【 Awaking after 65 minutes (1) 】
 
 
 
 

 
「これからぐっすり眠る。約束の時間がきたら起こしてくれ」
そう言い残して、BJは病室のひとつを占拠し眠りについた。
12時間にも及ぶ手術の後だ。疲労困憊なのだろう。
それがわかっているから誰もその部屋には近づかなかった。
ピノコさえ遠慮し、BJは完全に睡眠時間の確保がされたはずだったのだが。

部屋に篭って1時間ほど経った頃。
病室のドアがゆっくりと開かれた。
人一人通るくらい開いた隙間から、ひとつの人影がスルリと部屋に入り込み、すぐにドアが閉められた。
ほんの一瞬のこと、それも物音ひとつ立てず行なわれたので誰もBJの眠る部屋に誰かが入り込んだことに気がつかなかった。

ベッドの上に、白衣を着用したままボタンをいくつか外し衣服を緩めたBJがグッスリと眠っていた。
サイドテーブルには食べかけのサンドイッチと半分減った紅茶が置いてある。
食欲よりも睡眠欲が勝ったのだろう。
眠りについて数時間、もっとも眠りの深い時間帯。
そのうえ疲れ果てた様子からみると、少しくらいの物音では起きそうにもない。
そう思いながら、キリコはベッドの脇に立ち眠るBJを見下ろした。

暑かったのか、髪はかきあげられており、いつもは半分隠されている顔がすべて晒されている。
睫が下ろされて強い眼光が見えない分、元来の顔の造作が強調される。
睫も長く、鼻筋も通っていて、唇の形もいい。
傷や肌の色といった異質なものに押されがちだが、綺麗な整った顔なのだ。
ひたすら睡眠を貪るその顔は幼い子供のようにも見えるが、疲労を乗せた表情はなんともいえない色香を漂わせている。
誘うように薄く開いた唇を食い入るように見つめている自分に気がついたキリコは、ハッと我に返って視線を反らした。
その視界に入ってきたのは、首筋と肌蹴られたシャツからみえる鎖骨。
「くそっ」
強烈な吸引力で自分の視線を捕らえるBJの躯からどうしても目が離せない。
忌々しそうに呟くものの、見るだけでは物足りなくなっている自分に気がついた。
唇や頬、首筋や肌、そういったものに触れたい衝動が湧き上がるのだ。
ゆっくりと手を伸ばし、覆うように頬に触れると、意外と柔らかい。
指先で唇の形を辿る。
くすぐったいのか、「んっ」と小さく呻きながら顔が横にそらされた。
だが、起きる気配はまったくない。
自分の手に反応する躯に興奮を覚え、目を覚まさないBJを前にキリコの手が大胆になる。
首筋を滑らせ肌の感触を楽しみながら、開いた胸元からスルリと手を差し込んだ。
女と違う存在感のある確かな手ごたえ。
柔らかくなどない筋肉質な硬い躯だと思いながら、手を衣服の中でさ迷わせていると、指先が突起を掠った。
その途端、ピクリと躯が反応したことが掌に伝わってくる。
顔を覗きこむがぐっすりと夢の中のようだ。
今度は意志を持って乳首を摘み指先で転がすと、「うん」と鼻にかかった声が聞こえた。
日頃は絶対に聞けない甘い色が含まれていて、興奮がグンと増す。
前のボタンをすべてはずし、白衣ごと左右に広げる。
表れたのは贅肉のないバランスのよい男の躯。
その表面を走る無数の傷跡は、BJの徒ならぬ過去の遺産なのだろう。
確かめるように傷をひとつひとつなぞると、その度、躯が小さく反応する。
敏感なこの躯を好き放題に陵辱できたらどんなに愉しいか。
既にキリコには沸きあがってくる欲望を押し込める意志はなかった。
隻眼の目を細め、惰眠を貪る男を見つめる。
ただの男の躯だ。
それなのに、どうして自分をここまで煽るのかがわからない。
女なら。
女の裸であれば、男なら俗物的に反応し欲情することもままだ。
だが同性の、男の躯に同じような反応を起こすとは。
自分も末期だと苦笑しながらも、キリコはスラックスに手を伸ばした。
ベルトのバックルを外しチャックを下ろす。
もしかしたら下半身をみれば萎えるかもしれないと、この明るい光の下で男であることを再確認すればこの情欲は消滅するかも、と思っていたのだが。

スラックスを下着ごと引き下げる。
表れたのは男性器。
無意識にゴクリと喉がなる。
後戻りできないほど、すっかりトチ狂っているらしい。
しんなりと横たわる性器を片手で包み込む。
手の中の確かな重みにゾクリと背筋を興奮が駆け上がる。
柔柔を優しく揉み扱きながら、唇で乳首を咥え舌先で転がす。
「う、ん」
小さな喘ぎと共に躯が逃げるようにみじろく。
自分の与える愛撫に反応するBJに対して益々征服欲が湧き上がった。
手の速度をあげ擦り続けていると手の中の性器がどんどん硬くなってくる。
残った手で肌を弄り、乳首を咥え、性器を扱く。
男相手だというのにまったく抵抗感がないことに今更ながら自分自身を嘲笑しながら、それでも愛撫を深めていく。

逃げるような強請るような、どちらともいえないように腰が揺れ、目覚めないBJの息が荒くなっている。
完全に勃起した性器からは先走りが溢れ、握る手はすっかりと濡れていた。
ここまでしても目覚めないBJに苦笑しながら、キリコは愛撫を止めた。
肌蹴た上半身はあますとこなく唾液で濡れ光り、性器はしとどに先走りで濡れている。
キリコはスラックスに手をかけると下着ごと足から抜き取る。
足を大きく開き膝を立てさせ、その間に自分の躯を割り込ませた。


 
 
 
 
 

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 ■なかがき■

BJ21の『65年後の目覚め』(原作:浦島太郎)ネタです。
題名もそのモジリ(笑)

患者をブッキングさせたキリジャさんたち。
とりあえずBJが先に手術したじゃないですか。
そして、そのあと『ねる』と言って寝に入ったセンセ。
そのあたりを勝手にキリジャ妄想で補足してみました。

・・・エロで(ニヤリ)


 
  
 
 

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