pulsation 5
もう、終わりにしなくてはならない。


もともとそう頻繁に会う関係でもない。距離がそれほど開いているわけでもなかったが、
それなのに、である。
だからそれほど難しいものではなかった。

偶然を避けるようにするだけで十分だった。


数日に一度のメールが、週に1度となり、月に一度となり・・・・・
間遠くなっていくのを冷静に見つめていた。
返事もしたり、しなかったりと、緩やかに終焉に向かう。

会おうとも言い出さなくなっていく。

こうやって自らの感情を終わらせていく。
時折、何かに流されるように涙で眠れないこともあったが、それでも日々の生活にまぎれていく。

何も無かったことにしてしまえばいいー
そうすればいつかー
「・・・梢・・・」
ベッドの中で、間違いなく、自分の名前を呼んだ彼を。
つかんだ手のひらは暖かかった。
抱きしめてほしいとしがみついた。
苦笑しながらも腕の中に入れて、眠る。

愛しくて、恋しくて、切ないほどの思いを押し込めていた。
眠れない夜も幾度もすごした。
最初から、なにもかも、あきらめている何かー

それを仕舞い込むだけだと、自分に折り合いをつけて、眠りを求めていた。

貴之は、静かに梢を見つめていた。
何を考えているのかはわからなかったが。
それでもその目に梢を映して、そこにいる。

ーそれだけで、嬉しいのだもの・・・・
そう、嬉しかったのだと。

心の奥底に、小さく灯る灯りのように。
身体を繋いだ向こうに、何かがあったとそう、信じて。

今のすべてが自分の未来になるとそう、信じている。

「愛しています・・・」
こんな自分勝手な愛しかたで彼のそばにいた。
それしか、出来ない自分ではどうしようもなかった・・・・



「終わり・・・かな・・・」
鳴ることもそして、あけることも少なくなった携帯。
そうして、ふと、見上げる。

「どうしたらいいんだろうな・・」

誰よりも、何を無くしても、一緒にいたいと願っている彼女がいる。
決して叶いはしないこと。
彼女はもう、何も答えてはくれない。
ただ、映像が静かに微笑むだけー

「教えてくれよ・・・・俺は・・」

ホシイとそう言ったのは彼女だった。

切なげな吐息で自らの愛撫に応える梢を思うままに抱く。
ある意味ひどいことをしている自覚はあった。
それでも彼女は受け入れていた。
彼女は何も、求めなかった。
自分の弱さをただ、受け止めていた。

「どうして?」
と一言だけ問いかける彼女の瞳だけ。
それだけが、彼女の求めるものだった。

言えばいいことは知っていた。

でもー
いえない自分がいた。
「彼女を愛している・・・でも・・・」
それをすべて知っている梢の微笑みの片隅にある寂寥。


貴之自身、梢が一緒にいる事実を理解しているようでしていない。
本当は自身も問いかけたかった。

「どうして、梢は俺と一緒にいるの?俺が抱くことを拒否しないのか?」

俺は、まだ、彼女を愛しているー
梢はそれを知っている
なのにどうしてー

ベッドの中以外の梢はいつも笑顔だった。
一緒にいることがさも楽しいかのように。
それがすべてではないと知っていても、それだけを見ていた。
微笑んでくれている、その事実は少なくとも貴之を安らぎの中に置いた。

いつしか、彼女がそばにいるのが、抱くのが自分であることが当たり前でー

じっと手の中の携帯を見つめる。
画面にはデジタル表示の時計。
メールも、着信も、彼女の履歴はーない。
会社と、友人と、それだけ。
鳴らない携帯に答えを求めても無駄だといつしか知っていた。

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