まえがき:
これは本家サイト リクエスト話『パリで休日を』から
派生した物です・・・が
第1話が特に レイプ要素が強いのです。
苦手と思われる方、嫌悪感を抱かれる方は このままこちら からお戻り下さい。
お心づもりが出来る方は スクロールして下へどうぞ・・・
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『The Black-Velvet』
(1)
あのときだって。
『彼はちょっと年上の男なんだって言ってたよね?勿体ないよ蘭世ちゃん。
もっと僕みたいに年の近い男の方が話だって合うはずだし・・実際そうだったろう?』
あれはいつのことだった?
・・そうだ 蘭世が突然働きたいと言い出したときだ
そしてそれは盗聴器越しに聞こえた声
うるさい若造め
お前達にランゼの何が判ると言うんだ
心の機微に疎い粗雑な若者に 愛のなにが判ると言う?
そして 今また 性懲りもなく 彼女に近づこうとする男が
『ねえ、もう本当にダメなの?お嬢様で今日も窮屈な思いしていないかい?
また一緒に抜け出そうよ・・君さえ良かったらバルビゾンのほうへ連れていってあげるよ』
『ただ、また絵とかに夢中な蘭世ちゃんの姿が見たかったんだ・・』
ランゼもランゼだ。
私がいるというのに 何故はっきりとした態度をとらない?
あの夜だって
何故 あの男の誘う言葉にそんなに心乱れて
ひとりシングルベッドにうずくまっていたんだ
また あの怪物に私は飲み込まれる
その怪物には ”嫉妬”と言う名がついている
◇
そんな思いを心の奥深くに抱えながらも 仕事は別次元 当然のこと
会議ともなれば私は戦士になる
ただ こんなときは自分の不思議な力が邪魔になる
ふと気が緩んだとき すぐにそれはせまってくる
不思議な娘は姿を変えて私の胸元に
皆は気づかない だが 私にだけははっきり感じ取れる娘の気配
すぐ 自分の胸元で。
思わず指先で”それ”に触れようとして はっ と我に返り自粛する
(なんだか愛人を膝の上に載せて会議に出席している爛れたボスのような気分だ)
心の中で苦笑う。
ああ、認めよう
そうだな・・私はこの娘に”首ったけ”なんだ・・・
◇
夕刻。
(んー・・・あ、私 寝ちゃってたのね・・・)
身体に当たる空気の温度が変わり 蘭世はふと目を覚ました。
小さくて細長い銀色の体をしていて・・目覚めた蘭世は生身だったら伸びをしたいような気分になっていた。
・・会議が 終わったらしい。 蘭世はカルロがホテルの廊下を移動している事に気づいた
カルロの歩調に合わせて 胸元にいる蘭世の身体もゆるやかに揺れている
”まったくお前は目が離せないな””ごめんなさい・・・”
実はカルロとの「約束」で 蘭世はネクタイピンに姿を変えてカルロに付いていたのだ。
そして カルロはそのままイギリスで開かれる会議に出席していたのだった。
ネクタイピンの姿だがカルロの懐に入れてもらい、ペナルティどころか大喜びで。 しかし
会議で交わされる話は当然とんと判らず、飛び交う声が子守歌のようになって蘭世の眠りを誘い
寝呆けていたのだ。
エレベーターに乗って 上へ上がっていく感覚があって
扉が開くと また乗る前と同じような廊下と扉の列が見える
そして カルロは廊下の奥へと歩いていく
「・・しばらく部屋で休憩する 邪魔するな」「・・・はっ」
そんなカルロと部下の短いやりとりの後 開錠する電子音と共に扉が開く音がする
(あー お部屋に戻ったのね・・)
蘭世は緊張が緩んで思わずほっ、と(生身の身体だったら)吐息をついた。
固いモノに変身していたせいか、なんだか身体全体が強張っているような気がする
もう伸びをしたい気分で一杯だ。
(はやく本の姿に戻して欲しいなぁ)
カルロのスーツの合わせ目の隙間から見えていた視界が突然ぱっ と開けて明るくなった
・・カルロは上着を脱いだらしい。
(およよっ)
大きな指先がぐい とネクタイピン蘭世をつまみあげてネクタイから外す。
そして、コトン、とデスクの上にそのまま置かれた。
(・・うわっ・・ぷぷっ・・・は・・・はっくしょーーーん!)
降りかかったのはカルロが予め用意していた”こしょう”。
大仰な白煙とともに蘭世は本来の姿に戻った。
デスクの上に突然大きな存在の出現・・蘭世は机の上に腰掛けたような格好だった。
「はあーほっとしたあ。」
うーんと両手を上へつきあげて ニコニコしながら蘭世はのんびり伸びをする。
「・・のど乾いちゃったな エヘ」
だが。
カルロは無表情で。
「えっ・・きゃああっ!」
伸びをして伸ばした細い腕の両手首を捉えると、そのままデスクの上へのしかかるようにして押し倒して
「あっ・・やあっ!」
今しがた”蘭世”が 留まっていたネクタイで細い両手首を縛りまとめ上げ
デスクの向こう側にあった椅子の背にその端を結わえ付ける
変身を解かれてすぐにまた生身で拘束・・
平穏は破られ 不穏な黒い雲が蘭世の心を覆う
「やだっ どうしちゃったのダーク?!」
冷たい無表情のカルロに なお蘭世は不安を募らせる
そして、それから数秒もあれば充分だった。
無言でカルロは蘭世のツーピースのスカートのジッパーに手をかける
「ダークっ!?いやっ!!!」
身体を繋げるために不要な物だけ取り払う
薄手で丈の短いジャケットには手をつけず スカートを抜き去り ストッキングを破り去り
ショーツも無遠慮に取り去ってしまった。
下半身だけが つるりと不格好に空気に晒されている
そして口にはハンカチで猿ぐつわを噛ませ・・これでもう牙も封じられてしまった。
(カルロ様イヤだ・・・慣れてる・・・!)
蘭世はその恐ろしい行動に、そして手際の良すぎる動作に戦慄する。
・・私が心を寄せている人は
本当は とても 怖い”悪魔”なの・・・?!
「ウウゥ・・!」
(アァッ・・!)
恐ろしさに瞳を潤ませ怯える蘭世の心を顧みることはなく
無言で、そして淀みない仕草で蘭世の白い膝を両手で掴みあげ左右に割り広げ
蘭世のその繊細な場所を猛った熱い男性の証で一気に突き上げたのだ。
「ウウ・・ウウッ・・・!」
(いや!・・・苦しい!!!)
いつもの優しい交わりと その行為が同じ物とはとても思えない
身をよじっても 逃げることもできない
”・・・ペナルティだと 言ったはずだよ”
ふいに、蘭世の頭の中に声が響いた
その”声”に蘭世の目が大きく見開かれ 無表情で自分を蹂躙するダークをあらためて見上げる
そのカルロの表情は いつもとは別人のよう
蘭世のためではなく・・ひたすら自分のために律動を繰り返しているように思える!
心が通い合っていない・・・・
(あぁ・・・やっぱり ダーク 怒っているの・・・)
蘭世はそれに気づくと がっくりとなり
恐怖で強張っていた体中の力がへなへなと抜け落ち消えていく
それは 諦めという名の承諾
蘭世の目から ぽろぽろと涙がこぼれ落ち始めていた
いつもだったら もっと もっといつまでもと思う交わりも
今はただ激しく黒い嵐が過ぎ去るのを待ちわびるような気持ちだった
ひょっとしたらいつもと同じ間なのかもしれないのに
気が遠くなるような長い時間が経っているような気がする
瞳を閉じて ひたすら突き上げる衝動を受け止める
机の冷たくて固い感触が いつしか自分の体温が移ってぬくもりを持ち始めて
体の重みがかかっている腰や肩に痺れが忍び寄る
突然、けたたましい電子音が耳元で鳴りだし 蘭世は小さく悲鳴を上げて目を開いた
デスクの上の電話が鳴っているのだ。
(やだっ・・こんなときに 電話?!)
当然カルロを呼び出しているのだろう。どうするのかと蘭世はカルロの様子を窺う
するとカルロは・・身を繋げたまま・・受話器を取り上げたのだ。
「私だ・・どうした」
普通のトーンでカルロは電話に応対し始める
(やだやだ・・・ダークったら!)
蘭世は顔から火が出そうな気分だ。
電話の向こうに この様子が分かるはずもないのに・・・
まるで 今の痴態を覗き見されてるような感覚。羞恥心が心を一杯に満たしていく
「・・・仕方ないな 少し待っていてくれ そちらへ行く」
そう言ってカルロは受話器を置いた。
「・・・!」
そして カルロは蘭世から身を引き 身繕いを始めた。
その動作は淡々として。
向こうの部屋でシャワーを浴びる音がしている
そのときも蘭世は縛られたまま デスクの上で
その後も着替えるためにバスローブ姿の彼は隣部屋へ行く様子
ときおり蘭世の前を通り過ぎるが 蘭世の存在を無視するかのような無表情で・・・
(どうするの・・・?何処かへ行くの・・?)
”・・私は、出る前に解いていってくれるよね?”
・・・だが。
当然とも思えるその願いが・・・今日は叶えられなかった
「待っていなさい」
服装が整うとカルロは短くそう言い置き ちらっ とこちらを見てから足早にその部屋から出ていってしまったのだ。
蘭世は解放されることなく なお机の上に縛り付けられたまま・・
パタン、という扉の閉まる音が無慈悲に その広いホテルの部屋に響き渡っていた
その音は 蘭世の心にも深くえぐるように突き刺さっていた・・・
続
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