Realize 2
chapter 20 記憶
一瞬、一瞬すべてを刻み付けて。
忘れたくはないから。
覚えて、教えて、教えられたすべてを。

現実じゃないと、いや、現実だけれども。

先がないから、幻でいい。

貴方と知り合えたその事実をきちんと私に教えて。

触れられて、快楽に墜とされていく。
そのすべてが貴方に教えられた。
こんなに感じていいのだと。
貪欲に貪っても誰も否定しないのだと。

「ぁ・・・ぁぁ!・・」
指先が肌をなぞり、その輪郭を露にしていく。
「こんなに・・硬く・・・しこっている・・よ・・」
「や・・・・ぁぁ・・・あ・・は・・」
声にならない声で伝えるそれを。
ちゃんと受け取ってくれている。
「ぁぁ!!そ・・んな・・・こと・・・」
夏彦の唇がその乳房の頂点を咥える。
含まれたそれを舌が転がすたび、声が、上がる。
手が彼の頭を掴み、抱き寄せるように、逃れるように動く。

刻み付けられる愛撫の感触が、私の全てに残るように。

「・ん・・・ぁぁ・・・ぁ・・・んん・・」
声を上げる唇を彼の唇が塞ぐ。
唇の隙間から舌が滑り込み、最初は緩やかに、そうして激しく絡ませる。
唾液が絡まりつく音が頭の中に響く。

・・・恋しかった・・・

わかる。
欲しかったのだとわかる。

教えてくれたのは。
貴方だった。

私の中の何かを壊してくれたのも。

「も・・と・・・」
欲しい。
全てが。
私の中の全てを覚えて。

そして

全て忘れてください。

単なるデータのようにdelete出来るわけではないのでしょうが。
それでも。

互いの異なる時間軸で、緩やかなる記憶の奥底に埋めて。

この一瞬だけで分かり合って、終わりにしよう。

「欲しい?」
「・・ん・・・ん・・・」
抱き合ったその手を強く握り返す。

唇が滑り落ち、隠しようもないほど淫らに濡れそぼった中心へと到達する。
温かい舌がその蜜を舐め取る。
「!!・・・んん・・んん・・・」
全身を駆け上る快楽の波。
いやらしく部屋に響くその音が私の理性を奪っていく。

もっと・・・
もっと・・・・・欲しい。

記憶の全てに残るほど、抱かれて、貫かれて。

そのまま私は意識を混濁させていった。
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