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メールとチャット。
私と彼の間にあるのはただそれだけ。
リアルに逢ってはいないのだ。
私のリアルはパートナーにちゃんと置かなくてはならない。
なのに・・・受け入れることが出来ない。
パートナーと歩く未来に欲しいと感じていたはずのものが無くなっていること。
二人の証を望まない自分、が彼を拒絶することに繋がっている。
私の中で叫び声が上がる。
そんな身勝手な理由で・・・・
そんなわがままな理由で・・
パートナーを拒絶するなんて・・・ばかげている。
私はそれをよく分かっているのだ。誰よりも、何よりも、確かなつながりを欲しがっていたはずの私が。
その・・・証を欲しがらないこと。
私自身それに気がついたとき驚愕し、恐れ、慌てた。
何か方法はないかと考えた。
それでも、答えは導き出されてしまったのだ・・・・・。確固たるものとして。
パートナーと歩く未来にないその存在。
じゃぁ、私は何の為にここにパートナーのそばにいる?
分からない、考えたくない。
自分が間違った選択をしているのかもしれないなんて・・・・。
心の隙間に吹く風がささやきをつれてくる。
”逃げてしまいなさい”
と。
何度と無くその声に従ってしまいそうになる。そうすれば楽になれるのに・・。
そう、彼”夏彦”に逃げてしまえば楽になれる・・・・。
分かっている、でもそれを選べば、また同じことの繰り返しだ。
それだけは絶対にしたくない!!!
彼との関係は、パートナーとのことは別。
全く、別。
一緒にしては、私は変われない。
もっと強く私はなりたい。
私は心の中の自分に、語りかける。
”たとえ、彼と歩きたいと願っても、今の私を彼は受け入れたりなんかしない。
私が私できちんと自分を見極めない限り。
覚悟しなさい。私がこれからどのような選択をしようとも。
彼は、せかさず、待てるところまでは待ってくれる。
それから、二人のことを初めて考えることができる。
今、考えても、答えは正しくない。
私が自分で決めて、自分で動いて、そのときにしか答えはでない。
それまで私は彼を想うだけでいい・・・・”
彼が私を少しでも想っている限り。
私は彼に応えたい、メールだけでも、チャットだけでも。
パートナーへの罪悪感だけがどうしようもなく増えているのはわかっている。
だが・・感情の中にそれが増えているということ。その理由は、私の身勝手だから。
好きで、ただ、好きで彼の元へ来た。私が彼を望んだ、彼はそれに応えた。
その私が、今、彼を拒絶していることへの罪悪感。
好きじゃなくなったけど、嫌いになったならもっと楽なのだ。
情だけが、残る、いいえ、私がずるいだけ。
ひどい人と思われたくない。
ただ・・・彼への信頼が消え去ったから。
私の中の彼への想い、それを壊したのは紛れも無いパートナー本人。
彼はきっと無意識に行った行為、だからこそ私の信頼が消えてしまった・・・。
彼の最後に選ぶ何かがわかってしまったから。
私の中に残った虚無感・・・今までの私をすべて覆してしまうもの・・・。
私の思いは彼には届いていなかった。
親も、友達も、すべてよりも彼を選んだ私。
そのことは私が選んだ道。そんなことはわかりすぎるほどわかっている。
最後に彼が私を選んでくれればそれでいいと思ってきた。
でも、彼が最後に選ぶのは私じゃないと知った。そのことは私を壊すのに十分な衝撃だった。
そのことに到達している自分・・・。
そう、私はパートナーへの諦めを覚えてしまっている・・・。
そして私は、ここでふと考えを違う方向へむける。
私は今誰を一番失いたくないのか?
驚愕の事実を自分の中に見つけてしまう。
両方ともといえば虫が良すぎる、ではどちら・・?
恐ろしいことにまだ、逢ってもいない彼”夏彦”を失うことのほうが怖い・・・・
逢っていないから怖いのか?
そうかもしれない、そうじゃないかもしれない。
では、逢って見極めたい。
それからでも答えは遅くないはず。
そう言い聞かせる。
いえ、違う、私は逢いたいだけなのだ。
どんなに理由をつけようとも、ただ、逢って、しまいたいだけ。
リアルな彼の腕の中で、狂うほど彼を感じたいだけ・・・・・。
彼”夏彦”はきっと、こんな私を、いつかは見限るかもしれない。
それでも、それまででもいい。
彼を失うことが怖い。
ゆり>・・・私が私でいるために・・・大事な人・・・だね・・・・
夏彦>そうですよ
ゆり>・・・・・・・・いなくならないで・・・・いきなりには・・・・・・
夏彦>私からはいなくなりません、ゆりの全てを請け負って差し上げます
彼の言葉をこの身体に、この心に。誰も、邪魔されない、2人だけの空間で。
囁いて、私を壊す言葉を。
私は自分で強くなってみせるから。
強くなれば、貴方と会っても、貴方にすがらずに済むのだから。
だから今はまだ、逢うことなんてできやしない。
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