***8:久々に殺伐とした日常*** |
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128 名前: 瑞葉 [sage] 投稿日: 03/07/20 16:52 ID:??? 飛石をつたいながら、郵便受けに向かう。花壇に植えられた桔梗の花が、 風で微かなに揺れている。青色のつぼみは、私の気持ちを代弁するかのごとく、 今にも開かんばかりに膨らんでいる。 郵便物を取り出す。投資会社からのダイレクトメール、通販のカタログ、 不動産会社から土地活用の御案内、電気料金の領収書・・・。 「今日もなかった...。」 私の祈りにも近い願いは、叶うことはないのだろうか。 ****** 916 名前: オルガ ◆Xxb7bOruGA [sage] 投稿日: 03/07/19 00:32 ID:??? 痛みをこらえつつ部屋に帰る。明らかに危ない部屋だ。天蓋や何やらが付いてたり急に暑くなったりと、 俺がたのしんでる間にずいぶんといろいろやってくれたじゃねぇか。とりあえず対処の使用も無かった。 机から手紙を取り出す。返事でも、書くか。……なんて書こうか。 「こないだはありがとうございました」 これはいいな。 「失礼なことを聞いてしまい……」 だめだ!こんなこと書いたら瑞葉がまた思い出すじゃないか。 「私のことはもうお忘れでしょう」 ぱくってどうするんだ!ぱくって!誰かに聞くか。おっさんは嫌だし、 船長がいた。明らかに人生経験も深そうだ。俺は船長に声をかけた。 「どうした?オルガ?」 「手紙の書き方を聞きたいんだが、いいか?」 「いいけどオルガが手紙とはまた珍しい。好きな子でもできたのかな?」 ニヤニヤとして船長が聞いた。俺は顔を真っ赤にした。 「ち、違げーよ!とりあえず手紙の書き方教えろよ!」 今度は声を立てて笑っていた。 「オルガ、手紙って言うのは形式にこだわると気持ちが伝わらないんだ。特に、 自分の大切な人に対してはな。」 こくりとうなずいてしまった。何もかもわかっているようだ。この人は。 「わかった、がんばってみるわ。ありがとな。」 俺は自室へと走る。俺の思いを伝えるために。 923 名前: オルガ ◆Xxb7bOruGA [sage] 投稿日: 03/07/19 00:49 ID:??? 瑞葉様 先日はありがとうございました。あなたのおかげで、日本の旅行もとてもいいものになりました。 私の体を気遣っていただいているのなら、大丈夫です。もう元気になりました。 あの金魚は元気にしているでしょうか。私も驚きました。私の泊まっている宿の娘さんだったとは。 日本にいる間、私はとても幸せでいた。あんな平和な光景を最近見たことがありません。 私はこの戦いの早期決着、和平的な解決をすることを信じています。 そしてこの戦争が終わって、私のなすべきことが済んだら、そちらにいきたいと思います。 手紙慣れしてないふいんきを出してみました。 833 名前: マッドサイエンティスト [sage] 投稿日: 03/07/17 17:35 ID:??? MSに応用する為に実験として対人粘着地雷を作ってしまった。 私の才能が恐ろしい。 …説明書をつけてシャニの部屋に2つ置いておこう。 きっと実験に利用されてくれるはずだ。 854 名前: シャニ ◆fp5l7xCBjQ [sage] 投稿日: 03/07/17 19:38 ID:??? 朝起きたら俺の部屋の入り口に、何か見慣れぬ物が2つ置いてあった。 よく見ると説明書もついているようだ。 ・・・なんだ、粘着地雷? 面白そうな物だな。 だが、一体誰が俺の部屋にこんなものを? まあいい、オルガとクロトで試してみるか。 きっとこれを部屋に置いていった奴もそれを望んでいるのだろう。 俺はこの粘着地雷とやらを、オルガとクロトの部屋の入り口にそれぞれ設置した。 自慢じゃないが俺は早起きだ。朝の4時から起きている。 奴らはおそらくまだ寝てる時間だろう。 寝ぼけて部屋を出た瞬間、この粘着地雷が発動する。 ククク、面白そうだな。 13 名前: オルガ ◆Xxb7bOruGA [sage] 投稿日: 03/07/19 11:43 ID:??? また朝の光が差し込んだ。この光がひどく懐かしく感じる。 今日最初にやることは決まっている。手紙を出してくることだ。 艦内で出して誰かに見つかっても嫌なので、俺は町まで出しに行くことにした。 部屋の外に走る、さぁ夢の一歩を……動けん。足元も見た。なにやら鳥もちの様な物があった。 くそ!奴らだ。昨日の夜は無かった。こんなに早起きなのはシャニか! このばを打開するために足をじたばたさせた。こけた。それだけではない。 手紙を落とした。一生懸命手紙をとろうとする。 届かない、やばい。こんなとこをみんなに見られたら……。しかしそこには…… さあシャニの出番だ。比較的殺伐とさせやすいように書いたぞ。 17 名前: シャニ ◆X252m6L3HA [sage] 投稿日: 03/07/19 11:58 ID:??? まだ朝食には早いので、俺は部屋で横になっていた。 ・・・ん? オルガの部屋から変な音が聞こえてくる ハン、どうやらかかったようだな。俺はすぐに奴の部屋まで行くことにした。 そこには予想通りオルガが倒れていた。 「くそっ、シャニ、許さんぞ!」 オルガの奴がほざいたので、俺は倒れてる奴の背中を踏みつけてやった。 「ぐぁっ、てめえ!」 ん? オルガのそばに手紙のようなものが落ちている。 フン、読んでみるか。 「やめろシャニ、それだけは・・・!」 ・・・瑞葉? 戦いの和平的な解決? プッ、なんだこの手紙は。これが本当にこいつの書いた文なのか? しかし、オルガの方を見ると、顔を真っ赤に染めていた。 間違いない、これはオルガが書いた手紙だ。 まあいい、この手紙は後でクロトにでも見せるとするか。 俺はオルガを無視してクロトの部屋へ向かった。 18 名前: オルガ ◆Xxb7bOruGA [sage] 投稿日: 03/07/19 12:05 ID:??? くそ、くそ!あの手紙だけは取り返さなければ! どうすればいい!どうすればいい!俺は悩んだしかしあの手紙だけは! おれははっとした。靴を脱げばいいんだ!何でこんなことに気づかなかったんだ。 靴を脱ぎ、シャニのいった方へと走った。道が分かれている。やつは真っ先にどこへ向かうだろうか。 クロトのところか!室戸の部屋へと走る。驚異的ななスピードだった。 やつはまさに黒との部屋の真ん前にいた。 「やぁめぇろぉぉぉぉぉぉぉぉぃ!」 シャニがこっちを向いた。その瞬間にやつにとび蹴りを食らわした。 シャニは宙を舞った。 24 名前: シャニ ◆X252m6L3HA [sage] 投稿日: 03/07/19 12:19 ID:??? ぐはっ!! オルガのとび蹴りで俺は吹っ飛んだ。 「さあ、早く手紙を返せよ!」 オルガの奴、やけに必死だ。だが、このまますんなりと返しては面白くない。 「ちっ、だったら力ずくで取り返してやるぜ!」 オルガが俺の方に走ってきた。 だが、そこはクロトの部屋の前だ。 俺はオルガの攻撃をかわし、クロトの部屋の前に叩きつけた。 「何!? うわぁぁっ、またかよ!?」 オルガは再び粘着地雷の餌食となった。 47 名前: オルガ ◆Xxb7bOruGA [sage] 投稿日: 03/07/19 14:42 ID:??? こんなところで、やられるわけには!俺は服を引きちぎった。 シャニの頬にパンチを叩き込む。 「ぐっ、うらぁぁぁぁぁぁぁ!!」 アッパーをしかけてきた。ばっちりと決まった。 「いてぇんだよ!」 腹部に決めた。咳き込んだ。その瞬間に手紙をとろうとした。 が、シャニはしっかりと手紙を握っている。一瞬ひるんだ俺にシャニは蹴りを打ち込んだ。 吐き気がする。 「へっ、こんなものぉぉ!」 シャニは俺の目の前で手紙を破った。 「あっ……」 …… 「このやろぉぉぉぉぉ!」 今度は顔面にパンチを入れた。シャニは気絶した。それと同時に、アズラエルがやってきた。 140 名前: クロト ◆WqroXKjrUQ [sage] 投稿日: 03/07/20 20:55 ID:??? 部屋の前がうるさい。なんだよ、僕はまだ眠いんだ。 無視して寝ようと思ったが、うるさすぎて眠れない。 うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。 「うるせぇよ!」 思わず僕は部屋の外に飛び出した。 誰だよ。・・・オルガとアズラエル!まったくコイツらと来たら! 「あ〜あ、もう、うるさい!僕は寝てるんだ!」 「あん!うるせぇんだよ!こっちは取り込んでるんだ!」 オルガはそう叫んだ、と思ったとき腹に何か喰らっていた。オルガの足だ。 あーしまった。油断した。僕は朝がめちゃくちゃ弱いんだ。 うっ!と声を上げるとその場に倒れた。 やばい、効いた。まじ効いた。これはだめだ。あー・・・・ 気が付いたら医務室のベッドの上だった。2日連続で医務室の世話になるとは思わなかったな。 ・・・腹が痛い。そういえばオルガに蹴られたんだっけ。 ん?まて、蹴られた所じゃないとこまで痛い。なんでこんなに腹が痛いんだ? 腹にはなぜかあざが2つあった。 医務室の姉ちゃんに湿布を貼ってもらうと、昨日の今日だから、今日は安静にしていなさいと言われた。 今日の医務室担当が姉ちゃんで良かったと思った。おっさんになんか看護してもらいたくない。 なんであざが2つあったのかよくわからないが、とりあえずオルガには仕返しだ。覚えていろ、オルガ。 55 名前: シャニ ◆X252m6L3HA [sage] 投稿日: 03/07/19 14:57 ID:??? ・・・ここは、医務室? 目覚めたら俺は、医務室の中に寝かされていた。 ちっ、この俺がオルガごときにやられるとはな・・・。 こんなとこで寝てるのもつまらんし、さっさとここを出るか。 誰かいないかと周りを確認したら、いるのは俺の他に寝かされてた病人が一人だけだった。 ん? よく見たら見覚えのある顔だな。こいつ・・・クロトか? オレンジの髪はこのは艦内ではクロトだけのはずだ。 まあいい、とりあえずここから出るとするか。 気晴らしに寝ているクロトの腹を思いっきり殴り、俺は医務室を出た。 57 名前: シャニ ◆X252m6L3HA [sage] 投稿日: 03/07/19 15:13 ID:??? 医務室を出た俺は、自分の部屋に向けて艦内を移動していた。 くそっ、まだあいつに殴られた顔が痛い・・・。 アイツめ、今度あったらただじゃおかない。 それにしても俺が寝てた間に何が起こったんだ? クロトまで医務室にいたし・・・。 よし、そろそろ部屋に着くな。 ん? 俺の部屋の前でオルガとアズラエルが話している。 ハン、オルガめ、怒られてるのか。ざまあみろ。 俺はオルガとアズラエルの様子を、隠れて覗き見ることにした。 130 名前: オルガ ◆Xxb7bOruGA [sage] 投稿日: 03/07/20 18:12 ID:??? アズラエルは近くにいたものにシャニを医務室につれれていかせると、ふぅと溜息をつき事情を聞き始めた。 「どうしたんですか……?こんなに大きな喧嘩をするなんて?」 俺は黙ったいた。何を訊かれても黙ったいた。 「いわないと手のうちようが……。」 「うるせぇよ!」 大きな声を出したからだろうか。クロトがおきてきた。 「あ〜あ、もう、うるさい!僕は寝てるんだ!」 「あん!うるせぇんだよ!こっちは取り込んでるんだ!」 思わず腹をけった。うっ!という声を上げ、クロトはその場で倒れこんだ。クロトも医務室に連れて行かれた。 「オルガ!」 頬に鋭い痛みが走る。アズラエルが俺を殴った。 「君は何をやってるんですか!」 やはり俺は黙っていた。アズラエルふと床を見る。そこには破られた手紙が落ちていた。 アズラエルはそれを拾った。 「原因はこれですね?」 やはり俺は黙っている。 「いいですか、オルガ。手紙は書き直せばよくても。君たちの信頼はそう簡単には直らないんですよ?」 「うるせぇ!その手紙はそんな簡単なものじゃないんだ!」 俺はその場を走り去った。途中でシャニとぶつかった。やつをキッと睨んだ。一瞬シャニはびくっとしたようだ。 142 名前: オルガ ◆Xxb7bOruGA [sage] 投稿日: 03/07/20 21:16 ID:??? 俺は自室に駆け込んだ。 「ふざけんなよぉ!!!」 机の上のものを散らした。壁を殴りまくる。今度はストレスを物に向けた。 俺の目には涙が浮かんでいた。そうしていると目に瑞葉の手紙が映った。 何で破るんだ。シャニの野郎。あんなに真剣に考えて書いたのによぉ。 おっさんも書き直せる、っだ?ふざけんじゃねぇ。あんな手紙書き直せるわけないじゃねぇか。 壁に頭を何度もぶつけた。 「どうした?大丈夫か?」 それは艦長の声だった。 「悪いが引き取ってくれ。」 「しかしなぁ……。」 「帰れっていってんだよ!」 明らかに泣き声だった。 「わかった、だがオルガ、これだけは聞いてくれ。私はもうすぐこの間を去るんだ。」 「えっ!」 思わず声がでた。 「そのときにこの艦が……何だ?ドロドロな状況だといやなんだ。だから、お願いだからお前ら三人には 仲良くしていて欲しいんだよ。」 しばらく沈黙が続く。 「じゃあな、頑張れよ。」 俺はずっと黙っていた。足音が遠くへと去っていった。 俺は静かに机に向かった。手紙を書き始めた。さっきとまったく同じ内容。しかしそれに込められる思いはまた変わっていた。 その手紙を艦内ポストに出した。あいつらに謝りに行こう。 163 名前: シャニ ◆X252m6L3HA [sage] 投稿日: 03/07/21 19:06 ID:??? 「いいですか、オルガ。手紙は書き直せばよくても。君たちの信頼はそう簡単には直らないんですよ?」 「うるせぇ!その手紙はそんな簡単なものじゃないんだ!」 オルガとアズラエルが言い争ってる。 俺はその光景を隠れて見ていた。 ん? オルガが俺のいる方に向かって走ってくる。 なんだ、もう言い争いは終わっちまったのか。 オルガのあまりの速さに俺は避けきれず、ぶつかってしまった。 「ぐっ。」 かなり痛かった。 ここでまた殴り合いになるのか? だが、オルガは俺を睨みつけた後、走って自分の部屋へ入っていった。 ・・・俺も自分の部屋に戻るか。 部屋に入ってしばらくすると誰かが入ってきた。 ・・・オルガだった。 174 名前: シャニ ◆X252m6L3HA [sage] 投稿日: 03/07/22 21:04 ID:??? オルガが俺の部屋に入って来た。 なんだ、何しに来たんだ? 「すまん、さっきは悪かった!」 ・・・!? オルガが俺に謝った・・・? コイツが謝るなんて過去にないことだ。 「勘違いするなよ、艦長と別れるまで一時休戦ってことだ。」 「へっ?」 艦長と別れる? マジかよ・・・? 「・・・わかった。こっちこそ手紙、破って悪かったな。」 「気にするな。」 オルガはそう言うと俺の部屋から出て行った。 そうか、艦長はもう俺達とは一緒にいられないのか・・・。 そう思うと、少し寂しかった。 342 名前: オルガ?いさだくフリセ ◆agurOOY75E [sage] 投稿日: 03/08/04 18:57 ID:??? 俺はクロトの部屋のドアを静かに叩いた。音を立ててドアが開く。明らかに嫌な顔をしていた。 当たり前か。 「よぉ……。」 クロトは俺の顔を見るなりいきなり 「なんのようだ!あっ、イタっ」 腹を抑えている。相当痛がってるようだ。 「大丈夫か?……悪かったな」 下を向いていたかを上げて、ポカンとした顔した。が、すぐ目に色を取り戻し 「いまさらおそいんだよ!抹殺!」 と俺を殴ろうとしてきた。が、また腹が痛いのか下を向いた。 「へ、怪我人はおとなしく寝てな。」 言ったあと後悔した。何か言われる前にそそくさとその場を去ることにした。 350 名前: クロト?!殺抹? ◆WqroXKjrUQ [sage] 投稿日: 03/08/04 21:47 ID:??? 安静にしろって言われてもなー。ただ寝てるのもつまらなかったので、ゲームをすることにした。 腹が痛ぇ。ゲームに集中できない。あー腹が痛ぇ。 なんでこんなに腹が痛いんだ。たかがオルガに蹴られたくらいでこんなに痛くなるもんか? 全然集中できなかったので、ゲームはやめて大人しく寝ることにした。 ・・・・畜生!腹が痛くて寝付けない!! 小さくドアをノックする音がした。誰だ?ドアが開くとそこにはオルガが立っていた。 「何の用だ!」叫ぶと腹に激痛が走った。クソッ!それもこれも全部コイツのせいで!そう思うと苛立ちが増してきた。 「大丈夫か?……悪かったな」 ・・・・・・・・・・・・は?オルガが謝った? 思いがけない言葉に呆気に取られ、一瞬自分が怒っていることを忘れてしまった。 いや待て。謝ったところで僕の腹がオルガのせいで痛いことにはかわりない。 「今更遅いんだよ!抹殺!」 殴ってやろうとしたが、あまりの腹の痛みでそれは失敗した。痛い!痛い!痛い!! 「へ、怪我人はおとなしく寝てな。」 そう言い残すとオルガはさっさと部屋を出ていった。って、てめぇのせいだろ! あいつ、あの程度で謝ったつもりなのか!?この恨みはいつかはらさせてもらうからな!!!撃滅!!!!! ********* 172 名前: 瑞葉 ◆3.MIZha1WU [sage] 投稿日: 03/07/22 17:01 ID:??? 「そんなに返事が待ち遠しいかね?困った娘だね。お前は。」 このところ、郵便受けから郵便物を取り出すのが日課になっていた私に、 おばあちゃんは半ば呆れていた。手紙を送ってからもう何日が過ぎただろう。 飛石をつたい、郵便受けに向かう。 水道料金の領収書、リホーム会社からのダイレクトメール、電話の利用明細書、 そして・・・、「来た!本当に返事がくるなんて...。」 ほんのひと時を共有しただけなのに、あの人は返事を書いてくれた。 新規事業開拓にヘリオポリスへ出かけ、そのまま天に召されてしまった 父と母が手助けしてくれたのかもしれない。私は自室に戻り、丁寧に封を切った。 「日本の旅行もとてもいいものに」 良かった。喜んでいただけた。 「もう元気になり・・・」 そう、本当に良かった。 「金魚は元気にしているでしょうか」 ええ、もちろんです。 「私のなすべきことが済んだら、そちらにいきたい・・・」 本当だろうか?私が来年の夏も会えたらなんて書いたから、ただのご挨拶 かもしれない。・・・でも、そうでないと信じたい。 とにかく、返事が来たことに感謝しよう。私とオルガさんの出会いは、まだ 終わっていない。 私は、返事を書き始めた。 273 名前: 瑞葉 [正直3人の殺伐分キボン sage] 投稿日: 03/07/25 17:03 ID:??? 親愛なるオルガ様 お返事ありがとうございます。お元気でいらっしゃるようで、安心いたしました。 いただいた金魚も元気にしております。私も、この戦争が一日も早く終わることを 望んでおります。 正直に申しますと、軍のお仕事で忙しく、私などに返事を書く暇なんて 持っていらっしゃらないのだろうと半分あきらめていたところでした。 実際、私とオルガさんの関係は、たまたま金魚をいただいただけ、そして、 偶然にも祖母の経営する旅館のお客様でいらっしゃった。ただこれだけに 過ぎません。 でも、どんなに共有する時間が短くとも、オルガさん、私は、あなたに出会った その瞬間、あたりの空気が震えるような、それでいて暖かい何か感じたのです。 もちろん、初対面の方にそんなことを言えるわけありませんから、その場は お礼を述べ、立ち去るしかありませんでした。 あの夜、オルガさんの苦しそうなうめき声を耳にした私は、勝手にお部屋へ 入り、しばらくお側にいさせていただきました。オルガさんがおやすみに なられたのを確かめた後、私は自室へと戻り、床に就きました。 「なぜこんなに、あの人のことが気になるのだろう?」 「なぜ私は、出会った瞬間に、この人ならわかり合えるなんて思ったのだろう?」 私は、その理由を見出せないまま朝を迎え、あなたはお帰りになられました。 迷った末に、私は手紙を書いてみようと思い立ちました。 そして、きっとヘリオポリス崩壊で天に召された父と母が、手助けしてくれたのでしょう。 私は今、あなたからのお返事を手にしております。 274 名前: 瑞葉 [sage] 投稿日: 03/07/25 17:04 ID:??? (2枚目) 近くの図書館で借りてきたブレイクの詩集に、こんな一節がありました。 砂子のうちに見ゆるは世界 野花のうちに見ゆるは天界 汝、その手のひらに無限をつかみ つかの間の一時に永遠をつかめ 気が向いた時だけで構いません。よろしければ、これからもそちらのご様子を お手紙で教えていただけないでしょうか。もしお返事をいただけるのでしたら、 私もそのようにいたします。つまらないお願いをして申し訳ありません。 お気に召さないようでしたら、この手紙は破り捨ててください。 瑞葉 ご無理はなさらずに。ご無事を祈っております。 いつかまたお会いできることを信じて BACK<<HOME>>NEXT |