『パンドラの箱:カルロ様聖誕祭 後夜祭』



ご注意:

今回のお話は『ルーマニア・レポート3』の零れ話で
 カルロ、ランゼ、そして部下Z君が出て参ります。
しかも、地下のお話ですよ・・・
さらには、かなり実際のキャラとは異なる動きが多々見られます
各キャラのイメージを損ないたくない御方は どうぞお戻り下さい。
(壁紙は ささーっと スクロールすると見ることが出来ます (^_^;))

それらをご了承できる方のみ この パンドラの箱をお開け下さい・・・








1)

それは 真夜中のこと。

「!!」

その若者は がばっ と身を起こし 目を覚ました。
(あ・・・)
暗い 無機質な天井。固い簡易ベッド。
そこはNATOの仮眠室。
彼は・・部下Z。

(今のは 夢・・・)

それに気が付き ほっ と胸をなで下ろす。

連日の徹夜勤務がたたったのか
デスクワーク中に 強烈な眠気に襲われ
先輩達の許可を貰って 部下Zは仮眠を取っていたのだった。

冬だというのに 体中、じっとりと脂汗をかいていた。
夢にうなされ はあはあと 息を弾ませる。

なんて、とんでもない夢を見たんだ 僕は・・・。






それは カルロの誕生パーティの夜のこと。
ランゼはパーティ会場の片隅で そわそわと 落ち着かない様子だ。
(ダーク・・なんだか遅いな・・・)

「すぐに戻るよ」

そう言い残してカルロはパーティ会場から姿を消した。
それから、小一時間は経過しようとしている。

(心配だなぁ・・・)
ベンさんに 相談しようかな。
彼女がそう思ったとき・・
『ランゼ・・・ランゼ』
「ええっ!?」
ランゼの頭の中に 突然”声”が響いた。


『今すぐ私室へおいで・・いい物を見せてあげよう』

(なにかしら・・?)

ランゼは部下の一人にことづけをして、自分も会場を離れた。
脇に深いスリットの入った夜会着の裾を気にしながら 屋敷の階段を上る。


コンコン、とノックをすれば 中から「どうぞ」と言うカルロの聞き覚えのある声が聞こえてくる。
(いいもの って なにかしら)
ダークの誕生日だし・・
頂いたプレゼントの中に 何か面白い物が入っていたのかしら・・?
でも 1時間も席を外して プレゼントの検分をしていたとは思えないし。

ランゼは扉を開け、そおっ と入っていった。

部屋の中は 照明こそついていなかったが 済んだ満月の光が強烈に射し込み
中の様子は 青一色でこそあれ 判別は出来るほどだった。
「ダーク・・・」
ランゼの声は 愛しい夫の姿を探している。
くるりと部屋を見渡せば。
(え・・?)
月明かりの窓の下に、アンティークで豪奢な彫刻を施した木製の揺り椅子。
そこに座っていたカルロの傍らに ネクタイとスーツ姿の男が一人。
カルロの部下かと一瞬思ったが そうではなかった。

「Zさん・・!?」

部下Z。
NATOの情報部員のなかで 一番若い男。
カルロと同じ金髪に緩いウェーブがかかっており それを短く整えた 碧眼の
そして整った顔の青年。
数日前 ランゼは部下Zと共に宝石窃盗団に一緒に捕らえられ そこから
手に手を取り合って(?)逃げ出したことがある。
そして、1年前 部下Zはランゼの変身を見てその記憶を封印されていたのだが
逃げている途中で その記憶を取り戻してしまっていた。
「Zさん、今夜はお仕事じゃなかったんですか?」
その答えに 部下Zは弱々しく微笑んだ。
「こんばんは、ランゼ君・・ちょっとね」
「ちょっと?」
「ランゼに関する記憶を消して欲しくなかったら付いてこいと言ったら 大人しく付いてきた」
緊張して立っている若者の横で これまた若い・・彼よりは数年年上の・・男が
ゆったりと葉巻をくゆらしている。
「ダーク・・それを知っていたの・・?」
カルロは無言で頷いた。
「彼は 私のいうことなら何でも聞くから頼むと 自分から言ってさえきたよ・・
 黙っていれば見逃していたかも知れないのに 不器用な男だ」
そう言いながらニッ と笑う彼の横顔は・・どこか魔性の匂い。
「記憶という名のパンドラの箱を開けたからには 本当は殺してしまうのが妥当なのだが
この男は 命に替えても黙っていると 言ってのけたよ」
「まあ・・・」
ランゼは その発言に 驚かされる。

でも、待って。

「まさかと思うけど・・ダークが言ってた”いいもの”って Zさんのこと?!」
ランゼに緊張が走る。
”いいもの。”
冗談にしては 手厳しい呼び方に思える。
ランゼと部下Zは二人で逃げて 極寒の場所で濡れ鼠になったとき 濡れたシャツを脱ぎ捨て
トンネルの片隅で肌を寄せ合い暖をとっていたことがある。
行きがかり上仕方のない事だったのだが・・・
ランゼは、今でも少し それをカルロに対して後ろめたく思っているのだ。
(ダークは、まだその事を怒っているのかしら・・・!?)

ランゼの問いには答えず、カルロは黙ってアンティークな揺り椅子からゆっくりと立ち上がった。
「今日は私の誕生日だ。私へのプレゼント代わりに ゲームにつきあわないか」
「ゲー・・ム・・??」
ランゼは目を丸くして カルロの台詞を頭の中で反芻した。
ゲームだなんて なんだか 彼らしくない言葉・・・

「Z君は 私の言うことを聞く。ランゼも 私の言うとおりにしなさい」
「え・・」
ダーク、酔っぱらっているのかしら?
でも待って、ダークはお酒で酔いつぶれたりなんかしない・・・

カルロは突然上着を脱ぎ捨て ネクタイを緩めた。
そして部下Zも・・カルロはテレパシーで指示を出しているのだろうか・・・
誰も何も言わないのに、部下Zは淡々と上着から脱ぎ始め・・上半身裸となった。
そう、まさにそれはトンネルの奥で暖をとろうと 肌を寄せ合ったときと同じ格好・・
まるで ランゼに対するあてつけのようだ。
明るいところで見たことはなかったから 今更ながら 部下Zの厚く逞しい胸板に
ランゼはどきっとする。
そして慌てて部下Zの逞しい身体から目を逸らし、カルロへ振り向き抗議する。
「ダーク、私が彼と逃げてたときのこと まだ怒っているの?」
ランゼは心の動揺で声がひっくり返りそうだ。
「だからっ、あれは身体が濡れてて寒くって・・行きがかり上仕方なくやったことだって 言ったのに!
ダークだって わかっているんでしょう?なのに どうして・・・」
「ランゼ。おまえが私を騙してカミーユに化けて 飛び出していってしまったのがそもそもの原因だ
 違うとは 言わせないよ」
「ダーク・・だから それも謝って わかって貰ったと思ってたのに・・」
「時には この私でも 感情がついてこないこともある」
そう言いながらカルロが右手を軽く上げる。
「きゃっ!」

肩を覆っていたシフォンのストールがひらり・・とランゼから離れ
その代わりに 背中からがっちりと 彼女の細いむき出しの肩を掴む大きな両手が現れた。
知らぬ間に、部下Zが後ろまで来ていたのだ。

「ランゼ・・じっとしておいで・・」
カルロに そう言われた途端・・
(え・・なに・・?)
言われたとおりに、ランゼの身体がびくとも動かなくなる。
(これじゃ、言うことをきくというよりは 思い通りにされているだけだわ・・!)
「ランゼ。たまには私以外の男というのも 知っておくのも悪くないと思わないか」
「そ・・んなの 私は 要らない!!」

「Z君。お前のしたいようにすればいいと思うが・・・無理かな?」
(あ・・)
カルロの目の前で。
部下Zはランゼを後ろから抱きしめた。
なんだか それはやけに 愛おしげな動作だ・・・
「きゃあっ・・や・・Zさん・・ダーク・・やめ・・・」
抗いたくても体は動かない。
困ったことに それは知らない皮膚感覚ではない。
きゅ・・と 抱きしめられ あのときの記憶が不覚にも呼び起こされて眩暈がしそうだった。
「どお・・して・・・」
どうして いまさらこんな事を。

(・・あっ!)
そして 部下Zがランゼの首筋に 突然唇を寄せてきたのだ。
しかも、その軌跡は カルロにレクチャーを受けたかのように 巧みにランゼの敏感な部分を
つたっていく。
心とは裏腹に 首筋から肩へと 甘い電流が流れ始める。
腕から指先へとそれは伝わり 動かない腕の代わりにその手をびくん、と跳ね上げさせた。
「だめ・・Zさん・・正気にもどってぇ・・」
平静を装おうと 必死に歯を食いしばる。
ランゼの耳元に 自分に触れる カルロ以外の男の荒い息づかいが聞こえ始めていた。
「だめよぉ・・いや・・・」
動揺する瞳で 窓の方を見やれば 月明かりの逆光の中で ゆったりと腕を組みこちらを眺めている
カルロの視線と目があった。

「どぉして・・」

ランゼの目から 涙がこぼれ始める。
いまから起きるかもしれないことに ランゼは恐れを抱く・・・


つづく

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