秋の夜長 10
俊は階下から缶ビールを持ってきて開けるとぐいっと一口のみ干した。
蘭世は相変わらず、失神したままだ。
よほど深い絶頂感だったんだろう、のぼせも含め。
しっとりと濡れた黒髪を梳きながら、俊はいとおしそうに蘭世に口付けた。
眼を覚ます様子は無い。
小さなベッドサイドライトだけがほの明るく照らす部屋で眠り姫のように眠る蘭世は
何者にも冒されない、高貴な姫君のごとく気高い横顔を見せている。
その姫のすべてを自分はもらっている、俊にしかわからない蘭世の素顔。
いやらしく、恥ずかしく反応するその肢体。
主張するわけではないのに俊の視線を捕らえて離さない可憐な乳房。
すべてを包み込むように熱く潤う秘めた部分。
どれもが俊のために、ためだけにある。
俊は堪えきれなくなり、手にもったスイッチを入れた。
小さく低い音が蘭世のそこから聞こえ出す。
「・・・ふぅ・・・・う・・くぅ・・ん・・・・・・」
意識の無いまま蘭世の体が反応をしめす。
・・・だめだ・・・・・
俊は蘭世のそこから小さなそれを抜き取ると、あふれる蜜を自分の舌で掬い取り、すする。
やさしく、時に強くときに弱く。大事なものを扱うように。
「・・・んん・・はぁ・・・ぁ・・あああん・・・・ん・・しゅ・・・ん・・・・」
蘭世の口から喘ぎ声が漏れ出すも、意識を取り戻す様子はまだ無かった。
無意識でも俊の名を呼び、快感を紡ぎだし、俊を奮い立たす。
そんな女は他にどこにもいない、代わりなどいない。
だから失うことを極端に怖がり、すべてをいつも独占しておきたいのだ。
「・・・ああ・・ん・・・・はあ・・・ぁ・・・」
ぴちゃぴちゃといういやらしい水音と蘭世の荒い息使いだけが夫婦の寝室にある音。
「・・・蘭世・・・・・愛してるよ・・・・・俺・・・・だけの・・・」
聞こえないことを確認して、言霊を使い、蘭世の中へと届ける。
・・・・・・俺だけの・・・おまえでいてくれ・・・いつまでも・・・・・
俊の言葉は蘭世の中に刻まれる、毎日、毎夜俊の愛は蘭世の中へ届けられている。

「・・・ふくぅ・・・・んん・・・はぁ・・・ん・・・!!!・・やっ・・・」
蘭世の声が変わる。目を覚まし、自分の体を確かめようとする。その両腕を俊が絡め取り、
体全体で蘭世を押さえ、顔を向かい合わせる。
「・・眼ぇさめたか?よっぽど気持ちよかったんだな?」
「・・・そんな・・・ああ・・・な・・に・・これ・・・」
「・・おまえ・・・すごいな・・・・意識無くても・・感じんだな・・・?・・」
「・・・え・・・いやぁ・・・何・・何したの?」
「・・・なんにもしてないさ・・・・・・まだな・・・・」
俊は指先を蘭世の潤いを湛えた部分にもぐりこませるとすぐに引き抜き、その指先を蘭世に見せつけた。
「ほら・・・・こんなに・・・なってるぜ・・・?・・」
「・・・いやぁ・・・・やめてぇ・・・・」
真っ赤になって顔をそむけようとする蘭世のあごを捉え、ささやきながら口付けた。
「欲しいって言ってみろよ・・・・」
「・・はぁ・・んん・・ん・・」
ふさがれた口腔内を俊の舌が縦横無尽に動き回り、蘭世の何かを刺激する。
歯列の裏を舌先でくすぐり、互いの舌を絡めあう。
離れる唇を惜しむかのように互いの息が近づく。そうしてもう一度口付ける。
俊の腕が緩み、蘭世を解放しても蘭世は抵抗を見せない。
「・・あ・・・ふ・・ぅ・・ん・・」
俊の指先が蘭世の乳房の頂点をつまむ。
「・・ああ・・・あ・・ん・・・・ん・・・くぅ・・ん・・」
「・・やらしい・・声・・だな・・・・・いいぜ・・・・・」
俊が蘭世の耳元でささやく、その息遣いすら蘭世の快感の琴線をはじく。
「・・くぅ・・ん・・・んん・・あ・・・」
俊の舌が蘭世の耳を舐め上げ、甘噛みするとその舌先を首筋へと這わせる。

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