『パンドラの箱:カルロ様聖誕祭 後夜祭』


2)


「・・っく・・・」
涙を流し始めたランゼにも構わず 後ろから抱きしめてきた男の大きな掌は 
袖のないワンピースの下へ忍び込みやんわりと 彼女の胸を 包み始めた。
両の手で ひとつづつ・・
ぎこちなくそれは動き・・次第に大胆に・・柔肌の感触を丁寧に味わうようにして もみしだいていく。

次第に自己主張を始める胸の蕾にも 指先は忍んでいく。
「うぅ・・」
心とは裏腹な身体の疼きに ランゼは何度も裏切られていく。

ダークが目の前にいるのに。
どうして 貴方の目の前で この人に 私へこんな事をさせるの?

(ダークは 私が他の男性に抱かれるの 嫌じゃないの・・・?)

”誰か、夢だと言ってよ・・!”

突然カルロが ふっ と笑みを浮かべ ゆっくりと歩み寄ってきた。
いつの間にかその右手にはグラスがあり、彼の歩みと共に中で琥珀色の液体が揺れているのが見える。
「心を楽にして。大丈夫だよ 愛しい娘・・」
そう言い終えると、カルロはグラスに口を付け・・次に、目を見張るランゼの細い顎を
指先で捕らえ少し上を向かせ・・唇を 重ねた。

(ウ・・!)

「ごほっ ごほっ・・・」
喉に強い刺激を感じ、ランゼはむせ込んでしまう。
カルロはランゼへ 強い酒を口移しで飲ませたのだった。

「もうすこしで楽になる こちらへ・・」
そう カルロが促すと、突然、部下Zはランゼを抱え上げ・・彼が指し示した
揺り椅子の上に 腰を下ろした。
その椅子に座った部下Zは 背中から抱えるようにして ランゼを膝に座らせる。

強い酒で 次第にランゼにも酔いが回ってくる。 頭がふらつき 今の状況が
現実ではないような気がしてくる・・

部下Zが ぐっ とランゼの細腰を自分へと引き寄せた。
(・・・っ・・・)
嫌だ。
背後にいる男と密着した腰のあたりに ランゼは固い異物感を感じる。それは ・・男性の証。
思わずランゼは顔を赤らめる。
「そいつだって男なんだ。欲情すれば皆同じことさ」
「っ やあああっ」
再び背後の男はランゼの首筋にキスを降らせ・・両の手で胸を弄び始めた。

(いや!また・・・!!)

必死に耐える 彼女の唇が 細かく震えている・・・

「いい顔をしている・・」

恐れと、不安と。そして 快楽に溺れまいとする理性が ランゼの顔を美しく歪めている。
それはとてつもなく艶やかで なまめかしい・・

「う・・・」

先程ランゼに口移しで酒を飲ませた以外は、いまだカルロはランゼに触れてこない。
「ダーク・・・!」
不安が大きくなり ランゼは彼の名を呼んだ。
(お願い せめて私のことを 抱きしめて・・・!)

背後にいる男の長い指先が胸の蕾をやわやわとつまみ捻るたびに ランゼの眉がゆがむ。
彼女は声を 必死に殺している・・・

だめよ、ダークには絶対聞かれたくない。
私の こんなふしだらな声・・・

「ランゼ。私にどうして欲しい?」
カルロは そうランゼに問いかけた。
「私を・・彼から離して・・・!」
それにはカルロは静かに首を横に振る。
「どうしてぇ・・!」
「それ以外には?」
それ以外。
今、ランゼはそれを願ったばかりだ。
「う・・・」
「言ってご覧 言えば叶えて上げよう」
おそらく、カルロはもう彼女のそれを心の声で聞いて知っているのだろう。
今 黙って違う男に弄ばれているのを 離れた所で黙って静かに見守られているくらいなら
カルロに 来て貰った方がいい・・!
ランゼは 心を決め 震える唇で それを口にした。
「ダーク・・おねがい・・私を 抱きしめて もういちどキスをして・・・!」
まだ羞恥の抜けないその言葉に カルロは少し物足りなさを感じたが
それでも微笑みをたたえてランゼに近づいていった。

いつもの 大きな掌が ランゼの両頬を包み・・唇を合わせてくる。
そして あっという間に舌を滑り込ませ 彼女の口内をまさぐり始めていた。
ランゼも その感覚に集中しようと 他の刺激を心から排除しようとするかのように
それこそ必死に 彼の舌に自分の舌を絡め合わせていく。
情熱的な 接吻・・・
そうしている間も、首筋のキスと 胸への愛撫は 続けられているというのに。

キスに夢中になっているランゼを見て、カルロは彼女のドレスに開いている
横の長いスリットから そっ と手を差し入れる。
(確か今日の彼女は・・)
ガーターストッキングと そして。
長い指を横の腰骨のあたりに泳がせ 目的の物を見つけると それをすす・・と引っ張った。
「あっいやっ」
ランゼは唇を離し 思わず俯く。
左右でリボン結びしてあるショーツ。
その片方を、カルロは解いたのだ。
そうして頼りなくなった布の下に手を差し入れ・・一直線に そしていつもよりも不躾に
カルロはランゼの足の付け根にある秘密の場所へ指で触れていく。
「ランゼ もう こんなに濡れて・・・いつも以上じゃないのか?」
その言葉にランゼは顔を真っ赤にして首を左右に振る。
「そんなぁ・・いやぁっ・・馬鹿馬鹿っ!!」
くす・・と 笑みを漏らし カルロは彼女の繊細なスリットを その濡れ加減を確かめるかのように
下から上へ また下へ・・と なでていく。
「んんんっ・・」
 身体を駆け抜ける快楽に耐えようと またランゼは身悶える。

まだ強情なランゼに 健気だと そしてしおらしく愛おしくも思えてくる。
だが・・。
今夜は もっと 愉しみたいのだ。
 「君 手伝ってくれないか」
短くカルロが背後の男に声をかけると、彼は胸をまさぐっていた手を離した。
そして。
「あっ いやあああっ!」
両手でランゼの膝を持ち上げ引きつけ、Mの字に拡げさせたのだ。
ランゼは必死に抵抗しようとするが、先程カルロにかけられた魔法で 自分の意志では
四肢は動いてはくれない。

カルロは申し訳程度に引っかかっている彼女のショーツの もう一方の結び目を解き・・
その開いた花弁を空気にさらけ出させた。
「いやあよ ダーク こんなぁ・・放してぇ」
恥ずかしい。
「おねがい・・やめてぇ・・」
しかも 私の足を捕らえているのは カルロではなく 背後にいる 部下Z なのだ。
背後からも 自分のそこを覗き込まれているようで恐ろしい。だが
それを確かめるのも 怖かった・・・
「いい 眺めだ」
そう言いながら カルロは濡れそぼった花弁を注視したまま ランゼの前に 立て膝を付いて座り込む。
そして、また 触れては来ない。
「うっ・・うう・・」
カルロにあそこへ視線を注がれている。
そう思うだけで ランゼは身悶えてしまう。
じっ・・と耐えていたが、そのうち 我慢しきれずに ひくん、ひくんと ランゼの濡れた花びらが
誘いかけるように痙攣し始める。
「ランゼ、この男の前で 私を誘っているのかい?淫らだね・・ひくついているよ・・・」
「やあっ・・・!」
両手が動くなら 覆ってしまいたい。
それも叶わず、ランゼは顔を背ける。
「さあ、この格好で朝を迎えるのかい?」
「いっ・・いや!!」
「ではどうする」
「ダーク・・・!」
お願い、もうやめて・・
すがるような目で彼女は足下に座り込んだカルロを見下ろす。
だが、カルロの台詞は変わらない。
「言葉で言わなければ わからない」
「ダーク・・もう やめて・・」
「それは聞けないな」

また 私にそれを言えというの・・!?
思わず心の奥底で願った それを・・・
「それができなければ 朝までそうしていればいい 今のZ君は私の言うことしか聞かない」
「いや いやよぉ・・」
ぽろぽろ・・と 再びランゼの目から大粒の涙がこぼれる。
それを見て カルロは少し苦笑をし・・伸び上がって ランゼのこめかみにそっと口づけた。
そして 優しく耳元で囁く。
「大丈夫だ、彼は口が堅いし 忘れさせてもいい。そして 見ているのは私だけだよ ランゼ」
「あ・・」
名前を呼ばれ 少し心がほぐれていく。
「言ってご覧」
また ランゼの声が 震えている・・・
「わ・・わたしに 触れて・・」
「おまえの どこに?」
「わた・・しの 秘密の・・あそこ・・に・・・」
それを聞いて、カルロはにっこりと微笑む。
カルロは、部下Zの膝を割り、つつ・・とランゼのそこへ近づいていく。
そして。
「ああああっ」
開かれたそこへ顔を寄せ・・彼は その花びらを舌で弄び始めたのだった。


つづく

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