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彼の手が私の全身を優しく撫でている。
その感触をいとおしむかのように。
そんな触れられ方なんて、されたことが無かった。
明るい部屋で。
素肌になった私に寄り添いながら。
自らもまた、素肌のままで。
ブランケットに逃げ込もうとする私の抵抗を軽くかわし、裸体を自らの眼前に晒させる。
恥ずかしさに彼の胸元に顔を埋めると、私の髪をそっと撫で、そして背中をやさしく包む。
耳に一定のリズムが聞こえてくる。
心地よさに私は混乱を隠しきれなかった。
こんなときどうしたらよいかなんて知らないから。
身体を求めるのではなく、ただ、そっと寄り添って互いを感じていた。
わからなかった。
私をどう、したいのか?
私はどう、したいのか?
ただ、ひたすらに心地よく、その感覚は快楽以上に快感を与えてくれていた。
「気持ち・・いいな・・・・」
小さく、彼の腕の中で囁く。
「俺も、だよ。」
そっと彼を見上げると、その瞳が優しい。
勘違いしそうになる。
どうしても、どうしても。
そんなことはありえない。
わかっているから、必死で感情のコントロールを試みる。
額をこつんと彼の胸に当ててみる。
見なくてもわかる。
小さく笑っているのが。
どうして、こんなに。
この人は優しいのだろうか?
本質なのだろうとは、思った。
そして。
この暖かさを独り占めしたいと、ほんの少しだけ思い、その感情を押さえつけた。
今だけ。
そう、今だけでいいのだと。
いつか、彼に終わりを告げられるであろうそのときまで、と。
そう考え、その手を求めた。
「もっと・・・して・・・?」
撫でる手がそっと顎を持ち上げ、キスを降らす。
「・・ん・・」
なんて、キスなんだろう。
心地よく、気持ちよく、私をおかしくしていく。
彼にすがりつく。
手が乳房を覆い、そのまま強く握る。
「ぁあ!!」
「こんなに・・硬く・・・・とがってる・・・」
「ん・・んぁ・・恥ずか・・・しい・・・」
「恥ずかしいな・・・こんなに・・・ゆりは・・いやらしくて・・・」
「涼・・のせい・・・だもん・・」
寄り添い、なだめすかすかのように撫でられ、その感触に欲情していたこと。
その、耳に響いた音に、安心と快楽を与えられることに。
少しだけ笑みを含んだ声。
私を安心させようとしている声。
だから、私は、何も考えずにただ、その愛撫に身体を預けて快楽の中へ連れて行ってもらう。
少しだけ離れて、見つめるその視線が。
私を狂わせて、とめどなく、蜜をあふれさせていく。
隠そうとすればすぐさまその手が伸び、私を押さえつける。
「や・・・だぁ・・・恥ずかしい・・のぉ・・・!・・」
「そう・・・恥ずかしい・・・・でも・・それが・・・ゆり・・でしょう?・・・」
そう・・
もっと、と。
嫌がりながらもっとと叫び、欲しがっている私の姿を脳裏に浮かべさらに狂い求めるいやらしい自分。
彼の手が私の肌を優しく撫で・・・
「・・ん・・・ぁぁ・・!・・・は・・ぁ・・」
ゆれ、くねるように彼を誘う腰に彼の手が軽く風を切った。
!・・パ・・・シン・・・
肌を一瞬刺すような感覚、そしてそこから広がる熱さ。
痛みの熱さじゃない。
熱さ。
「ゆり・・の肌・・・きれいに・・跡がほら・・残っている・・・」
彼の声に熱が帯びる。
・・興奮してくれている・・・・・?
私も。
彼も。
「・・もっと・・・・」
知らないうちに声がこぼれた。
私をもっと感じて。
私に興奮して。
私だけじゃない、貴方も溺れているのだと。
嘘でもいいから思わせてー
その鼓動が嘘じゃないなら。
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