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瞳をあわせると、もう、そこには二人しかいなかった。
ほどこされた縄が緩やかに彼の手によってはずされていく。
その感触までも、私の官能を呼び覚ましていく。
ただ肌を擦れるだけ。
少しだけ荒い息がかすめるだけ。
それだけなのに。
私の身体の芯が燃え上がる。
欲しいと−
彼が欲しいとただただ求める、女の、本能。
ようやく解放された私をただひたすらに求めてくれ、そして私も同じ、いやそれ以上に求める。
なぞる紅く残る跡。
その指先の感触すら愛しい。
言葉が先に動く。
身体が求めるそれだけを口にする。
「・・・も・・とぉ・・・・・・」
知らなかった快楽を深く身体に刻み込まれる。
奪われる唇。
絡める舌。
かわす吐息。
二人の間に唾液の細い糸が光る。
それすらかまわないほど求め合い、誰よりもそばに堕ちていく。
くちゅくちゅと、いやらしい音が耳に、部屋に広がってもそれでもなお、求める。
見つめられる視線のその全てで私を絡めとってほかの誰でもない貴方が。
こうして欲しかったと感覚だけで互いを理解した。
何も考えないで。
ただ互いだけが許されあってここにこうしてつながろうとしている。
求めてもいい、
求められることがいい。
二人でいることが許されている。
ただの男と女として。
彼の手が私の肌を滑る。
その愛撫に私の全身から快楽の音楽を紡ぎだす。
声が−上がる。
細く、高く、切ない。
彼を欲しいと啼く声。
耳元で彼がそっと囁く、声、言葉。
「ぁ・・ぁぁ・・・や・・ぁぁ・・・」
「もっと・・欲しがるんだ・・・俺を・・・」
・・・オレダケヲ・・・・
そう聞こえたような気がした。
もうそれすらもいらなかった。
あふれ出す蜜壷が彼の高まりで擦りあげられるたび苦しげに身体が先に欲しがる。
焦らすだけ焦らされた私を彼は楽しむように弄ぶ。
「は・・ぁぁ・・りょ・・涼・・・・お・・ねがい・・・」
「欲しい・・?」
「・・・欲しい・・・」
欲しい・・・
その言葉は禁断の言葉。
言霊。
「言え・・俺が欲しいと。」
「・・・りょ・・う・・涼のが・・涼だけの・・・に・・してぇ・・・・!・・・」
身体の中で爆発しそうな何かを抱えながら涼の肩にしがみつくようにして叫ぶ。
ベッドに身体を押し付け、私の両足を抱えあげると一気に私の胎内に押し入った。
「ぁ・・!!!!」
感じすぎて、声すら出ない。
熱さだけが全身を貫く。
広げられた身体、その全てで相手の熱さを受け止める。
高ぶりすぎた身体だけが先走り、感情がついていかない。
それでもいい。
もう、
それだけで堕ちてしまえばいい。
それだけが今ここにいる互いが求めていることなのだから。
互いのすべてを受け入れ、受け止め、溶け合う。
そんな快楽があってもいい、
いや−
そんな快楽こそが欲しかったのだと。
ただ、互いを信頼しあって、その身体を求め合ってその中で。
見つける真実を。
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