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・・・・満たされない何か。
ずっとそれを捜し求めていたような気がする。
それは、外ではなく内なる自分にあった。
誰のためではなく自分の為に。
自分自身の為に生きること。
自分自身で在ること。
パートナーが彼自身の中で私への不満を募らせているのは知っている。
方向は間違っているけれども。
だが、感情が動かない状態で身体のつながりを義務として受け入れようとしても、ますます心が凍ってしまう。
本当ならば、受け入れれば多分済むことだと知っている。
眼を閉じ、耳をふさぎ、これが普通の、生活だと、思い込ませれば。なかったことだと。
知らなかったことを知らなかったこととして。
今、受け入れられないことに、私はジレンマを起こし、そして、彼を受け入れられないことに苦しみ、自己嫌悪の無限ループにとらわれている。
きちんと話し合いの出来る時間が、精神的にお互いできるまでは。
このまま、考え続ける必要があるのだろう。
私は、きっと、過去を今切り離そうとしている。否定ではなく、前を見るために。
間違えてはならないこと、誰かを傷つけようとしているときに自分が傷ついている場合じゃない。
自分はどれだけでも傷つかなければならないのだ、それが私に与えられる罪であり、罰なのだから。
そう私は、何より、誰より、自分自身が一番大事だったのだ。
誰かのために何かをする事で自分を大事にして欲しくて・・・その欲望に囚われていて。
そして、満たされないときに勝手に傷ついて・・・。自分を壊していく。
どうやっても、どんなにしても、私自身が自分を今壊し始めている。
それでも、私はそれを今受け入れている、そうなったのはすべて自分の責任だから。
壊れるなら壊れてしまおう、それも私が受けるべき罰だろうから。
ある意味の潔さがあった。
ようやく・・・・そう、ようやくそこまで行き着いたのだ・・・・。
だれでもなんでもない、私の中にあった、答え。
パートナーの中にも、彼”夏彦”に求めるものでもなかった。
私自身の・・・中に。
自分自身が壊れようとしたそのときに、見つけ出すことが出来たそれ。
ぎりぎりのがけっぷちに立ったそのときに。
私を今まで作り上げてきたもの。
私が今まで育ててきたもの。
私が最も恐れているもの。
どれだけ悩み、苦しんで、導き出された答え。
いつも、私は、彼に「もう要らないから」といわれるのが怖くて仕方がなかった。
不安感だけが私を苛んだ。彼に思われているという感情を抱いたことがほとんどなかったから。
そう、彼にとって私といると便利だから、そんな理由で一緒にいるとしか考えられなかったから。
私が、彼を好きだという。その思いだけでしかなかったから。
だから、拒めなかった、彼本位のセックスを。これが普通で感じなくてはならないと自分を縛った。
私はパートナーの無意識下によるコントロールに置かれていた。知らないうちに萎縮して彼の望むままにいようとしていた。
彼に彼の周りに抑圧されていた。私自身でいられなくなっていた。
もがき苦しんで、逃げたくて、逃げられなくて、自分から壊れようとしていた。逃げ道を探していた。
でも・・・・
楽しい日々ももちろんあった。彼と過ごしたこと。駆け抜けた時間。
彼だけを想って、彼しか見えなかった。誰も邪魔しないで欲しいと願っていた。
それが間違いだったなんていわない。それを否定なんて誰にもさせない。
だからこそ、今の私がいるのだから。
もっと私が人間的に出来ていたならば、彼を丸ごとそのまま受け入れることが出来ただろうか?
・・きっと、それならば私は悩むことは無かっただろう。
パートナーとして、母親代わりとして、彼のすべてを受け入れることが出来ていたならば。
いや、きっと無理だっただろう、私は「彼の母親」ではないから。
彼に「私の父親」を求めていないから。
もちろん私自身が未熟すぎ、彼もまたそうだったのだと考えられる。
そして、私の神経質さも、滑車をかけた、考えすぎる性格も。
内なる声に、耳を傾け、私は答えを見つけ出してしまった・・・もう、後戻りが自分自身では出来ない。
出来るくらいなら、悩んだりしなかった。見ないふりを続けられていた。
私は彼を拒絶、した、尊敬できなくなったから。
信頼できなくなったから。
話をしても伝わらない私の気持ち。
聞いてもくれない、彼の感情。
不器用ならば、何をしてもどうしてもいいのか?
何の為に言葉があるのだ?
何度と無く、話し合いを望んでも彼から拒絶され続けた。
もう、やめてしまおう、彼に何かを望むのは、私が変われば、彼も変わってくれるだろうか?
いいえ、彼は変わらなかった、ただ、私がやるのを受け入れ、それ以上自分からなにか返してくるわけではない。
それが当然、自分のために私が何かするのが当然。自分はそこにいるだけ。
受け入れるだけが彼の感情なのだ、自ら動く必要性を感じていないから。
私の出口が無くなる、誰に言っても、どこへ向いても私のわがままとしか捉えられないだろう。
彼に、落ち度は無いというだろう。男なんてそんなものだというのだろう・・・・。
理想論だと笑うだろうか?
私は互いに話し合い、お互いを分かり合う時間を過ごしていきたかった・・・。
では、彼がそれをなおせばやり直せるのか?
おそらくは無理であろうことを、私自身は知っている。
彼”夏彦”への感情は?
それは私はもう、何も考えていない・・・・
そういいきるのは不適切だろう。考えていないのではない、彼は、まだ、現実ではない。
あくまでも私にとって都合のいい相手だ、だから、理想論をぶつけている、逃避と呼ばれる何かになりかねないから。
彼への想いは別の次元にあるから。
だが・・・誰よりも何よりも、逢いたいと願う彼に逢わないこと。そうすればきっと彼は私を忘れてくれる。
彼が忘れても私が忘れなければ想いは残るから。
本当に、本当に、彼のことを想うならば、私の立場で彼に逢うことは間違っていることを知っているのだから。
たとえ、彼が逢いたいと想ってくれていて、私も逢いたいと想っていても。
私が彼のことを想うのは彼にとって負担に他ならない・・・・。
それでも心にはうそがつけなくて、幾度と無く、夢で彼と幸せな時間を過ごす。
涙とともに目覚めて、その落差に苦しめられても。
私がかぶらねばならぬ、現実と戦う力になっている。
彼が見ている、その、ゆるぎない、瞳で。
自分に逃げこむなと、眼を背けるなと。
勝手な思い込みであるとしても。
それでも、いい。
私が自分を見つける過程の道標。
それとして、立ち止まって、待っていてくれると感じる部分はあるのだから。
過去を省みて、未来を見つめて、私が、私を探して、私は、私を求めて。
求めてやまない、自分自身のアイデンティティ。はどこでもない自分自身の中にあったのだ。
解き放たれた自分がいた・・・・・・。
彼にわかってもらうために何をすべきか、今度は考えようと、している。
否定はしない、私自身はもう、一緒に時間を生活を積み重ねることを望んでいないのだ。
ふれられることを全身で、精神的に、恐怖で拒んだ自分では。
切り捨てる・・といわれてしまうのだろうとは思う。
冷たいとも言われるだろう。
・・・・自分でもそう思うのだから。
でも、パートナーにはちゃんと私以外にも支えになってくれる人はいるだろう。
それぐらい、わからないわけじゃない。
じゃぁ、私は彼”夏彦”を支えにしたいのか?
それにも私はNoと言える。
それをしたら、私はきっと同じことを繰り返してしまうから。
彼の望む私を演出してしまう、可能性を否定できない、私自身の性格からして。
だから私は私自身で立って歩くことを選んだ。
支えを探しては、私自身が変わっていくことが出来ないのだから。
でも、彼がいるというそのことだけで私が解き放たれていくのは感じている。
とても、ずるい。かもしれないけれども。
いつかお互いがまったく対等に、自然に向き合えるそのときには。
互いを確認して、そして新しい関係として生まれる何かがきっとある。
以前とは、きっと、変わっている私を、私自身が受け入れたから、それだけで。
私は彼”夏彦”と巡りあった意味があると感じている。
人として。
ただ、の一人の人間として。
まだ、あがき、苦しむのだろう。
見つけたばかりだから。
自分自身を。
まだ揺れるのだろう。
好きでいた、楽しかった思い出が私を捕らえるから。
自分が酷い人と思われるのが怖いから。
過去を捨て去る勇気があるかどうか・・・それがわかるその日まで。
どうにもならない、この感情を、もてあましながら。
私は生きていかなくてはならない。
それが人を傷つける代償だ。
見つめて、自分を。そして、理解して。
私は私でいて、いいんだと。
がむしゃらに、パートナーが好きだった自分。その感情を否定したり決してしない。
その思いは間違ってなんかいなかったから。
人を好きになることに理屈なんてない。
ただ、ただ、彼を想って、彼だけを信じて、二人でいたいと願ったことはうそじゃない。
でも・・・・
だからこそ、私は、また、人を好きになった。
新たな感情は、最初から成就を望めるものでは無いとわかっていても。
2人ともが新たな道を歩めるように。
苦しくても、その選択が選べるように。
きちんと話が出来るように、私は今考えてやまない。
もう、彼を受け入れることがどうあがいても出来ない自分を見つけてしまったから。
私が欲しいのは・・・誰でもない、私だから。
抱きしめて、私自身のその両腕で。
どんなにか、闇が深くても。
どんなにか、闇が長くても。
明けない夜は無いように、必ず光はやってくる・・・・・・。 |