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パートナーとの闇。
見ないで過ごしてきた、その闇に、私は眼を向ける。
自分を否定してしまうことになりえるからいままで出来なかった。
でも、見つめなくては、きっと先には進めない・・・
パートナーが大事じゃないなんてことはなかったと感じてはいる。
今まで、一緒にいたのだから。
彼がいる事で、確かに幸せを感じていたはず。
これからも一緒にいたいと思うから結婚まで来たはずだから。
だが・・・・今、私はそれをどうしようとしているのか?
考えなくてはならない、時期にきている。
認めたら、今までの自分を否定する。
それでも認めて、私は自分を肯定する。
彼の気持ちが自分には無いことを。
まったく・・というわけではないが。
私は彼と話すときに、いつも、言葉を選ばなくてはならなかったこと。
これを言うと、機嫌が悪くなるだろうか?
これなら、いいだろうか?
今なら話しかけても大丈夫だろうか?
こんなことをいったらいやな顔をするかもしれない・・・。
そう、彼の顔色をいつもうかがっていた。
そうして、話半分に聞き流されていたことも、多かったけれど。
セックスも。
触れられれば、濡れる、女だから。
彼しかしらない、彼のそれ以外を知らない、から。
慣らされた、身体であるから。それでも・・・・
もっと、触れて。
もっと、愛撫を、そこにと・・・・せがんだこともあった。
態度で、言葉で、できる限りのすべてで。
「・・もっと・・して・・・・」
快感を言葉にするのは恥ずかしくても、彼と気持ちよくなりたいと思ったからこそ。
彼を感じたいと思ったからこそ。
何度と無く願った行為は彼には分かってもらえなかった。
あくまでも、自分が気持ちよくなることのほうを優先していたように思えて仕方がない。
・・・いつしか言わなくなる・・・・
そして、高まりが減っていく自分に気がついた。
醒めた眼で彼との交わりを見つめる自分が、いた・・・
私は自身が声を上げることで、自分で高まるように努力するしかなかった・・・空想の中で。
彼が早く終わってくれるのを、望み始める自分・・・・に反吐が出そうになる。
それでも、彼が望むように、したいと言うようにしていた。
そうした後の彼は眼に見えて上機嫌だったから。
不機嫌になられて、嫌われるのが怖かったから・・・・。
自身が疲れていて、それでも欲望は鎌首をもたげることもある。
私の体調が悪いときにも、同じように欲望はある。
触れられたくないときでも、彼は、私の身体をひたすらに弄る。
出来ない、そのときは口で、何とかして欲しいと私に求める。
自分はこんなにも私を求めているという彼にとってのおそらくは愛情表現だとは思う。
いやといっても、するまでは幾度と無くせがむ。諦めて、私が相手をするまで、何度でも。
しなければ、不機嫌になる・・・・
だが、一方的なそれは私にとってはすでに苦痛になっていったのだ。
回数・・・そんなもので気持ちなんか図れない。
彼は言う。
「俺はいつでもしたいんだ。」
「こんなにしている夫婦なんかいないよ。」
している・・じゃない・・ただ、彼の欲望のための道具でしかない自分を・・・
自覚したくなんかなかった。でも・・・・
私の心がきしんでいくのがわかった・・・・。
もう・・いい、もう・・・したくない。
私の身体は彼を受け入れることが出来なくなった・・・・・・。
彼の欲望のはけ口としての自分なら、しないほうがいい。
私は、パートナーへの拒絶感を受け入れてしまった・・・。
せわしない時間で、落ち着かないときに。
ただ、欲望を鎮めるだけのそれならば、私は要らない。
二人が望んだ、そのときに。
互いが求め与え合えるそれならば。
どれだけだって、高まれるのに・・・・。
それは私が彼”夏彦”とで確信したこと。
私は、パートナーとのリアルなセックスで本当の意味でイッたことは無いことを・・・。
それらしき高まりはあったが、違うことを肌で感じた。
私は彼”夏彦”によってパートナーとでは得られなかった、絶頂を身体に教え込まれてしまった・・・。
互いを感じながら、高まっていくその交わりが。
より深い絶頂を迎えられること。
たとえそれが、リアルでなかったとしても。
そのとき確かに互いをその身体に感じられているから。
それでも、私は不安だった・・・
この関係は、私の望むものだから・・・彼”夏彦”は・・?
そんな私の感情を彼にぶつけてしまう、でも・・・
私だけ、が求めているのではないと、彼は。
その言葉で。
私に伝えてくれる。
心配する私に、わかるように、諭すように。
ゆり>・・・夏彦さんは?
夏彦>私は?というと。
夏彦>どういうことでしょう?
ゆり>・・・・だから・・・・その・・・・
ゆり>あの・・・・
夏彦>貴女はどう思っていますか?
ゆり>・・・・・・・・・・その・・・・感じてくれてれば・・・いいなって・・
夏彦>ええ・・貴女を全てで感じています。そうでなければ、空しいだけではありませんか。
ゆり>そうだけど・・・・なんだか、私だけが登りつめているようで・・・・。
知ってしまった快楽だからこその、不安。
あまりに深いそれに、私は怯えていたのだ。
浅ましい、自分の女の部分に。
夏彦>貴女が登りつめるということは、わたしも登りつめているのですよ。
夏彦>そうでなければ・・・成り立ちませんでしょう。
ゆり>うん・・・・
夏彦>ひとりよがりになってしまいます。
ゆり>うん・・・
ひとりよがり・・・・
そう・・・なのだ。
互いが互いを高めようとしていないことは、これに集約されてしまうのだ。
私は二人でその中にいたいと願った。
パートナーは自身を優先した。
そして・・・彼”夏彦”は・・・・
私を優先しているように見えて、自分もと教えてくれた・・・・・。
私の中の既成概念が壊されていく。
知らなかったなにか。
知ってしまったなにか。
もはや、このまま、何もなかったふりがいつしかできなくなるだろう・・・・。
私は確かな愛情を感じたかった。
どういった行動?
どういった言葉?
ふとしたときに、そう、何気ない日常でもいい。
想われている、実感が欲しかった・・・・
なかったのだ。
そんなことを感じたことが。
どんなに私が私自身を開いていても、パートナーは私を見ない。
私を見るのは寝室の中だけ、
それも、身体だけ。
パートナーと要るときに、リラックス出来ないことは、何故?
気を使う、ことを必要としなくてはならないのは。
私は、自分を振り返る、そして、考える。
そのときに。
私におとずれる結論は、きっと・・・・。
どんなものがきても、私は受け入れられると、感じている。
一人になったとしても。 |