|
ぴちょーん・・・・・・・・
朝日差し込む白いバスルームに水音が響く。
「・・ふぅ・・・・」
いつもならシャワーで済ます朝の身支度だが今日は違った。
バスタブの端っこにちょこんと蘭世が背中を向けて入っている。
・・・ど・・ど・・ど・・・どうして???・・・
とまだ半ば混乱中の彼女の思考を置いといて俊は普通にバスタブへと入る。
明るすぎるくらい明るいその空間はいつに無く珍しい。
「おい。」
「な・・な・・なに???」
どうしたらいいかわからなくなっている蘭世の肩に手を伸ばしぐいっと自分の胸元へとそのまま引き寄せる。
「肩まで入らないと湯冷めするぞ。」
そう言って手を腰に回しながら。
「う・・うん・・・」
背後から抱きしめられる形になって蘭世はいたたまれない様子。
俊はそんな彼女に対し無頓着に全身を湯に預ける。
「あ〜・・朝からの風呂はたまにはいいな・・・」
「そ・・そ・・そだね・・・」
ひたすらにリラックスしている俊のその状態に少しだけ警戒心を緩めながらも蘭世の声はやはり緊張気味。
「さすがに今朝は寒かったからな。でも、あんなん見れたのは面白かったけど。」
「そう・・だね・・綺麗だった・・・」
ふっと今朝一緒に見た風景を思い出す。
ダイヤモンドダストー
一瞬で消え行く、その儚い命。
静かな時間が流れたあの瞬間ー
暖かいこの温もりの中でも思い出せるようなあの澄んだ時間。
頬を切るような冷たい空気の中で輝いた雪の光。
ぼんやりと二人で朝のバスタイムにまどろむ。
空気が緩やかに流れるように二人の体温も湯に溶け込んでいるようで。
二人なのに、その境目が薄くなるー
一瞬の触れ合いで溶ける様に。
自然と二人見つめあい、唇が重なる。
「・・・ん・・・・」
蘭世がその熱いキスを受け止めると俊の指先がまとめてある黒髪を解く。
「・・ぁ・・・」
するりと水面に広がるそれにかまうことなく俊の手がそのまま蘭世の背中を抱きしめる。
「だめ・・・もう・・あがらないと・・間に合わなく・・・」
「かまわねぇ・・・」
そういうやもう一度深く口付ける。
今度は逃がさないと舌先で蘭世の口内を弄る。
「・・ん・・ふぅ・・・」
くぐもった声が隙間から洩れると、バスルームに反響し、いやでも蘭世の耳に届く。
「・・だ・・・だめ・・・」
その声に一瞬我に返った蘭世が俊の胸を押し戻す。
お風呂と俊のキスで紅色に染まった蘭世の全身が俊の目に差し込む。
俊は蘭世をそのまま抱き上げると手近のバスタオルを取り二人共に巻きつける。
「・・・あ・・・しゅ・・俊・・・」
あと一歩でのぼせる寸前のような蘭世はその行動に抵抗する暇もなかった。
濡れた髪が俊の腕に絡みつくのもかまわずに二階の寝室へと上がる。
「・・・あ・・」
俊が出かけている間に綺麗に片付けられ、明るい光が差し込むそこに俊は蘭世を横たえると有無を言わさずその身体を開く。
「・・・や・・ぁぁ・・」
明るいその寝室に蘭世は恥ずかしさを隠せない。
「・・・今日は、休み、だ。」
そういうと俊は蘭世の首筋に口付ける。
「・・え?・・・ぁぁ!!!」
舌で舐めあげると耳たぶを甘く噛んでみる。
幾度と無く抱き合い、見つけた蘭世の好きな場所である。
「・・・やぁ・・・」
そうされると背中がぞくりとする。
最初は知らなかった、それが感じるということだと。
そして、今はもっとと心の奥底で言っている自分がいることを認めるのが恥ずかしかった。
「・・・いいか?・・」
囁く声にこたえることは出来ようがない。
出来なくても、知られているから。
きゅっと唇をかみ締め、声を押し殺す。
俊はその攻めを繰り返しながらも片方の手で蘭世の乳房を覆い、そして緩やかに揉みしだく。
時折指先で頂点を弄ぶと、きゅっと硬さを増していくのが判る。
「ぁ・・・ん・・・」
洩れるその喘ぎ。
「・・・や・・・ぁ・・・」
太陽光に照り返す、白い肌。
艶めいた声を上げる紅い唇。
リネンに広がる濡れ羽色の黒髪。
俊を求めるー俊が求めるその全てー
・・・全てが美しい、と俊は感じた。
何よりも、だれよりも、どんな景色より、も。
自分といる時の蘭世がー
|