realize
8th Pleasure
互いの仕事の都合で、話すことの出来ない日々が続いた。
連絡とることすら、出来ない。その間、私は、仕事に没頭していた。

もしかしたら、終わりになるかも知れない。
逢えない時間で冷静に考え、二人の関係を終らせるかもしれない。
そう思いながら・・・・
彼が仕事に行く前においていった課題。
”一日の身体の疼きをメールにして送ること”
その課題に答えながらも・・・。
私は、いつも終わりを見据えて、いた。
そうでなければ、いきなり切られても仕方がないと、あきらめているから。
私の中の罪悪感は、いつもいつも、私を苦しめている。
それでも、彼からやめようといわれない限り、私は彼を待ってしまう。

二人の間で行われる、言葉だけのセックス。
これが私を、そしてきっと彼をも捕らえ、離れられなくなっているような気がしていた。
事実、私はパートナーとのそれに、その決定的な瞬間を迎えることが少なくなってきているのを感じ取っていた。
決して満足していないわけではない。ただ、いくばくかの絶頂感が変わってきていた。
パートナーとのやさしく包み込むようなそれと、彼と行う、その互いの希望を叶えるかのようなそれでは根本的に質が違うのだろう。

その間に、私は彼との終わりを予感していた・・・・。
逢いたいと、そう、実際に逢いたいと感じるようになってしまっていたからだ。
それでいて、そんなことを彼は望んでいないことも知っていた。
はじめからチャットの世界だけでの関係を望んでいる。
その中でならどんな淫らなことも私は出来たのだ。彼の言葉一つで自分の女が疼いてくるのがわかるほどに。
浅ましいまでに貪欲な私。
彼が欲しいと喉まででかかって、そんなことは望んではいけないことと境界線が見える。

そんな中彼からのメールが届いた・・・・
”帰りました・・逢えますか?”
私は、心揺れながら、チャットへと入っていく。

ゆり>帰り早かったのですね?
夏彦>ええ、いろいろ条件が重なりまして・・
夏彦>メールを読みました。
ゆり>恥ずかしいな・・・
夏彦>貴女の本当が書かれている文章ですね。
ゆり>・・うん・・・・

どことなくぎこちない会話。

ゆり>・・貴方のメールを見たとき、心臓が跳ね上がりました。
夏彦>放置されていたようなものですものね・・しばらくの間。
夏彦>待っていたのでしょう?
ゆり>・・待たれるのって鬱陶しいよね・・・・

私はそう思っていた。
『待つ』という行為はエゴ以外の何者でもなく、相手にプレッシャーを与えるだけ。

夏彦>いいえ、とんでもない。
夏彦>こんなに早く帰ってこようとしたのも
夏彦>みんな、ゆり・・貴女に逢いたいがためです。

そんな言葉に私の決意はもろく崩れていく。
終わりにしなくてはならない関係が続いていく。
彼が私を・・求めていてくれることにどれだけの快楽が生まれるのだろう・・。
全身を嵐のように駆け巡る。
−終わりを考えられなくなる・・・
勘違いしたまま、この時間を過ごしたいと願う。

ゆり>でも、本当に夏彦さんって私の行動をよく読んでいるよね?
夏彦>意識的に読んでいるつもりはないんですけどね。
ゆり>夏彦さんは奥が深くって私では全部読みきれないけど(苦笑
ゆり>私の今の気持ち、わかる?

私は、何の気なしに、聞いてみた。そう、ほんの言葉のあや。

夏彦>私がゆりを抱きたいと思っているようにゆりも私に抱かれたいと思っている・・
夏彦>はずれ・・ですか?
ゆり>・・・・・・
ゆり>・・あたらずとも遠からずですが、私は・・それがリアルに欲しいと少し思っているからなぁ・・・・

そう、決して逢わない二人であると知っていたはずの私である。
そんなことを言えば彼が困ることが周知の事実。
それでいて、そんな言葉が自分から出たことに驚きもあったけれども。

夏彦>私はそれを言ったのです・・・

私は一瞬息を飲んだ。まさか・・彼が、そう彼がそんなことを言うはずはないと。
ここでの私のみを求めるといっていたはずの彼が。

私の中の何かが外れる音がした。
・・・逢いたい・・・・!!
その願いが叶うのかもしれない・・・そう思った瞬間、私はとまった・・・。

逢ってはいけない・・・・

私は自分の中に巣食う、何かをこの数日の間に見極めていたのだ。

私は私自身をよく知っている。私の何たるかもだ。
もし・・・・もしも、だ。
彼とリアルに逢ったならば、その瞬間、身体が彼を求めてしまうだろう。
すべて、自分の中にあるその欲望が。
おそらくその快楽は今まで味わったことなど決してないほどのものであるだろうと予測もつく。
そうなったならば・・・・・

私は、
間違いなく、
身体だけでなく、
心ごとすべて、
そう、すべて・・・・・・・
持って行かれてしまうことだろう・・・・・・・。

彼だけに向かう想いを押さえることなど不可能に近い。

そうなったときの状況は容易に想像がつく。
何の罪もない、私の周りのすべての人々、
パートナーであり、彼”夏彦”であり、を
私のただの、わがままで傷をつけてしまう・・・
そして、その傷つけてしまった自分が、
そのあと壊れていくのだろう・・・・
それならば・・・

最初から自分だけが壊れてしまえばいい・・・
願いはすべてをかなえることなどできやしない。
私は、私の一番の願いを封印することで、自分を壊そう・・・

彼に向かう自分の気持ちに偽りなどはないこと・・
その想いをすべて閉じ込めることで、
私以外を守りたい・・・・

そして、彼を欲しいこの感情はそのまま、すべて自分の中で抱えてしまおう・・・。

それが私の彼への真実に他ならないのだから。

夏彦>ゆり・・・・
夏彦>私のところへ・・
夏彦>いらっしゃい・・・

甘い、甘い、麻薬のような誘惑。
その誘惑に負けてしまいそうになりながら、彼の腕の中で私は・・・

刹那の快楽に堕ちて・・・いく・・・
9th in the roomへ

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