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一瞬、一瞬すべてを刻み付けて。
忘れたくはないから。
覚えて、教えて、教えられたすべてを。
現実じゃないと、いや、現実だけれども。
先がないから、幻でいい。
貴方と知り合えたその事実をきちんと私に教えて。
触れられて、快楽に墜とされていく。
そのすべてが貴方に教えられた。
こんなに感じていいのだと。
貪欲に貪っても誰も否定しないのだと。
「ぁ・・・ぁぁ!・・」
指先が肌をなぞり、その輪郭を露にしていく。
「こんなに・・硬く・・・しこっている・・よ・・」
「や・・・・ぁぁ・・・あ・・は・・」
声にならない声で伝えるそれを。
ちゃんと受け取ってくれている。
「ぁぁ!!そ・・んな・・・こと・・・」
夏彦の唇がその乳房の頂点を咥える。
含まれたそれを舌が転がすたび、声が、上がる。
手が彼の頭を掴み、抱き寄せるように、逃れるように動く。
刻み付けられる愛撫の感触が、私の全てに残るように。
「・ん・・・ぁぁ・・・ぁ・・・んん・・」
声を上げる唇を彼の唇が塞ぐ。
唇の隙間から舌が滑り込み、最初は緩やかに、そうして激しく絡ませる。
唾液が絡まりつく音が頭の中に響く。
・・・恋しかった・・・
わかる。
欲しかったのだとわかる。
教えてくれたのは。
貴方だった。
私の中の何かを壊してくれたのも。
「も・・と・・・」
欲しい。
全てが。
私の中の全てを覚えて。
そして
全て忘れてください。
単なるデータのようにdelete出来るわけではないのでしょうが。
それでも。
互いの異なる時間軸で、緩やかなる記憶の奥底に埋めて。
この一瞬だけで分かり合って、終わりにしよう。
「欲しい?」
「・・ん・・・ん・・・」
抱き合ったその手を強く握り返す。
唇が滑り落ち、隠しようもないほど淫らに濡れそぼった中心へと到達する。
温かい舌がその蜜を舐め取る。
「!!・・・んん・・んん・・・」
全身を駆け上る快楽の波。
いやらしく部屋に響くその音が私の理性を奪っていく。
もっと・・・
もっと・・・・・欲しい。
記憶の全てに残るほど、抱かれて、貫かれて。
そのまま私は意識を混濁させていった。
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