realize
3rd Puzzled
その日も、私は暇をもてあましていた休日だった。
相変わらずの休み。
彼は仕事で留守。
まるで見えない糸で引きずられるかのごとくサイトを開けてしまっていた。

飛び込んでくる、”夏彦”という名前。
そして・・・”・・・ゆり・・・”
私の名前がメッセージに浮かんでいた。

私を待っている・・・その行動に私は一瞬、そうほんの一瞬そのとき胸が高鳴った。
いいえ、違った。
私はそれを待ち望んでいた・・彼が私を望んでくれるのを。
でも、私はそこへ入ることは出来なかった。
なぜなら、そこでは誰かに見られてしまうかも知れないから。
もし私を私と見抜く人がいたら・・・。
ありえない話と笑うかもしれない。それでも私は誰かにこのような行為をしていることを知られることを恐れた。

私を・・待っていてくれている・・・
そのことを十二分に感じながらも私は、どうしても入ることが出来なかったのだ・・・。

そして、翌日。
その日も休みだったが、パートナーは仕事だった。
私は恐る恐る、例のサイトを開けてみる。
彼・・はいた。しかしメッセージは以前のものに戻っていた。
とてもほっとしたのと同時に、がっかりしたのも事実だった。

そんなことを考える自分に、少し驚きながらも。

そして、私は、彼に会わないでサイトを閉じた。

会いたかったのか、会いたくなかったのか・・・・?
それはわからない。

夜、パートナーが忙しさの中泥のように眠りにつくころ、私はネットの世界へと身を投じる。
もてあました時間のやりきれなさを埋めるため。

チャットの世界はとても、面白いと思う。
夜も昼も、出会いを求めて、ぬくもりを求めて、自分の足りない何かを求めて。
そして、必ずといっていいほど誰かがそこにいるものだ。
私はでも、何故そこに行くのだろうか・・?
まだ、わからない。

休みの夜だけあって人は多かったように思えた。
彼はいないだろうと思ってきてみたものの、その実探しているのはわかっていた。
果たして、彼はそこにいたのだ。
”飾らない人・・・・”
その言葉に、私は一瞬戸惑いを覚える。
何故、メッセージが変わっているのだろうか・・・?

思わず私はその部屋をあけてしまった・・・

ゆり>こんばんわ?
夏彦>こんばんわ、ゆり。
ゆり>誰かを待っていたの?
夏彦>”ゆり”の花言葉はなにか知っていますか?
ゆり>・・・・・・・・・
ゆり>・・・私・・・・を・・?
夏彦>ええ、貴女を。
夏彦>今私が待つのは貴女です。

そのとき私は少しだけ、後悔をした。
自分を待っているといってくれた人に対して。
なぜなら,私の望むものを与えてくれる人のような気がしたから。
それはすなわち、パートナーへの裏切りを意味するのではないかと・・・・・。

普通の会話のはずなのに。

そして、私は何度となく、彼の待つその場所へ行くようになっていた。
「私を待っていてくれる」
その想いは私を有頂天にさせているのだ。
結婚して、安心感の中にいた私に、もたらされたときめき。
本来ならば望むのが筋違いのもの。
それでも私は知りたかった。
彼の本当の考えを。
そして、私の中にあるこの感情がなんなのかを・・・・・・・・。

そうしているうちに、私は自分の中に隠されていたある一つの事柄に気付かされはじめていた。
いや、彼”夏彦”ははなから見抜いていたと思われる。

そこここにちりばめられた、言葉。
私の確信をついて、
私の心の奥底を見透かしていたのだ。

私はでもまだ気がついていなかったのだ。
知らなかった世界に入り込んでしまっていたことに・・・・・・・。
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