『A Woman In Red』

(2)

敏感な胸の蕾を口に含まれ、舌で転がすように愛撫される。
「あっ・・」
蘭世の思考も言葉もとぎれがちになる。
仰け反った細い背にも大きな手が泳ぎ、赤いサテンと肌の感触を交互に楽しんでいる。
すっ・・と腰の下の方へ手が降り、思わせぶりにまた背中へと上がっていく。
それだけでもう腰から頭の芯まで・・・そして身体の奥にもずず・・と快楽の甘い痺れが忍び寄る。
(も・・何も考えられ・・ない・・・)
状況はよくわからないが蘭世はもう、どうでも良くなっていた。
大好きなカルロがこうして抱いてくれるのだから。

そして、そのうちやっと蘭世もここがカルロの寝室だと思い当たり・・・
蘭世は安堵して両手を伸ばし、カルロの金色の後れ毛に指を絡ませる。
優美なレースで覆われたブラはいつの間にか外されていたが、揃いのレースで飾られた
キャミソールがまだ肌に残る。
肩紐は両方ともすっかりずり落ち、胸が露わになっていた。
サテンの布が鳩尾からウエストのあたりにまとわりついて残っている。
すでにショーツは花芯に触れる前からぐっしょりと濡れ、その部分が濃い赤に変わっている・・
カルロは赤いショーツを蘭世の足からそっと抜き去りベッドの下へ落とした。
(どうやってこの紅い花を観賞しようか・・・)
ふいにカルロは体を起こすと蘭世の両膝に手を置く。そして・・それを軽く立たせ、
次にぐっと細い身体へ膝を押し当てると左右へと割り開いた。
「アッ・・い・・いや!!」
Mの字に足が開かれ、ぬらぬらと濡れそぼったそこがカルロの視線にさらされる。
時間はまだ昼すぎ。寝室であったがカーテンは開いたままで、明るい室内で
その姿ははっきりと見える。
(いやっ!恥ずかしい・・!!)
蘭世は急いで膝を閉じようとするがかっちりと男の手がそれを阻んだ。
淫らなポーズをさせられて忘れかけていた理性が戻ってくる。
「ダークっ・・やめてっ・・」
「・・・」
突然カルロはその手を緩めた。
そして蘭世に触れることもやめ・・そっと長い髪をなでる事しかしない。
蘭世は急に置き去りにされたような・・不安に駆られる。
「ダーク・・・?」
「嫌ならば、これで止めよう」
いつもと違うカルロの態度に蘭世は驚いてしまう。
「えっ・・」
「嫌なのだろう?」
蘭世はこの問いに・・・思わず左右に首を振ってしまった。
(嫌じゃない・・!ダークに抱いて・・触れて欲しい・・・)
カルロは含み笑いをする。
”お仕置き。”
その言葉がその頭に浮かんでいた。
・・だが、本気でお仕置きをしようなどとは思ってはいない。
たまには、それっぽいことをしてみるのも一興だと考えている。
何しろ、今日の蘭世はとても色っぽい”赤”を身に付けているのだから。
そして・・・カルロはそっと蘭世の耳元で囁いた。
「では、私がさっきしたように自分でしてみなさい。そうしたら続きをしよう」
「え・・・」
「膝に自分の手を置いて・・・私に広げてみせなさい」
(!!)
思いも掛けないその台詞に蘭世はショックだ。
真っ赤な顔をして唇を震わせる。
「で・・・できないわ・・・そんなのっ・・」
涙腺の緩い蘭世のその目にはもう涙がたまっている。・・今にもあふれ出しそうだ。
「大丈夫だ、ランゼ・・・私しか、見ていないから」
そう耳元の敏感な部分へ囁く。
その吐息で首筋から背中が再び甘くしびれていく。
何か甘美な魔法を掛けられているような気がしてくる。
「んっ・・」
蘭世は目をつぶり・・おずおずと自分の膝に手を添える。
「そう。私に・・・見せてご覧・・」
手が羞恥でがくがくとふるえる。
その手で・・蘭世は徐々に両膝を広げていった。
「もっと開いて、そうだ・・」
蘭世は羞恥の余り、思わず深く息を吸い込んだ。
小さな顎が細かくふるえている。
ぬらぬらと愛液で濡れ光るそこが再び露わになる。
空気に触れて蘭世もそこにひんやりと冷気を感じていた。
そこまでしても・・まだカルロは蘭世に触れてこない。
「目を開けて、ランゼ。・・・私を見なさい・・」
再びいつもの彼らしくない要求をしてくる。
(やっ・・嫌よぉ・・!!恥ずかしくて目なんか開けられないよぉ・・!!)
俯いて蘭世はいやいやをする。閉じた瞳から涙がこぼれ落ちた。
「これで終わりにするかい?」
蘭世はぐいぐいと追いつめられている自分に気づく。
(でも、カルロ様に触れて欲しい!・・)
蘭世はその・・欲望とも言えそうなその想いに引きずられて言われるままに・・
唇をわななかせ、瞳をゆるゆると開いていく。
悲しげな瞳を上げると・・そこには、いつも通りの優しいカルロの瞳があった。
目を閉じて聞いていた声とは別人のように思えてくる。
「そう、いい子だ・・・」
カルロは蘭世の唇にじんわりと、柔らかなキスを落とす。
(ご褒美を上げよう)
そして、スッと頭を下へ降ろし・・開かれた中心へ顔を埋めるのだ。
「あっ・・!」
舌先で閉じ合わさっていた花びらを下から舐め上げるようにして押し広げると、
トロリ、とそこにたまっていた愛液がこぼれ落ちた。



つづく


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