夏の名残
それから小一時間も走っただろうか、そこは見覚えのある空間。
「あ・・れ・・・ここ・・・」
「ああ、泳ぎに来たところだ。」
各コテージは独立して建っており、さらに遠くにホテルが見えた。
「今回はあっちだけどな」
「こういう風になっていたのね。」
「ああ」
俊は速度を落としてゆっくりと車を走らせる。ちょうど太陽が傾きかけ夕焼けが海面に映りオレンジ色のきらめきが広がる。蘭世は魅入られたように窓を開けた。
秋の気配のする風が車内に流れ込んでくる。俊はエアコンを止めた。
そうしているうちにホテルのエントランスへと車は到着する。
「え?ここって予約・・してるの?」
「ああ、まあな」
蘭世がうたた寝をしている内に俊は電話での予約を済ませていた。
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃいませ」
「ようこそわがホテルへ」
ドアマンやベルボーイが走り寄ってくる。
「予約している真壁だが・・・」
ホテルの中へいざなわれる二人。俊は車のキーを預け、蘭世を促した。
簡単にチェックインを済ませ、部屋へと案内される。
「わ・・・ぁ・・あ・・・き・・れー・・・」
車から見えた夕焼けが窓いっぱいに広がっていた。俊は荷物を受け取り、ホテルマンを下がらせた。窓からバルコニーへ出た蘭世に近づくと、
「気に・・いったか?・・・」
「うん。さいこー!!あ、ねぇほらここから砂浜に降りれるのね。いってみない?」
「そうだな・・」
俊の手を引っ張りながら蘭世は歩いていく。少しほほえみながら俊は蘭世を見つめる。蘭世が見つめ返すと照れたようにすぐそっぽを向いてしまうのだが。
「ふふふ・・・」
「どうした?」
「ん?あのね、・・・・ありがとう・・・」
蘭世は素直に感情を俊にぶつける。
・・・あんまりそう・・・感謝されても・・・・・
俊のよこしまな考えなど知る由もない蘭世はただただ喜ぶばかりだった。
しばらく蘭世のなすがままにさせておき、夕日が完全に海に沈むのを見届け部屋へ戻った。
この時蘭世はすっかり忘れていた事が一つあった。
「シャワー浴びたら食事に行こう」
「わかった、じゃ先に浴びるね」
蘭世がバスルームへ行くと俊は荷物の中から、あるものだけを抜き取った。
・・・・ない・・・・・・そうだった・・・・・
バスルームに行きその時蘭世は改めて自身が下着をつけていなかった事を思い出した。
シャワーを急いで浴び、俊と交代して部屋の鞄を探った。
・・・・どうして・・・・?・・・入れてきたよ・・私・・・・
そう、俊が隠したものは蘭世の下着全て。蘭世は俊があがってくる気配を感じ、あわてて服を着た。
「・・・暑く・・ないか?・・」
「へへへ・・平気よ、だって・・エアコン効いてるもの・・・・」
蘭世のあわてぶりに俊は内心笑いが止まらなかったが、そこはそれ、ポーカーフェイスで乗り切った。
「じゃ、ちっとまってろ。すぐ俺も着替えるから、シャツくれるか?」
「あ、ええ。」
簡単に着替えると二人はレストランへと向かう。そのみちすがら蘭世はもじもじしながら歩いていた。
「どうした?」
「あ・・・ううん・・なんでもないの・・・」
言い出せないでいる蘭世のその姿は何とも俊の欲望をそそったが、メインディッシュはまだ後のおたのしみである。

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