|
私がこれから選ぶかも知れない道。
ただ・・・何もせずにこのまま過ごすなら、行動を起こして、結果が出るほうがいい。
そう、考えるようになった。
今までの自分。
あの時ああしておけば。
あの時こうしておけば。
決断力が無くて、出来なかった。
もしかしたら、取りかえしがつかなくなるかもしれない。
それでも・・・いい。
起こさないことのほうが、多分、あとが辛い。
たとえ思っていたのと違ったとしても。
やらないでいるよりずっといいと感じるようになった。
傷になるかもしれない。
でも、傷なら時間が解決してくれる。
痕になるかもしれない。
でも、それが誇りに思える日がくるだろう。
そのとき、自分の出来る精一杯。
それを、選ばなくては、私は一生このままだ。
だから、今、決断の時なのだと思う。
私の心の赴くまま。
決断は、黙っていてもやってこない。発端は何になるかもわからない。
緩やかに過去を振り返る。
私の決断は、間違ってなんかいない。
単純に考えた。
私は、誰に抱かれたいのか?
パートナーに抱かれることは、今は自分で受け付けない。
”夏彦”には?
抱かれたい、そして抱かれたくない。
どちらも真実。
抱かれないまま終われば、それはそれ。
でも・・・・・・
抱かれなければ終わらないのかも知れない。
遊びでも、その場限りでも、彼にとって通りすがりのこんな恥ずべき女でも。
彼と刹那の快感を共有できるならば。
きっと、そのことに悔いなんて残らないから。
全身に刻まれた証が、私を、快楽の只中においてくれるだろう。
それは、望む自分がいるから。
そして彼をどれだけでも抱きたいと思う自分がいる。
抱かれたいし、抱きたい。
彼を。
彼の心も、抱けたらいい。
なぜかは知らない、彼の、空虚な部分を一時でも埋めることが出来るならば。
あれほどまでに、自分を持っている彼、でも、どこかぽっかり抜けているように感じている。
それが何かなんてわからないけれども。
見えない何かを探し求めている、そんな気がしてならない。
答えなんておそらくはないとわかっていても探そうとする。
淋しさ、ではない、なにか、を。
彼自身の強さの裏側にある、おそらくは自覚していないだろう何か。
その心の奥底を抱きたい。
こんなことを私が想うのはおこがましいけれども。
その、想いのかけら一つでいいから。
私の中に残れば、私の誇りになってくれる、きっと。
彼を好きになってしまった自分の。
間違っている、でも、止めることなど出来なかった感情。
好きになりたくてなったんじゃない。
ただ、気がついたら好きになっていただけ。
言い訳と取られても、それが現実。
酔っているといわれるのかもしれない。
それほど、冷静さを欠いていない。
逢うことを考えてさえいなかったとき、既に私の心に彼が存在していたのだ。
そして、そのとき、私はパートナーへの違和感に一部気がついていたのだ。
それでも、自覚はまだ、出来ていなかったのだけれども。
内面を見つめ、自分の心と向き合い、初めて見つけた自分の闇。
パートナーへの不信感。そして、決定打。
私にとってのパートナーの存在、彼にとっての私の存在。
そして、私は、今望むこと。
・・・・リセット・・・。
悔やむかもしれない。
パートナーは悪い人じゃないから、苦しむかもしれない。
私はもう、パートナーに抱かれることが出来ないから・・・・
触れられても、何も感じられない。
あんなに好きだと思っていたはずの彼に触れられて、身体が硬直してくる。
お願い・・・触れないで欲しいと願ってしまう・・・。
見えてしまった私の本当の闇。
欠落した私の部分。
それを埋めるのが他人ではなかったこと。
それを自覚し、埋めるべきは自分自身でしかないこと。
私はいまだ、精神が幼い、わがままな、人間。
人と暮らすということなどおこがましい、人間・・・・。
人を好きになる資格なんて、きっと・・無い。
それでも理屈ではない何かで彼”夏彦”と出逢ってしまった・・・。
何もかも、ボタンを掛け違ってしまっている。
いいえ、最初から違っていたのかも知れない。
見ないふりをしたのは私。
責められるべきは私。
ふりきるもこのまま過ごすも後悔するだろう。
だが、彼には私じゃない誰かが。
きっと、出来る。
私は・・・わからない。
彼”夏彦”とのことは、違うから。
彼には負担をかけるつもりはまったく無い、これは私の問題だから。
ただ、彼はいてくれるだけで私にとっての、支えになっている。
彼自身にその気は無くてもかまわない。
私の中に彼がいる、それだけでいい。
彼に何かを求めない。
私が彼を好きなだけ、ただ、それだけ。
彼にとって私といる時間が、少しでも彼の楽しみになってくれればそれでいい、それ以上望まない。
私は、なにかが欠落した人間であることは自分自身よくわかっている。
だから、私とは違った彼”夏彦”に惹かれている。
大人な、彼。
なんの役にも立てない自分が情けなくもなるが。
彼のことを好きでいるだけは私の想い。
でも、本当は彼を想う資格なんて、私には無いことも知っている・・・。
彼がいなくなったとしても、私はきっと彼を好きでいることだろう。
そして、いつか、思い出に変わっても。
彼を求めた自分を後悔することはないから。
間違っているときに出逢って。
間違っているとわかっていても。
私の心は、まっすぐに彼を見ているから。
そして、彼に出逢えたことで、自分が、見えたから。
偏った、欠陥人間である自分が。
それをどうしたらよいのかはこれから探すから。
後悔はあとからするから後悔なのだ。
先にするのは、取り越し苦労。
だから、考えたい。
これからの時間を。
そのために『待つ』ことを私は選び取った。 |