ドアスコープから外を見て驚いた。
そこに立っていたのは、ジョーだった。
予定よりずいぶんと早い帰国。
予想外の人物だったせいでフランソワーズは一瞬言葉を失ったが、はっと我に帰ると慌ててドアを開けた。
ジョーは顔を出したフランソワーズを見て、「ただいま」と笑って言った。
「おかえりなさい、ジョー。でも…驚いたわ。予定より何日も早いんですもの」
「うん、行きも帰りも思ったよりもスムーズに行けたんだ」
「アフリカから帰ったばかりで疲れたでしょう? 今お茶の支度をするわね」
「あの、ごめんフランソワーズ…悪いんだけどおなか減ったんだ…何か残ってないかな」
「わかったわ。ちょっとリビングで待っていてね」
コーヒーと、ありあわせの材料で作ったサンドウィッチをリビングに運ぶと、旺盛な食欲でジョーはあっという間に食べ尽くしてしまった。
「足りた?」
「うん、ありがとう。おいしかった」
コーヒーのおかわりを飲みながら、ジョーはふと切り出した。
「あのさ、フランソワーズ。前に約束しただろう?春になったら桜を見に行こうって言ってたこと」
「え…ええ、覚えているわ」

それは以前に日本にいたときの秋のこと。
紅葉がきれいだから、とジョーにつれていてもらった色とりどりの秋の山。
そのときに、日本の春は桜が満開になること。
桜の花がきれいなところを知っているから、今度はそこへ連れていってあげる。
という約束をしていたのだ。

「帰りがけに通った公園の桜がもう咲き始めていたんだ。明後日にでも皆で桜を見に行ってみない?」
「ええ、行ってみたいわ」
「君たち、来週には帰っちゃうだろう?…ピュンマは間に合わなくて残念だったね」
せめて桜を見てから故郷に帰って欲しかったんだけど。でも彼も、ずいぶん考えた末に決めたことだから。
「それじゃあ、皆でお弁当を持っていきましょう。ピュンマには桜の写真をとって送ってあげましょう」


そんな話をしていたところに、ギルモア博士とコズミ博士が帰宅した。
「おかえりなさい」
「何じゃ、ジョー帰っていたのか?」
「はい、博士」
「ご苦労じゃったな」
「いえ」
「すまないがフランソワーズ、わしとコズミ君にもコーヒーを淹れてくれんかのう」
「はい、博士」
「今から二人でデータ検証を行うから、しばらく研究室にこもると思うが」
「そうしましたら、研究室にお持ちします」
「そうか?じゃあお願いするよ」
「はい」
フランソワーズは椅子から立ち上がり、空いた食器をトレイにのせながらジョーに言った。
「ギルモア博士のところにいってくるわね。ジョーは休んでいて」
「あ、片付けは僕自分でするから」
「あら、いいのに」
「それくらいはするよ」
「そう、じゃあお願いするわね」

食器の乗ったトレイをジョーに手渡すと、2人分のコーヒーをトレイに乗せて、フランソワーズは研究室へと向かっていった。
ジョーはその後姿をなんとなく眺め、彼女の姿が見えなくなるとやおら台所にむかった。
洗い物を終えて、リビングに戻ってくるとソファにもたれて食後の一休み。
春の午後の風が窓の隙間から入り込み、カーテンを揺らしている。
ぼんやりとそれを眺めていると、足元の籠の中のイワンが目覚めたのか軽くぐずるような声をあげた。

「イワン、目が覚めたの?どうしたんだい?」
「ウン。オナカスイチャッタ。フランソワーズハ?」
「さっき研究室のギルモア博士のところへ行くって言ってたけど?ミルクなら僕がやるよ」
「…ダイジョウブカイ?」
「何言っているんだ、これからはフランソワーズじゃなきゃ嫌だなんて言ってられないだろう?ちょっと待っていて、作ってくるから」
ジョーは台所へとかけこんで行った。

(アア、ソウダッタ)
今更思い当たったかのように、イワンは考える。
(フランソワーズダケジャナクテ、ミンナ ココカラ イナクナッチャウンダ)

「はい、できたよ」
頬に哺乳瓶を当てて温度を見て、ジョーは哺乳ビンをイワンの口元へともっていく。
(……)
一口飲んで露骨なしかめっ面をしながら、イワンはいやいやをして哺乳ビンを遠ざける。
「あれ、まずかった?」
「チガウ!マダ熱イヨ」
「あ、あれ?ごめん、待って、ちょっと冷ましてくる」
イワンをソファに横たえると、慌ててまた台所へとかけこんでいった。

「マッタク…ぎるもあ博士モアマリ期待デキソウニナイシ。先ガ思イヤラレルネ」

やれやれ、とソファの上から誰もいないリビングを見渡す。
つい先日までは常ににぎやかだったというのに。
これからはこういう場所になっちゃうのかな?
そう思うと、「家族」から離れることが赤子の彼にも一抹の寂しさを感じさせた。

そんなことを思っていると、ジョーがちょうどいい温度に調節した哺乳ビンを片手にかけ戻ってきた。
「お待たせ、さあこれでちょうどいいだろう?」
「ウン、アリガト」
一心にミルクを飲み出す赤ん坊をだっこし、その顔をなんとなく見ている少年。
「…ナニ?」
「い、いや、別に…」

(あったかいな)

腕の中の小さな命。
思わぬ運命から、生活を共にした仲間の一人。
孤児院育ちで赤ん坊の世話なら慣れていないわけじゃなかったが。
たいてい、赤ん坊ならすぐに養子にもらわれていく場合が多かったから。
可愛がっても、すぐにいなくなってしまう弟・妹たちだったから。
(家族、か)
今まで手に入れたことのない居場所。
(暖かくて…不思議な感じがする)

「ジョー、アリガトウ。オナカイッパイニナッタ。…?ネエ、モウナクナッタヨ?」
ぼーっとイワンの顔をのぞきこんだまま静止しているジョーに、自己主張するかのようにじたばたと腕の中で暴れて見せる。
それでも彼は反応を示さない。
「ジョー?」
見上げると、赤ん坊を抱いたまま、少年は穏やかな午後の眠りへと誘いこまれていた。
「マッタク…ショウガナイナァ」
ジョーの腕の中から「ちから」と使ってすり抜けると、自分の定位置でもあるゆりかごの中にふわりと収まった。
「デモ、アッタカクテ、タシカニキモチイイ陽気ダヨネ」
ゆらゆらと揺れるカーテンを見つめ。
「ファァ…ボクモマタ眠クナッチャッタ…」
赤ん坊は、少年の寝顔につられるように、目を閉じるとすやすやと眠り始めた。


研究室からリビングへ戻ってきたフランソワーズが、ふとソファに目をやると、そこにはクッションにもたれて眠るジョーと、あいかわらずのイワンがいた。
床に落ちている空の哺乳ビンを拾い上げ、首をかしげる。
「イワン、自分でミルクを飲んだの?…まさか、ね。ジョーがあげてくれたのかしら」
首をかしげながら、眠るジョーを起こさないよう、そっと顔をのぞきこんだ。でも彼はぐっすりと眠っていて、多少のことでは起きそうにない。
「やっぱり疲れていたのね」
穏やかな寝顔。
戦いの日々からようやく開放され、ふっと力の抜けた柔らかい表情をしている。
「子供みたいな寝顔ね」
そのあどけない寝顔を見たら、誰もが思わず微笑んでしまうような。

(こんなに近くから彼の顔を見つめるのは、はじめてかも)

フランソワーズは思い出す。

改造され、意志とは関係のない戦闘訓練の日々、その後の自由への長い戦いの日々。
戦闘能力に劣る自分を何かと気にかけ、かばってくれることの多かったジョーのそばにいることは少なくなかった。
でも、今思い出せる彼の表情は戦場にいるときのものばかり。
張り詰めた戦士の表情。
目の前の、初めて見るような穏やかな寝顔。

これが、あの「009」の別の顔?

眠る彼を起こさないよう、そっと隣に座り彼の長い前髪に触れてみる。
さらさらとした栗色の髪。
指先が軽く触れた、やわらかい頬。

これが人工のものだなんて…
自らの体にも施された、望んでなどいなかった戦闘兵器としての改造。
女性らしい皮膚、プロバレリーナになるべく鍛えつづけた筋肉、それらがすべて人工物に置きかえられてしまった。
そして望まぬものが「見える」眼、「聞こえる」耳が与えられたと知ったときの衝撃は、まだ十代の少女にとって苛酷過ぎた。

あの日、休暇で家に戻ってくる兄を駅まで迎えに行く途中。
突然見知らぬ男達に車に引きずりこまれ、意識を無くした。
そして…目覚めたときには常人の五十倍の視聴覚能力を持つサイボーグ003としての改造を施されていた。
それから始まった戦闘兵器としての訓練の日々。
序々に増えていく、同じように望まぬ身体を与えられた「仲間」たち。
イワンの誘いかけでとうとうギルモア博士が脱走計画に賛同したときから、運命は確実に明るいほうへと動き出したのだと信じたかった。

そして運命のあの日。
サイボーグ009、最後の仲間が自分たちの前に現れた。
彼の改造の終了を待って、ブラックゴースト団に反旗をひるがえし逃亡したのだ。

それから長い長い、望まない戦いの日々を送り…

ようやく戦いの日々は終わったのだ。それはもう忘れたい過去。
追手がいなくなり平和を取り戻した今、あえて日本へとどまり続ける理由は無い。
だからもう悪い夢は忘れて故郷へ帰って、かつて夢みたバレエの世界へ戻ろう。
改造によって失われてしまった骨格や筋肉を取り戻すために死に物狂いで踊ろう。
プロになることはもう無理でも…でも、踊りたい。踊りつづけたい。それは私にとって、止められない情熱。

…そして。

そして。

もし、許されるのであれば。
踊ること、の夢を再び叶えることができるとしたら。
憧れの舞台に立つ日がきたら。

その日、この人にも夢の成就を見てもらえたら。
そんなことを今思うのはおかしいだろうか?
(私もそんな夢を見てもいいのかしら?)

「う…ん」
ぐらり、とジョーの身体が揺れ、自分に倒れ掛かってくるのをフランソワーズはとっさに受けとめた。
ジョーを腕の中に抱きしめている体勢になっていることに気づいた次の瞬間、彼女は真っ赤になって彼の身体を元の体勢に戻そうとして手が止まった。
「ジョー?」
相変わらずののんびりとした寝顔。
「嫌な人…これで眼がさめないなんて」
自分の腕の中に男性を抱えているというシチュエーションにはあまりにそぐわない、ジョーのあどけない寝顔。
まるで寝ぼけた子供と、その保護者。
呆然と寝顔を見つめて、思わず、くすりと笑い
「いいわ。このまま抱きかかえているのは重いから、こうしてね」
ジョーを抱いたままソファに腰掛けると、フランソワーズはそっと腕の中の彼の身体をおろして、頭を膝の上に乗せる。
「さすがにイワンを抱っこするよりは重いわね」
そっと足元のゆりかごをのぞきこみ、赤子も眠っていることを確かめた。

膝の上には、栗色の髪の青年が眠っている。
足もとのゆりかごの中には銀髪の赤子が同じくぐっすりと眠り続け。
部屋の中には暖かな春の風。
今までの神経を張り詰めてきた日々から考えられないような、のんびりとした時間。
膝の上のジョーの髪をいじりながら、彼とイワン、ふたりの寝顔を見つめ、その穏やかで健康的な呼吸に耳をかたむけ…

「やだ、私まで眠くなってきちゃった…」
栗色の髪に指を絡めたまま、フランソワーズも穏やかな春の眠りに落ちていった。


「お、あれは何だ?」
リビングへと入ってきたグレートが真っ先に目に入ったソファの光景を見て先客へ問う。
「見ての通りさ」

ソファの反対側に置かれた椅子に座って、雑誌をめくりながらアルベルトが苦笑しながら言う。
ふたりの視線の先はソファの背にもたれて眠っているフランソワーズ、彼女の膝枕で同じくぐっすりと眠っているジョーと、その足元でいつもどおりのイワン。

「ほほえましいだろう?」
「なんというか、遊びつかれた子供らが一緒に昼寝してるって感じだな」
「そりゃまたずいぶんな言い方だな、アルベルト」
すたすたと歩いてきて、間近で彼らの様子を見るとグレートは驚いたような声をあげた。
「ありゃ、ちゃんと毛布まで用意してあるとはね」
「まあそんなことはないだろうが、万が一風邪でもひかれたら厄介だから、さっき俺がかけておいた」
「…立派な保護者だねぇ」
「当然のことをしたまでだが?」
「まあいいや。我輩はお茶をいただきにきたんだ」
グレートは台所に向かいながら、振りかえって
「アルベルト、アールグレイだがお前さんも飲むかい?」
と聞いた。
「ああ、頼む」
「ほいきた。しばらくしたら他の連中も戻ってくるだろう」

そしてティーポットや人数分のティーカップなどをのせたトレイを運んできた。
グレートは手慣れた様子であたためたティーポットに紅茶の葉を入れ、薬缶から熱湯を注ぐ。
やがて良い匂いがリビングに満たされていく。
それにつられたのだろうか、ソファで動きがあった。

「ん…」
もぞ、とジョーが身じろぎをした。
「お、お茶の時間だからジョーも起きてくるか」
ジョーはやっと半分目を開けて、自分の置かれている状況がわかっていない様子。
「お目覚めか、ジョー?」
にやりと笑ってアルベルトが言う。
「お前も紅茶飲むか?」
「…うん・・・?」
あまりにぼんやりとしたジョーの様子に、グレートも呆れ顔になった。
「おいおい若者よ、しっかり起きんかね」
「…んんっ?」
目をこすりこすり、起き上がろうとして。
にやにやしている二人の姿が目に入り、自分の頭がどこにあるかを認識した瞬間。

「!!!!!!!!!」

ジョーは真っ赤になってソファから飛びのいた。
「おいおいおい」
「フランソワーズどころかイワンまで起きちまうだろ」
「ええっ、何で?何でフランソワーズが」
「そんなこと俺たちが知るか」

騒ぎが耳に入ったのか、フランソワーズもようやく目を開けた。
「あら、わたし…?」
「やあ、おはよう」

彼女の前にはにやにや笑っているアルベルトとグレート。
部屋の向こうで真っ赤になってうろたえているジョー。

「なあに、二人とも変な顔して」
「いや、君らのほほえましい姿がね」
くっくっと喉で笑いながらアルベルトが言う。
ふと、ひざに掛かっている覚えのない毛布に気づき
「私が寝てるところを見て笑ってたの!? ひどいわ!」
「いや、君の膝枕でジョーが眠っていたんだよ」

…あ。
そうだった、そんなことをしたんだった。

眠りに落ちる前の、自分の行動を思い出してフランソワーズは赤くなる。

「なんだ?お前まで赤くなって」
「皆に見られてたの…」

ショックを隠せない状態のフランソワーズを見て、アルベルトはにやりと笑いながら
「まあいいじゃないか」
お前もお茶飲むよな、と湯気の立つカップを目の前に差し出してくる。
「ありがとう」
ちょっとふくれながらも、良い香りの紅茶を口に運ぶ。
「おいしい、これグレートが淹れてくれたの?」
「そう、これは我輩のお気に入り銘柄でな」

グレートが語り始めようとしたところでドアが開き、ジェロニモがリビングをのぞきこんで中に声をかけてきた。
「すまない、誰か手をかしてくれないか」
「何だい?」
「門の立て付けが悪い、直すのに誰か手をかして欲しい」
ジョーが立ちあがって返事をした。
「わかった、僕が行くよ」
「ジョー、助かる」
フランソワーズも振りかえって声をかけた。
「ジェロニモ、終わったら一緒にお茶を飲みましょう」
「ああ、ありがとう。すぐ終わらせる」
「ジョーの奴、逃げたな」
グレートがからかうように言う。
「しかしジェロニモも働き者だな」
「そうだな」
「なんだかんだ気がついて、手を入れてるものな」
「まめな人なのよね」
「では働き者の諸君のために、紅茶を淹れなおしてくるわ」
すたすたと台所へ向かうグレートを見て、
「グレートもけっこうこだわりの人よね。特に紅茶には。やっぱりイギリス出身だから?」
「だろうな」
「なんか言ったか〜?」
台所からグレートが大声で聞き返す。
「紅茶の淹れかたが上手ね、って」
「葉もしっかり選んでるんだぞ」

ここからは見えないけれど、恐らく胸を張って言っているのだろう。その姿を想像して、フランソワーズはアルベルトと顔を見合わせ、くすくすと笑った。
ほどなく、仕事を終えたジェロニモとジョーが戻ってきた。

「終わったよ。これで門もスムーズに開くようになった」
「ジェロニモ、ジョー、ありがとう。おつかれさま」
「紅茶と、あと茶菓子もあるから休憩してくれ」
「ありがとう」
「ジョーの分も淹れなおしておいたぞ」
「うわ、ありがとう」
うれしそうにカップを受け取るジョーを横目で見て、
「でもまあ、さっきの君たちには和ませてもらったよ」
アルベルトはくくっ、とのどの奥で笑う。
フランソワーズは彼を軽くにらんで、
「もうやめて。忘れてちょうだい」
そこへ帰ってきたジェットがひょっこり顔をだした。
「ただいま。誰か門、直したんだな。きれいになってた」
「おお、おかえり。先ほどジェロニモとジョーがな」
しかしジェットは話をはじめたグレートよりも、名前の挙がった予定外の人物に先に気をとられた。

「お、ジョー帰ってたのか」
「うん、ただいま」

門の話には興味を失ったらしいジェットに、グレートは気を取り直して別の話題をふる。
「ジェット、一緒にお茶をどうだ。我輩のおすすめ銘柄だ」
「お、貰うよ」

ジェットはカップを受け取るとき、ちょっとふくれっつらでアルベルトを見るフランソワーズに気づき
「何だ?そこの二人はなにもめてるんだ?」
「いいえ、なんでもないわ」
フランソワーズはあわてて取り繕おうとする。
「なんだよ、言えないようなことか?」
からかい口調でジェットが突っ込もうとする。

それを見て、フランソワーズの不機嫌の原因を知っているジョーが慌てて話題を変える。
「あ、そうだ皆。さっきフランソワーズには話したんだけど、来週…」

「桜を見に行くのか」
「お、いいね。楽しそうだな」
グレートが乗り気で外出のプランを立て始める。
「よし場所はここか。日本の花見とやらは初めてだな」
桜を見に行く話で盛り上がっている彼らを見ていて、フランソワーズはふと思った。

何だか不思議。
ほんの少し前までは、こうやって皆で話すことといえば敵のこと、戦いのことがメインだったのに。

それでもこんな時間を持てる「今」にフランソワーズは限りない喜びを感じていた。
これまでの辛い思いを包み込む温かい想い。
そうね、この気持ちを抱いてなら、今なら笑顔でふるさとへ帰れる。
皆も大丈夫ね、ほら笑っているもの。
私たち、笑えるんだもの。

フランソワーズは花見の話に加わりながら、思う。

これからどんな新しい人生が始まるのか、まだわからないけれど。
夢を見たい、もう一度。

ここを離れる、この春に。


(初出「Aube」2004.2.22発行)

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