pulsation 3
そんな関係。
いつまでも続けられるわけも無いと知っていても
そ知らぬふりで続けたいのはほかならぬ自分自身なのだ。

時間が合ったとき二人でデートのようなものをする。
夕食をともにして、そのままどちらかの家で過ごす。

部屋に入ると二人はどちらともなく互いの身体に触れる。
抱き合う。

そして。

「どうして?」
 −ワタシヲダクノ?−
聞きたくても聞けない。

彼には忘れられない人がいることを知っているから。
決して忘れない。

どれだけでも愛している、人がいたから。
それでも、私は彼を見ていたかった。
その人を思い出すためにそして忘れるために。
私を抱いていると知っているから。

わかっていても。
なぜ私なのかを聞きたかった。

答えをはなから求めていたわけではないにせよ、言葉にはした。

でもー
彼の傷口をえぐることなどできない。


愛して、愛して、愛しぬいている人。
ほかの誰も要らないと思うほど好きな人。

互いにそう、思っていても、結ばれなかった人。

彼にとってのその人は、ほかの人のもとに嫁ぎ、亡くなった。

最後まで、彼を想い、それでも、選ぶ道が無かったことを私は聞いた。
どこまで本当かはわからない。

でもーそれが事実だといわれていることは彼以外からも、聞いていた。

小さな、小さな記事に載った彼女の訃報は今でも彼の引き出しの中にあるから。


「何故聞く?」
そう言いながら、唇をふさぐ。
やさしく、甘く切ない口付けが私の言葉を奪う。

ーコンナクチヅケヲカノジョニモシタノ?ソレトモモット?−

考えるだに無駄なことを思いながら彼の重みを受け止める。

唇が触れ合うほどにその甘さは全身に広がり。
絡みあう舌が互いの距離を近づける。
「ん・・・ふぅ・・・ぁ・・ぁ」

洩れ出る嬌声を抑えようとするほどに無駄なこと。
抑えようとするほどに指先が服の隙間へとするりと忍び込む。
「や・・だめ・・・」
「だめ?」
疑問系を投げかけながら手のひらが胸の膨らみに重なる。
「ん・・・・んんん・・・」
下着の上からやさしく撫で、その頂点があらわになるまで。
「梢は・・・ココが弱い・・・な・・・」
「ぁ・・・ぁぁ・・・」
布越しでわかるそのしこりを指先が摘み上げる。
「は・・・ぁぁ!!」
のけぞりながら貴之にしがみつくとその開いた首筋へと唇が吸い付く。
「ん!・・・やぁ・・た・・・貴之ぃ・・・」
「いいよ・・」

・・・もっと感じていい・・・・それしか、償うすべが持っていない・・・
互いが作りだす快楽に溺れながら、貴之はそう、心で呟いた・・

ー壊れかけた自分。
正気でなんか要られなかったあのとき、梢の気持ちを利用したー

わかっても、いる。
自分では、どうにもならなかった。

彼女がいなかったならー
彼女に逢わなかったならー

こうはならなかっただろうと思う。
それでも、逢ってしまった。

誰よりも愛しい、人に。

ーそうして
今も、心にいる。
でも、いないー

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