『カウントゲット記念:パラレルこぼれ話』


『Z再び』
:中編


・・・再び古城。
「いや・・いやあぁ・・・」
「嫌がる声にも男はそそられる って 知っているか?お姫さん・・」
Zは妖しい香を使って蘭世を身動きの出来ない、そして淫らな玩具に仕立て上げ
その柔らかい肌をくまなく味わっていた。
「蘭世、なんて綺麗な肌をしているんだ・・・手に吸い付くようだ」
白い胸元にも、背中にも・・赤い痕がいくつもいくつも散らばっていく。
蘭世はそれでも香のあやかしにまとわりつかれ、身動きも・・噛みつくことすらもできない。
あまつさえ身体は自分の意志とは反対にますます熱を帯び、呼吸が乱れていく。
胸の突起を口に含まれ舌で弄ばれると、我知らず声が漏れ始める。
「うっん・・・ふうぅ・・やああっ」
それを抑えるための手も動かず、歯を食いしばることもできない。
絶望的な思いで涙を流し続けるしかないのだ。
(嫌!・・こんなの 私じゃない!!)
「カルロ様助けてっ!!嫌あっ・・!!」

そのとき。
スイートルーム内にある隣の部屋でいくつもの銃声が響いた。
Zは顔をしかめてベッドから半身を起こす。
「おやおや・・意外と早かったな。」
「ランゼ!」
銃弾による裂傷を右肩に負いながらも、カルロはZと蘭世が居る部屋へと飛び込んできた。
カルロは想いが池の水を飲んでテレポートしてきたのだ。
しかし、次の瞬間にはカルロが構えていたピストルは
Zの放ったワイヤーでできた鞭によってはじき飛ばされ・・・
ワイヤーはその体にすら巻き付き自由を奪い、カルロをその場に引き倒していた。
Zは・・カルロよりもその技は一枚うわての人物であった・・・。

「おまえさんを迎え撃つためにこの部屋に用意した手駒は拳銃一丁で一掃かね。
大したもんだな・・ まあお前もいっぱしのボスだからな」
Zは余裕綽々といった様子でカルロに巻き付けている得意のワイヤーの端を引き絞る。
「ううっ・・!」
カルロは激痛にのけぞり、苦悶の声を上げた。
ワイヤーは、カルロの肩の傷にも食い込んでいったのだ。
その声に蘭世は、カルロに異変が起きていることに気づいた。
「怪我してるのっ!?カルロ様っ」
蘭世は残った力を振り絞りカルロの方へ逃げ出そうと体をよじり手を伸ばす。
その弱々しい様子から、蘭世には相手に噛みつく力すら残っていないことがカルロにも伺い知れた。
「おっと。まだ宴はこれからだよ お姫さん・・」
そして、蘭世の精一杯の抵抗も空しく細い身体はZにすくい取られてしまう。
Zは蘭世を腕の中に納めたまま、勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
「ようこそ。ダーク=カルロ・・今日はお前にこないだの礼をさせてもらう」
カルロは先日、蘭世を助けるためにZをピストルで撃ったのだ。
そして奴はヘリコプターの梯子から墜落したはずなのに。
それでもなおZが生きているというのがカルロには信じ難かった。
だが奴はこうして生きて還り・・自分たちを苛んでいる。

ベッドの上から床に転がされたカルロに冷たい視線が降ってくる。
カルロは・・・縛られながらもなお、その視線を鋭くにらみ返していた。
「カルロ様あっ!!」
カルロの視界に、一糸まとわぬ姿となった愛しい娘が憎たらしい男の腕に抱えられている光景が映る。
そんな姿を見て・・冷静でいられる男は皆無だろう。
「貴様・・・その汚い手を彼女からはなせ!!」
「その状態でまだ悪態をつきますかね?」
Zはふふん、とせせら笑い・・これ見よがしに蘭世の胸元に口づけを落とす。
「やあっ・・!」
唇は胸元から鳩尾・・下腹部のあたりへと身体のラインに沿ってすべりおちていく。
「あ・・やあああっ・・・いやああっ!!!」
「そう・・いい声だ・・」
そうやって口づけている間もあざけるような笑い顔で、横目でカルロの方を見やっている。
「この・・・!!!」
ふいにパリン!と鋭い音がしてベッドサイドのコップが砕け散る。カルロの怒気が部屋中の空気を
震わせているのだ。
それを見てまたZはのどの奥で笑う。
「・・・クック・・せいぜいあがくといい」
Zは平然としたまま・・・蘭世への愛撫を続けていく。
蘭世の薬に操られた悩ましい表情と、カルロの怒りの表情とを交互に眺めながら
Zは両方を楽しんでいた。
「お前を抹殺するように私に依頼したのはこのホテルのオーナーさ。
今日は特別に貸し切りで楽しい宴を開かせてもらってるんでね・・」
(あの男!)
カルロにはすぐその男の顔と名前が浮かんできた。
・・このホテルがあるファミリーの所有であることは知っていたのだ。
いつか、会合でこのホテルを利用したことがあったのだった。
「もうすぐ階下から私の部下が上がってくるだろう。
そのときが、お前の最期だ。それまでじっくり見物してるんだな・・
お前の女が私のものになるところを」
カルロは足下までワイヤーで縛り上げられ芋虫のようにのたうつことしかできない。
屈辱、の2文字がカルロに重くのしかかる。
「お姫さんの身体の敏感なところは この私だってどこだか知っているのさ・・
 なにしろ私がさらって数日囲っていたことがあったものな。」
Zの焚いている香のため蘭世は感情とは裏腹に、その躰は敏感にZの妖しい手の動きに反応していた。
蘭世はぽろぽろ、ぽろぽろと涙をこぼすことしか反抗することが出来ない。
「うぅ・・・あ・・あぁっ・・いや・・・いやよぅ・・ん」
蘭世は必死に逃れようともがくが・・甘く妖しい香の煙が、
なおも身体にまとわりつきその自由を奪う。
あまつさえ、その理性を無視し勝手に蹂躙する男の指の動きに合わせて身をひくつかせるのだ。
勝ち誇ったような顔で、男は娘の腰を抱え、引き寄せる。
「そう・・そう、いい子だ。気持ちいいだろう・・」
「やあ・・・も・・・お願い・・・許して・・きゃああっ」
真っ赤な顔をして蘭世は涙を流し首を振ることしか抵抗が出来ない。
そしてカルロは、目の前にしてそれを助けに行くことが叶わない。
愛しい娘が他の男に攻められ身悶えている・・
それは薬のせいであることはわかっている。しかし・・・。

カルロは誰にも見せたことのない表情・・”激しい怒り”をその顔中に露わにしていた。
マフィアの抗争で腕を打ち抜かれたときも、
父親である先代のボスが暗殺されたと聞かされたときも、心では熱く燃え上がっていようとも
非常に・・つとめて冷静に対処してきた男だった。
それが・・悔しさで眉はつり上がり、憤りのあまりギリリ・・と歯ぎしりをするのだ。

Zの指がついに・・蘭世の秘所に触れ・・敏感な芽を爪の先で責め立てていく。
「ああ、もうこんなにぐっしょり濡れて・・いい子だ。気持ちいいだろう?」
「アアッ!」
その途端、蘭世の身体は弓なりに跳ね上がり、声色が変わる。
その声はカルロの耳にも容赦なく届いていた。・・・カルロだけが知っていたその声。
「私もあまり人前で悪趣味なことはしたくないのでね。今は控えめに楽しませて貰うが・・
お前の女が私の手でよくなっているのは、声で十分わかるだろう?」
「・・・恥知らずが!」
「どうとでもいえばいいさ。ま、そう言っていられるのも今のうちだしな」
Zの指の動きに合わせて出る声が、蘭世には自分で止められない。
ひたすら甘い香の煙が身体にまとわりついて離れない。
(嫌・・いやっ!こんな私を 見てほしくない・・・!)
蘭世はカルロに表情を見られまいとカルロのいる方から必死に顔を背ける。
声を漏らすまいと必死になって唇を閉じわななかせる。
「ほら、可愛い顔を・・その悩ましい姿を見せてやれ」
それを見透かしたようにZは後ろ手に蘭世の両腕を掴み、俯せにして
・・カルロの方へ頭を向けさせ細い両腕を引き腰を浮かせる。
「きゃあああっ!いやぁっ」
カルロの方を向かされた蘭世はそれだけでパニックを起こしている。
(だめだ!!)
カルロにはその男の次の行動がすぐに解った。
・・・体中の血液が一気に沸騰するような感覚がカルロにわき上がる。
(させるか!・・・この・・っ!!!)
次の瞬間。
ぽっ、ぽっ・・。
カーテンに、壁に、そしてベッドの天蓋に、さらにはシーツの端にさえも火が次々とともりだした。
続いて、部屋にあるスイッチや電灯・・家電製品が次々とショート音を放ち火花を散らせ炎を吹き出す。
隣室の隠し窓の向こうで回っていたビデオカメラも、同様の有様だった
「何っ・・!?」
これにはさすがのZも慌てだした。カルロを見やると・・・双眸に妖しい光が宿り・・
「!?」
カルロを拘束していた太いワイヤーもその念力によってまるでぼろ切れのように寸断されたのだった。
屈辱と嫉妬による怒りは・・・通常の彼の力を数倍にも増幅させたのだ。
ゆっくりと、亡霊のようにカルロは立ち上がる。その身は怒りで青白く燃えていた。
カルロがあちこちに発火した炎によって火災報知器がけたたましいサイレンの音を鳴らしたと思うと、
続いてスプリンクラーが作動し、天井から一斉に冷たい水のシャワーが勢いよく落ちてくる。
「うぷっ・・この!!」
これは当のカルロも想定外のことであったのではないだろうか。
Zが嫌な予感にとらわれ窓の外を見ると・・消防車が数台、すぐそこまで駆けつけているのが
スプリンクラーのシャワー越しに見えた。
「ちっ・・!」
これ以上騒ぎが大きくなれば周辺の住民も集まってくることは必至である。
これでは自分の部下たちもおそらくは、身を潜め逃げ出すことであろう。
Zは作戦をあきらめ、蘭世を解放し素早く身を翻すと窓の外へその身を投じた。
「待て!!」
カルロが窓辺へ駆け寄り、身を乗り出して窓の下を見るが、すでにあの男の姿はない。
(奴はどこへ!?)
窓の横に目をやるとチェーンが長くたなびいている。
どうやらZはこれを伝って逃げたようであった。
Zはすでに下に待たせてあった車に乗り込み逃走を始めたところらしかった。
(逃すか!!)
この身に受けた屈辱を、そのままになどするものか!!
カルロの表情が魔性のそれに再び変わる・・・。
逃げ去る自動車のボンネットが勢いよく跳ね上がると、そこから発火し大爆発を起こした。
・・・カルロの、仕業であった。
窓の外に大きな灰色の煙が吹き上がっているのが見え
風に乗ってガソリンが焼ける黒い煙のにおいがこちらまで漂ってくる。

「う・・・ん」
背後でか細い声がし、カルロはハッ、と我に返った。
振り向くといつのまにかスプリンクラーのシャワーは止み・・水びたしになったベッドの中央に
人魚のように素裸でぬれそぼった娘が倒れていた。

「ランゼ!」
カルロはすっかり水浸しの部屋をバシャバシャと水音を立ててベッドへ駆け寄った。
蘭世の横たわった重みでシーツの沈みこんだところに水がたまっている。
(・・・)
急いで自分の上着を脱ぐと、裸の蘭世に着せかけながらベッドの水たまりから蘭世をすくい上げた。
傷で腕を動かすだけで激痛が走るはずなのに、それすらも夢中で忘れていた。
「ランゼ!」
「カルロ様・・・」
蘭世は弱々しくか細い声で呼びかけに答え・・胸に頭を預けてくる。
「・・・怖い・・・助けて・・私がわたしじゃ ない・・」
そう言い残すと、蘭世は気を失ってしまった。
その白い身体には・・いくつも赤い・・蹂躙の痕が残されている。
「くっ・・!」
同じく水浸しになったその腕で、カルロはそのくったりとした蘭世の
細い肩をぎゅっと抱きしめ、頬を寄せる。
濡れた金髪からも滴がいくつもしたたり・・蘭世の首筋を滑り落ちていく。
「・・おい!誰かいるのか!?」
階下から、ばたばたと複数の足音と人の声が上がってくるのが聞こえてくる。
・・おそらく消防隊員だ。
(見つかるわけにはいかない)
カルロは懐から例の小瓶を取り出し、再び中身を飲む。
その腕にしっかりと蘭世を抱え・・元いた場所を念じた。




続く。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
あとがき。


続きはまた後日でございます。
マーヤ様、カウントゲットの記念に 次は中編 ご笑納ください。 悠里



Next
冬馬の棺桶へ 

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル