ合うなんて!  
七咲の柔らかい体が僕の前半身に伝わって非常に気持ちいい。  
いや、それよりこのままだと僕の息子が熱暴走を―――――。  
 
「もう、さっきから私の話を聞いて――――――っ!?」  
 
あ、バレた。  
 
七咲の体が僕の体から一瞬で離れた。  
そして開口一番で言われた言葉が、………へんたい だった。  
 
「んなっ!し、仕方ないだろ!」  
 
理不尽だ!横暴だ!これは青少年の主張だ!  
僕は弁解の言葉を口にするが、効果は無い。  
 
七咲はこっちを振り返って、口元まで湯に沈んでブクブクと抗議の音を立てる。  
顔が赤くなっているのは湯の温かさのせいじゃないな、うん。  
 
「………はぁ、もういいです。先輩がえっちなのは充分に承知してますから」  
 
大いに意義ありだけれど、僕が何かを言う前に湯船から上がって縁に腰掛けていた七咲の姿に何も言えない。  
 
ふぅ……うん。やっぱり水着はいいものだ。  
それにしても、たまに学校で見る水着姿より一回りえろく感じるのは気のせいか?  
なんというか、いつもより七咲の体が艶やかというか、むっちりしているというか……。  
 
「この水着、どうですか?」  
 
僕の心を読んだかのような質問をしてくる。  
 
「あ、うん。似合ってるよ」  
「本当に、ですか?」  
「え?う、うん。当たり前じゃないか」  
「……実はこの水着―――」  
 
 中学校の頃に着ていた水着なんです。  
 
それを聞いて七咲の体を良く見ると、なるほど納得だ。  
肩から背中掛けての紐はその体を押さえ込んで、体のラインをはっきりと浮かべているし、  
腹部から腰のあたりの生地は、へその形が分かるくらいにぴっちりと体に張り付いている。  
胸の部分はその水着サイズのおかげか、いつものひんにゅ……慎ましやかな胸の先端が珍しくぷっくりと自己主張している様が見て取れる。  
ひときわ輝くのが、ヒップから太ももに掛けての光景だ。  
サイズの小さい水着に締め付けられた肉が行き場をなくして膨れ上がり、スレンダーな体なのにむっちりとした肉付きに見える。  
内もものそれは特に顕著で、濡れて光沢を放つ水着と、ぷるるんと水を弾く弾力のある白い肉とのコントラストが艶かしい。  
更にその最奥に浮かび上がるのは、縦のラインを描くスジが―――。  
 
我慢できん!  
 
「あ、逢……その、えっと……触りたいんだけど、いいかな」  
「………どこを、ですか?」  
「僕は、七咲の――――」  
 
 
@スレンダーな体幹のへそをほじくり回したい!  
Aむっちりとしたふとももで顔を挟まれたい!  
  B普段は謙虚な胸の突起をつつきたい!  
  C浮かび上がった縦スジをなぞりたい!  
 
 
 

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