■ミスターXの罠■

【プロローグ】  
 
 
 
 
 

ミスターXは、みたびルパン三世に挑戦しようとしていた。
一度目は裏社会で邪魔なルパンを亡き者にするのが目的だった。
二度目は破れた恨みを晴らそうと命を狙った。
そして今度、三度目は。
邪魔だとか恨みとか、もうそういった次元はとっくに超えていた。
ただひたすら、ルパンと対峙し今度こそ勝利することを願ったのだ。
そのためにじっくりと下準備を整え、ルパンを誘い込む罠を張った。
ルパンファミリーすべての抹殺が最終目的だが、最悪ルパンだけでも構わないとも思う。
今度の戦いが『二度あることは三度ある』となるか『三度目の正直』になるかはわからない。
負けるとは思っていないが、今までのことを愁傷に受けとめたミスターXは万が一ということを考えた。
勝算をあげるためにも一番大切なのは、ルパンとその仲間を引き離すこと。
ひとりひとりでも手強いのに三人一緒に相手にするのは利巧ではない。
とにかくルパンと相棒達を引き離して各個撃破するのが好ましい。
最初にルパンだ。
一番の強敵、一番の目的のルパンを倒したあとに、残りのふたりを亡き者にする。
まずルパンと相棒達を引き離す。
そして引き離した相棒達の気を何かで引いてルパンの元へ戻らせないようにする。
その間にルパンを倒し、のこのこと遅れてやってきた相棒達の油断をついて殺す。
それが一番確実な手だ。
ミスターXは考えた。
どうすれば、どんな手を使えば、次元と五右エ門を足止めできるか。
今度はルパンだけでなく、仲間全員のパーソナルデータを手に入れている。
それを分析し確実に彼らの気を引く、足止めをくらわすことの出来る作戦をたてたのだ。
「今度こそ、きっと」
ルパンを倒した瞬間の達成感と満足感を想像してミスターXは目を細めた。
目の前の画面に映し出されたルパンたちは、悉く仕掛けた罠にかかっている。
さすがに間一髪で脱していて傷ひとつ負っていないが、それは望むところである。
「ルパン、ここは俺達に任せてお前はいけっ」
マイクから流れてきた次元の叫びにミスターXはニヤリと笑った。
この瞬間を待っていたのだ。
隠しカメラから送られてくる映像では、象に追われた三人が二手に分かれたところだった。
ルパンが脇道に反れ、次元と五右エ門はそのまま象を引き付けて走っている。
「今だっ」
ボタンをぽちっと押す。
壁が動きだし罠を仕掛けた部屋に向う、一直線の通路をつくる。
相棒ふたりはこのままあの部屋に導かれるだろう。
その後は対次元&五右エ門用に作成したロボットがふたりを相手するはずだ。
ニヤリと笑ったミスターXはスクッと立ち上がった。
ルパンが導かれるであろう、あの部屋へ先回りしなければならない。
邪魔者は排除した。
あとはルパンとの一騎打ちに臨むだけ。
自分の姿をみたルパンはきっと驚愕するだろう。
その顔を想像し、腹の底から笑いが込みあがってくるのを感じながらミスターXは決闘の場へ向かって歩きだした。
 
 
 
 
 
 

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■Mr.X NO WANA■

 
 
 
■なかがき■

新ル65話『ルパンの敵はルパン』ネタです。
もちろんネタバレありですので、ご了承ください(^^)
 
 
 
 
 

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