Realize 2
chapter 2 視線
そんな中、少しだけ心引かれる異性に出会った。
本当に普通に。
何も望まないけれども。
いつしか、その彼が私の癒しになっていた。

何かを埋める、そう、ぽっかり空いた空虚な部分を。
彼を失った事実から目をそらすかのように。
私は、その異性を利用していることに気がついている。
それでも−

欲しい。

何も望まない、ただ、欲しい。
身体だけじゃない、相手がたとえそれだけでも。
きっと彼も何らかの形で望んでくれるのならば−
望んでくれている限りは、私を求めてくれる限りは。
彼のものでいることが出来るのだろう。
まちがいなく、私は彼のかわりにしているのかもしれないけれども。

リアルな視線を、求めた。
逢えない人を想う気持ちを、押さえ込みながら。
本当はその人を求めていると知っていながら。
摩り替えた感情のやり場を求めるように。

安易なそれを求めてしまった。
そして、それは叶えられる−
・・・抱かれるという形で。

「いいの?」
「ええ・・・」

欲しかったリアルなぬくもり。
自分自身の性格を知っていながら、求めたぬくもりだった。
脳裏のどこかで間違っていると知っていたのに。

「・・・ゆり・・・」
「ん・・・・」
想像以上に優しいその手、指先が私を熔かしていく。
触れるそれが私のこわばった、間違えていると知っている身体を燃やしていく。
煽る、火が、私を快楽の海へと誘う。


チャットの彼とは違う、彼の体温。
伝わらなかった温もり。
それが今、私を見ている。
その、眼で。

「もっと・・見せて・・・・もっと・・」
「欲しいのぉ・・・」
あられもなくせがむ。
もっと、私を壊すほどに抱いて、彼を忘れさせて欲しい。
リアルを求めて、彼のことを忘れたくて。
そうすればそうするほど、罪悪感と切なさに押しつぶされるだろう自分を知っていながら。
求めた−彼を。
目の前の彼に、壊れるほどに抱かれた。
何度でも、何度でも。
今までにリアルで味わったことが無いほどの絶頂に連れて行かれる。

かの彼とは違う、
わかる、それが。

違う、きっと、これが本当に抱かれること。
ううん、
抱き合うこと。
触れて、求めて、互いを探って。
快楽を与え合う。
「こ・・こ・・?」
「そぅ・・・」
昔求められ嫌悪感しか浮かんでこなかった行為すら、ためらいも無く行動にうつす。
彼が、私を求め、抱こうとするから。
少なくとも、この瞬間は愛おしいと想ってくれているのが伝わるから。
身体だけでも、今だけは全てで欲しがってくれている。
それが、何よりもわかるから。

「綺麗だよ・・・」
お世辞でも、何でも、リアルな私を見て、そういってくれる彼が嬉しかった。
そして、心で詫びた。

・・・ごめんなさい・・・貴方の向こうに私はきっと違う人も見ている・・・・
目の前の彼に溺れながらその向こうに彼を探す。
卑怯な方法。
知っていた。
私は自分に嘘をついている。
でも、それでも。
この全身に感じられる快楽は少なくとも本当だから。

彼の指が私の身体をなぞり、感じるその場所を探り当てていく。
知らなかった、自分がこんなに感じられるなんて。
与えられる快楽、与える快楽。
互いが互いを求め、その中に生み出される安心感。
感じたことが無い。
こんな、暖かい、そして、淫らな快楽を。

「ほら・・聞こえる・・?こんなに厭らしく・・濡れている・・」
彼の指と私の愛液が作り出す、水音が光差し込む部屋に響く。
「ぁ・・・ぁぁ・・・」
聞きたくなくともその音しかここにはない。
くちゅくちゅと、指が私の胎内で暴れまわりそれに私が壊される。

いっそ、壊して。
全てを貴方の色に塗り替えてしまってかの彼を思い出さないように。
もう、このまま。
その中に堕ちていこう。

貴方にはなんの罪も無い。
私が求めた彼のかわりに。

誰もかわりになんかならないのに。

chapter 3 事実 へ

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