智明が三毅を堕とそうと色々する話(3)

 翌日、神代邸。
 前日のうちに、この状況は執事全員に説明された。
 物置で繋がれたままの三毅の世話は、一日交代で行うことになった。主に一日三回の食事と排泄の世話、そして一日一回体を拭く等清潔を保つことである。
「噛みつかれちゃいそうですよぅ……」
 この日、トップバッターとなった有里は脅えきった声でそう言いながら食事を持って物置へ入って行ったが、猿轡を外しても三毅は意外と大人しかったらしい。
「でも、お食事は食べてくれませんでしたぁ……が、頑張ったんですけどぉ……どうしても口を開けてくれなくってぇ……ごっ、ごめんなさい!」
 ハンストなんてしても疲れるだけなのに。
 それとも、本気で食欲が湧かないのだろうか。
 何にしても、ボクサーなんだから断食には慣れているのだろう。数日食べなくても命に別状はないはずだ、と智明は思ったので気にしないことにした。

 その日は三毅を藤堂の部屋に移させた。
 それに伴って拘束の仕方も溝口に変えさせた。
 後ろ手の手錠はそのままだが、そこから別の縄が伸びていて、三毅の股の下をくぐって両足首にしっかり繋がっている。その足はあぐらをかいたような格好で固定されている。衣服は既に全て脱がせてあった。
 つまり三毅は全裸で、後ろ手に拘束され、あぐらの状態でほとんど身動きが取れない状態で、藤堂のベッドの上に座らされていた。
 さすがは溝口さんだな、と智明は思う。智明自身で適当にやったのではこうはいかない。
 智明は溝口のその仕事ぶりをじっくりと眺めたい衝動をぐっとこらえて、
「よお、三毅。昨日はよく眠れたかー?」
 と声をかけた。
 三毅は返事をしない。
 そもそも猿轡も噛ませたままだから、まともな返答が来るはずもなかったのだが。
「……そんなわけないか。何か顔色悪いしな。ちゃんと飯食ったのか? 言っとくけど、毒なんか入れてないぞ」
 これにも三毅は無反応だった。
「まあ、いいや。藤堂、後はよろしく」
 智明は横にいた藤堂にそう言って、ベッド脇の椅子に座る。
「うっす」
 藤堂には、三毅を部屋に移動させてくる前に、今日やってほしい命令を説明済みであった。
 藤堂は靴を脱いで、三毅が縛られているベッドに静かに座した。三毅とは向かい合うような形になる。
「昨日はずっと萎えっぱなしだったみたいだからなぁ。一応お客様なんだから、ちゃんとおもてなししないと。頑張れよ、藤堂」
「……うっす」
 三毅と藤堂は一瞬だけ視線を絡ませた。何を考えているのか智明には想像もつかない。
 藤堂はすぐに目線を下に移して、右手を――
 三毅のペニスへとあてがった。
「んんんーーッ!!」
 大人しかった三毅だがさすがに騒ぎ始めたが、身動きが取れないのだから騒ぐだけ無駄だった。
 藤堂も特に構うことなく擦り続ける。
 数分の間見守ってみたが、それはぴくりともせず、縮こまったままだった。
「……ハァ。おい藤堂、もっと頑張れよ。さっき色々話しただろ?」
「う、うっす…わかってるっす……」
 藤堂は一旦手を止めて、両手を三毅の後頭部へと回した。猿轡の結び目を解いているのだ。
 しばらくがちゃがちゃしていたが、程なくして猿轡が外れる。
「……?」
 ずっと噛ませられていると口の感覚がおかしくなるのだろう、三毅は何かをしゃべろうとする前に、噛み合わせを確認するみたいに口を動かしていた。
 その隙に……藤堂は三毅の頭を抱えて、その涎まみれの唇にキスした。
 やった! 智明は思わずそう叫びそうになったが何とか堪えた。
 先刻、「舌を噛みちぎられる覚悟でやってみせろ」と智明は藤堂に言ってあったのだが、その発言通り、藤堂は舌まで突っ込んでいるようだった。
 よく似ている二つの顔が重なっているその光景は、何だか不思議なものだった。
「……あれ?」
 キスしている顔ばかりに目が行っていたが、ふと下の方を見ると、更に驚くべき事実がそこにあった。
「ぷっ…くっく……あはははは!! えっ、何で? 何で!? 藤堂三毅、何で勃ってんの!?」
 三毅は確かに勃起していた。
 藤堂と似た、太さがあって長さはそれなりのペニスがはっきりと固くなって持ち上がっていた。
 智明は笑いが止まらなくなる。
「ははっ……あははは……!! ひぃ、お腹痛い……っ! おかしいだろ、おい、何がどうしたら弟にキスされて勃起出来るんだよ!? 俺、一人っ子だから全然わかんねーわ!! あははは!!」
「あの…ご主人、様……?」
 智明があまりにも笑うので、藤堂はディープキスを中断して様子を伺ってきた。
「あぁ悪い、気にせず続けて続けて。いいぞ藤堂、その調子だ。もっとお兄様をおもてなししてやれよ…! ぷっ、くくく……!」
「……はい」
 藤堂は再び三毅に口付けた。動けない三毅は藤堂に頭をがっちり掴まれて抵抗のしようもなかったが、どうも様子が変わった。どうやら、舌を入れられないように唇を引き結んでいるらしい。
「おいおい、勃起までしておいて今更なんだよ。お前は清純な女学生か!? あぁ?」
 等と智明がからかっていると、藤堂は三毅の頭から右手だけを離して、また三毅のペニスを握った。下の方からゆっくりと、藤堂にしては繊細な動きでなぞっていく。たくましい親指で亀頭をこねくり回す。
「……んぐっ…め……やめ、ろ!」
 まだそんな気力が残っていたのかと驚いた。
 三毅は無理矢理首を捩って、藤堂に頭突きをかましたのだ。
 勢いがついていないから、藤堂にとってさほどのダメージはなかったようだ。むしろ逆効果だったとさえ言えた。三毅はバランスを崩してうつ伏せに倒れてしまったのだ。三毅はすぐに起き上がろうとしたが、四肢の自由な藤堂の方が圧倒的に速かった。
 三毅をひっくり返して、その肩を押さえ込む。
「あんまり、暴れないでくださいっす……疲れるだけっすよ。あんたがどんなに暴れても、ご主人様が満足なさるまでは終わらないんすから…無駄っすよ」
 藤堂は肩に置いた手を食い込ませているようだ。藤堂の握力で全力で握られたら、さぞかし痛いんだろうなと智明は思う。三毅も、うっすらと苦しそうな表情になっている。やせ我慢、といったところだろうか。
「……わかってくれたっすか?」
 そう言う藤堂の声は、口調自体はいつも通りなのに、智明が違和感を覚えるほど冷たかった。三毅も同じように感じていたのかもしれない。黙ったままだったし、視線も泳いでいるようだった。
「ご主人様。中断してしまって、申し訳ないっす」
「あ、あぁ……」
 藤堂はそう言って肩の手を離し、今度は三毅の陰茎を口にくわえた。喉の奥まで、一息で飲み込んでいく。
「……っ!?」
 手は三毅の膝あたりに置かれていた。ぎゅうぎゅうと足を押し広げるようにしながら、頭を上下させている。激しいフェラチオだった。
「やめ……っ、やめ…ろ……」
 三毅の掠れ声は、とても小さく頼りないものだった。
 もちろん、藤堂はやめない。
 勃起し続けているみたいなのにやめろも何もないよな、と智明は思った。
「うっ…うう……ふざけんな…ふざけんなよ……何で、こんな…ぁ……!」
 智明は、自分に言われているのかと思ったが、特に答えることもなかったので何も言わなかった。
 理由なんてどうでもいい。
 むしろ、こっちが聞きたいくらいだった。勃起しているお前は、見るからに感じているお前は、手足がちぎれてでも縛りを解いて逃げ出そうとしないお前は、一体何なのかと。
「ぅあ…ぁあ……ッ!」
 藤堂の動きが止まった。
 それは三毅が射精した為だと、すぐにわかった。
 藤堂が三毅のペニスから口を離すと、唇の端から精液が溢れて、粘ついた糸を引いていた。
「っふ……ははは……」
 智明はたまらず笑い声を漏らす。
「藤堂のクチは、そんなに気持ちよかったかぁ、お兄ちゃん? どんだけ弟好きなんだよ! ブラコンとかそういうレベルじゃねーだろ!!」
 智明は更に続ける。
「そういえばさぁ、俺、全日本ミドル級チャンピオンの藤堂三毅さんに聞きたいことがあったんだよね。ここのところ、すっごく調子悪いらしいじゃん。雑誌とか見てみたけど、次の防衛戦では負けるってあちこちで言われてるよな。何でだ?」
「……」
「いや、何でかなーって思ってたんだけどさ。今気付いたよ。藤堂が自分から離れていったから、なんじゃないの?」
 三毅も藤堂も、黙って智明の話を聞いているようだった。
「だってキスされたら勃起して、フェラされたら即射精しちゃうくらい弟のこと大好きなんだもんなあ? いなくなったらそりゃあショックだよな」
「……っ」
 三毅は何か言いたそうな顔をしていたが、言葉が出てこないようだ。
「バッカじゃねーの? そんなに弟のこと好きなら、ボクシングなんてやめちまえばよかったんだよ。ボクサーにさせることに固執しなけりゃ、藤堂だってもっとお前に心開いてたと思うけどな、俺は」
 本当にそうかなんて、智明は知らない。
 ただ、罵りたかっただけだった。
「ま、今更やめても遅いけどなぁ。藤堂の全ては俺の物だからな」
 そう言うと、智明は椅子から立ち上がった。
「おい藤堂。この椅子に三毅を置いて、服脱いで、ベッドに四つん這いになれ」
「えっ、あ、うっす…」
 呆然としていた藤堂は慌てて口を拭うと、三毅を持ち上げてつい今しがたまで智明がいた椅子に座らせ、ジャケットのボタン、シャツのボタンと順番に外していく。
 瞬く間に裸となって、ベッドの上で四つ足をついた。
「今ここで抱いてやるよ、藤堂。嬉しいだろ? 久しぶりだもんなぁ」

 智明に抱かれるのがしばらくぶりだったということもあっただろうが、やはり三毅が見ているということが大きかっただろう。その日の藤堂はいつも以上に酷く乱れた。
 だが、三毅はずっと目を逸らし続けている。いちいちこっちを見ろと怒鳴りつけるのも興が削がれるし、相手は言うことを素直に聞く輩でもない。
 そこで智明は、藤堂に色々としゃべらせることにした。
 目は背けられるが、耳を塞ぐことは手が拘束されている限り出来やしない。
「なあ、藤堂? 三毅に勝つ為に俺達がどんなトレーニングをしたか、教えてやれよ。最初は何だったっけ?」
 腰を深く打ちつけながら、藤堂にそう促す。
「あ、うぁああ、最初はぁ、ふっ、腹筋のトレーニングっすぅ……ご主人様が革靴を履いて、メディシンボールに、なってくださってぇ、自分の腹筋をぉ、踏みつけてくださったっすぅ……んんっ!」
 三毅は聞いてどう感じているのか、様子を伺ってみてもわからないが、聞こえていることは確かなはずだ。そして、今更これが嫌がらせの嘘八百だとも思わないだろう。
「次は……? その次は何だった、かなぁ!?」
「そ、その次はぁ…っ、う、腕立て伏せ……っ! ご主人様が、自分の…自分の背中に、乗ってくださって……それで……っ、腕立て、伏せを…!」
「おい、肝心なところが抜けてるじゃねーか! それだけじゃなかっただろ?」
 そう囃し立てると藤堂は続けて言った。
「あ、あぅう…! えっと、括約筋を、鍛える、為にぃ……ご主人様が、自分の、ケツにぃ……ハンドグリップを挿れてくださったっすう……ッ!」
「そ、れ、で? そのトレーニングの時、藤堂はどうなったんだっけ?」
 そこまで言わせなければ意味が無い。
「あ、あぁ、ひぁっ…! じ、自分は、あの時…ッ! トレーニング、なのに、気持ちよく、なってぇ…ッ、た、勃ってしまって…じゅ、絨毯で、こすれて…イッちゃったっ、すぅ……!」
 そう言いながら思い出して興奮しているのか、本当にイキそうになっているのがわかった。
「今日は絨毯こすれてねーけど、後ろだけでイキそうなのかぁ!? ぎゅうっぎゅうに締まって波打ってんぞ、オラァ!」

 藤堂も智明も何度も絶頂を迎えた後、藤堂はようやくトレーニングの説明を全て終えた。その合間には、いかに自分が主人のことを愛していて、服従していて、そして責め立てられることがどんなに自分に快感をもたらしているかを、何度も叫んだ。
「あぁー、気持ちよかった。藤堂、お疲れさん」
 あまりに楽しくて、智明は途中から三毅のことを半ば忘れていた。部屋を出る前に、思い出したように三毅を見てみると、唇を噛みしめすぎたのか、流血していた。

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