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突き抜ける快楽が私を何度も奪っていく。
ただ、粘膜が擦り合わさるだけのはずの行為がどうしてこうも気持ちよく、貪欲に相手を求めてしまうのか?
彼、夏彦が今私の胎内に確かにある。
その感覚が、私の身体を蕩けさせ、意識を奪っていく。
もうそれしか考えられない。
もっと欲しい。
私を貴方だけで埋め尽くしてしまいたい。
一つになるほど、熔けあいたい。
「く・・ぅ・・・」
「ぁ・・は・・・ぁぁ・・・!!・・」
熱く高ぶった分身が奥へと突き刺さるその感触。
奏でる、いやらしい、水音。
くちゅくちゅとそれはとどめようもなく、溢れかえり、彼を、私を濡らす。
教えられ、欲しくて、たまらなく。
一人、その快楽を思い返した日もあった。
ただ、彼だけが、支えだった。
声が聞けなくなっても。
逢えない相手と知っていても。
ほかに誰かを欲しいだなんて思いもしなかった。
ただ、ただ、どんな形でもいい。
私を知っていてもらえたら。
彼に恥じない自分でいられれば。
それだけで私は生きていけると。
逢えないからこそ、そう思っていた。
そうして、もらえた。
その事実だけで私はもはや歓喜を覚えていた。
目の前に彼がいて。
その彼に触れられ、思い出し、あの時間は確かに二人だけのものだったと。
それが妄想だと思わずにはいられなかったけど。
それでもー
夢じゃないと、ここで信じさせてくれるのならば。
「もっと・・・・もっと・・欲しい。」
「すごく・・いい・・・・・・・ゆり・・・」
舌先で耳元を嬲りながら、片手で手を拘束する。
もう片方で足を大きく広げさせ、さらに奥へと自身を埋め込む。
「ぁ!!・・・・そ・・んんあぁ・・・・」
つながったままの状態で唇を求め合い、その感触に溶け合う。
絶頂−
私だけじゃない。
彼も。
互いが求めているからこそ、得られるもの。
そうして、その後ろ側で。
これが最初で最後であることを私は知っているのだと、思った。
だからこそどれだけでも彼を求めている。
もっとと。
言葉でも、身体でも、本当は気持ちでも。
先を求めたいけど、求めてはいけないのだから。
ならばせめて。
「な・・つひこ・・・さん・・・・・」
「ゆり・・・ここ・・・いいんだね・・・」
「ん・・・ん・・・触れたい・・・・ね・・ぇ・・・」
「どこに・・・?」
「夏彦さん・・・に・・・お・・ねがい・・・」
「いいよ・・・ほら・・・」
放たれた手を彼の首に巻きつけ、唇を寄せていく。
キス・・・・
緩やかに動かしながら唇を下へと動かす。
彼が感じるところ、探すように。
覚えていて。
覚えていて。
私を忘れていいけど。
覚えていて。
二人感じたこの快楽の全てを。
こんな感覚を教えてくれた貴方に。
感謝しか出来ない。
気持ちを欲しがっても、もう、無理だと心の奥底で知っていたから。
今回だけ。
一度だけ。
二度目はない、関係だと。
だから、知って。
こんな私を教えてくれた。
絶頂を、初めて知ったのは彼ー夏彦ーとの関係だったと。
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