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再会はあっという間だった。
私のパートナーは仕事ばかり。
決して私をないがしろにしているわけではない。
いや,たぶん、普通に結婚数年たった夫婦としては人並み以上に身体を重ねているのだろう。
夫は私を求め、私もそれに応じていた。
だが、本当は気がついていたのかもしれない、ただ、体を重ねるだけだったことに。
それでも、週末、一人で出かければ、否応なしに仲のよい夫婦やカップルを見るにつれ心が痛む。
勢い、家に閉じこもりがちになる。
そうして、夫のために料理を作ったり、ネットを漂うことで自分を抑える。
不満があるわけではないのだろう。ただ、二人でいる時間が少なすぎた。
眠るとき夫の腕に抱かれ、安心感の中眠ることと私の望む普通の生活に少しだけ、そうほんの少しだけずれがあったのかもしれない。
ないものねだり・・・
その隙間を埋めたかった自分。
ぬるま湯の中で、何か刺激を求めた自分。
でも、理性で戻る根拠なき自信があった自分。
すべてが私をその世界への更なる1歩を歩ませたのだ。
私は先日、自分が見た世界へもう一度、足を伸ばした。
そこに果たして、彼はいた。
自分を待っているかどうかなんてわからない。
でも、そこに確かに彼の名前があったのだ。
同一人物かわからなかったけれど、私はもう一度彼のもとを訪れたのだ。
ゆり>こんにちわ。
夏彦>こんにちわ。
ゆり>・・・・貴方はこの間の夏彦さん?
夏彦>ゆり、、ですね。いらっしゃい。
同じ人に逢うこと。安心感から思わず感情をぶつける。
ゆり>この間、貴方と話した後、思わず彼に会いに行ってしまったのよ。
夏彦>・・・あれからですか?
ゆり>そう・・・・
ゆり>だって・・・・・
私はあの快楽の高さをもう一度得たいと思った。それはその方法は、そのときなかった唯一の行為を実際に体験すること。
リアルなセックスを望んだ。
夏彦>・・・それでは貴女は、あの日・・・
夏彦>ここで、私に嬲られ、
夏彦>さらに、彼と・・・というわけですね・・・・・・
ゆり>?
夏彦>いえ・・・・
夏彦>彼は忙しいから、来週まで会えないと言ってらしたのに・・
そう、でも私のパートナーはきちんと家に帰ってきていた。
しかし仕事の多忙さを知っている私は、彼にそれをねだることなどするつもりなんてなかった。
だけど・・・
あの日は、帰ってきたパートナーに思わず抱きついてしまったのは事実だ。
熱く疼く身体をなんとかしたくて・・・・。
充足感はあったはずだ。
大事な人との直接的な肌のふれあい。
なのに・・・。
私はまた、ここに来てしまっていた・・・。
この”夏彦”と呼ぶ彼の言葉・・・
その言葉が私を再びのその世界への扉を開けさせる・・・。
ゆり>今日も彼は仕事なの。
夏彦>そうでしたか・・・・
ゆり>だから、昨日のうちに帰ってきたの。(違うんだけどね、早く寝かせただけなんだけど)
夏彦>ええ。
ゆり>またしばらくは会えないからね。(・・ほとんど余裕のないパートナーだし・・・)
夏彦>それは・・・さびしいのでは?
ゆり>うん、でも仕方ないから(知っていて結婚へ踏み切ったわけだし)
何故、私はこの人にこんなことをそう、フェイクをかけながらも本音を言っているんだろう・・・
わからない・・・・
でも・・
話しているとなんだか・・心が楽になる。
言えない・・言ってはいけない。
困らせてしまうから・・・。
その思いなのだろうか・・?
わからない。
気付いていたのかも知れない、認めたくなくとも。
私は、そんな感情が入り混じっているのに気がつく余裕はなかった。
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