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部屋に帰ってくると鈴世はなるみをバスルームに先に通すとなにやら電話を始めた。
「鈴世くーん、いいよぉ、」
濡れた髪を拭きながらやってくるなるみはラフなワンピース姿だった。
入れ替わりに鈴世はバスルームに消える。
「え・・と・・・」
なるみは海を眺められる場所で考え事をしていた。
・・・あれは・・いつだったかしら・・・そう・・そうね・・退院してしばらくたってからだったわね・・・あの時の鈴世くん、びっくりしたなぁ・・でも怖くはなかったな・・・あれからもうだいぶたつのねぇ・・・
まもなく二人は結婚する予定で、恋人同士のうちにとなるみの誕生日に鈴世は旅行に誘ってくれたのだ。
・ ・・・初めてのときは・・・びっくりしたし・・・それでも・・
「疲れたの?」
背後から鈴世の声がしてなるみは振り返る。夕暮れの太陽がなるみの髪がすけて見える。
「う・・ううん・・・きれいだな・・・って・・・」
「そうだね・・・」
鈴世の腕がなるみの腰を抱く。しばらく黙って陽が沈むのを見送る二人。
かすかなノックの音がした。
「なるみ、夕食だよ」
「え?」
入り口からディナーが運ばれてきた。手際よくリビングの上にセッティングされていくのをただ見ているしかなかった。
「さて・・と・・なるみ座って。」
「うん!!」
鈴世はシャンパンを開けると二人のグラスに注いだ。グラスの中のベリーに添って
細かな泡が立つ。
「誕生日おめでとう」
「ありがとう」
笑い声のあふれるディナーであった・・・。
ディナーを終えると二人は残ったシャンパンとワインを持ってバルコニーでまどろんでいた。降るような星空の下なるみは誰よりも幸せな時間を過ごせていた。それは鈴世も同じことであった。
「こんな日がくるなんて思ってもみなかったわ・・・」
少し酔ったなるみの声が海に消えていく。鈴世がやさしいまなざしで先を促す。
「今、ここに二人でいるなんて・・」
「嘘じゃないよ、なるみ僕はここにいるよ。ずっと君のそばにいるよ」
テーブルの上のなるみの手に自分の手を重ねる。ぬくもりがゆっくりとなるみを満たしていく。安心するいつでもそばにいてくれたこの手、自分はこの手に導かれてこの先を歩いていくのだ・・そう思うとすべてが愛しく大事に思えてくる。鈴世はなるみを立たせると
その手をぎゅっと握り締めて見つめる。
「なるみ・・・二人で・・・これから先の時間を過ごしていこうね・・・春も夏も秋も冬も・・・離れることがないように・・・そうしていつか二人で眠ろう・・・」
鈴世は魔界人としての命を捨て、人間として寿命を全うする、たとえどちらかが先に逝ったとしても必ずあとからいっしょにいれること・・・だからこそのせりふだった。
どちらが望んだわけでもないがどちらも望んでいたことであったかもしれない、口には出さないだけで。
「鈴世くん・・・」
「二度目のプロポーズのつもりなんだけどな・・・返事は?」
「・・・ありがとう・・・これからも・・いっしょにいたい・・・」
鈴世はなるみを抱き寄せて甘く深い口付けを交わす。何度も何度でも繰り返しついばむようにむさぼるようにすべてを奪いすべて与える愛し合う二人にだけ許される口付け。
鈴世はなるみの背中のファスナーを一気に引きおろす。
「・・っ・・鈴世くん・・・?!・・・」
「このまま・・・なるみ・・・・見てるのは・・・星と月だけだから・・」
耳元でささやかれるそんなせりふになるみは力が抜ける。
肩口からワンピースが滑り落ちる。下着だけのなるみが月明かりに浮かぶ。
「きれいだよ・・・なるみ・・・誰にも・・・見せたくない・・・」
鈴世の指がなるみの唇からあご・・・首・・・肩先・・・と伝う。
「・・・あっ・・・・」
背中のホックに達すると器用にはずし、適度にボリュームのある乳房が現れる。
その頂点に口付けると軽く噛んでみる。
「・・やっ・・・そんな・・・」
「感じるの・・・?」
再度繰り返し、態度で答えるなるみにさらに愛撫を重ねる。
指先はさらに下へと這っていく、パンティーのラインに触れ、そのサイドのリボンをほどくとなるみの全身があらわになる。 |