■夢夜■
 
 
 

 
ああ、これは夢だ。
なんの根拠もなく五右エ門はそう思った。
夢だということを自覚したからといって目覚められるわけでもないし、特に不便もないのでとりあえず歩きだした。
幾つ目かの角を曲がると、次元が向こうから歩いてくるのがみえた。
「よう、五右エ門」
片手をあげて笑いながら近づいてくる。
このパターン。
幾度も経験したことがある。
とっさに身構えた五右エ門だったが、次元は構わずその躯を抱擁した。
やはり!こやつ!
抱きつく腕を引き剥がし五右エ門は真正面から睨みつけた。
「おぬし、本物であろうっ!また無断侵入かっ!!」
激しい恫喝に次元はキョトンとした。
「お前、何を言ってるんだ?」
首を傾げ不思議そうに尋ねながら、再び五右エ門を抱擁する。
その訝しげな表情と当然だとばかりの抱擁。
今度は五右エ門が首を傾げた。
「違うの・・・か?・・・ああ、そういえば」
夢に侵入するために必要不可欠な薬は、二度と同じことが出来ないようにと斬鉄剣で切り捨てたことを思い出す。
だから次元が以前のように五右エ門の夢に接触することは出来ないはずだ。
ということは、この次元は夢の中の存在であるということになる。
それなのに起こす行動が本物と同じだというのはどういうことだ、と五右エ門は少し可笑しくなった。
「五右エ門」
耳元で低く囁かれたその声の艶に五右エ門は我に返った。
ゾクゾクとした感覚が背筋を電流のように流れる。
気がつけば、次元の掌が躯を撫で回していた。
「なっ」
慌てて離れようとするが回された腕はビクリとも動かない。
それどころか、膝で五右エ門の足を割り開き、太腿を擦りつけて股間を刺激し始めた。
背中をなぞりながら滑り落ちた手が臀部を掴み、強弱をつけて揉みしだく。
「や、やめぬかっ」
意思に関係なくビクビクと反応する躯を制御しようと試みるが、ぞろりと首筋を舐められ五右エ門は仰け反った。
躯を流れるのは間違いなく快感。
そしてそれを与える男への嫌悪感はまったくない。
それに気がついて五右エ門は羞恥に顔を朱に染めた。
これは夢なのだ。
この次元は本物でなく、夢の存在だ。
まさしく自分の脳が無意識に作り出した男。
その男にこんなことをされて快感を得て・・・これが自分の望みだということなのだろうか。
自分が次元に惹かれていることは否定しない。
仲間であったはずの次元が違う意味を持つ存在に変化したことは確かだ。
決して口に出して言わないし態度にも出さないようにしているが、結局は次元の望み通りになりつつある。
だがらといって本当に、こんな女のように次元に抱かれたいと思っているのだろうか。
そんなつもりも気もないが、本当は心の奥でこんな風に抱き合い、そして受け入れたいと望んでいるのだろうか。
戸惑い焦っているうちに五右エ門は床に押し倒されていた。
驚き見上げた視線の先で次元がシャツを脱ぎ捨てた。
浅黒い肌、筋肉が浮いた躯。生えた体毛も男らしい。
肌の白さや体毛の薄さで少しばかりのコンプレックスを持つ五右エ門は、理想の男の躯につい見とれてしまった。
「男らしい躯だ・・・羨ましい」
現状も忘れつい漏らしてしまった五右エ門の言葉を聞いた次元は、少し驚いたような表情してすぐに微笑んだ。
「お前も男らしいぞ。それに綺麗だ」
「綺麗なんていわれても嬉しくもなんともない」
ムッとした表情で吐き出すよう言った五右エ門を次元は愛しそうにみつめた。
その視線に五右エ門の胸がドキンと鳴った。
「馬鹿だな。女には女の、花には花の、宝石には宝石の、それそれの綺麗がある。お前は綺麗だぜ、ホラ」
次元の手が五右エ門の着物に伸び、肌蹴させていく。
「真っ直ぐ前を見据える目。眉も鼻もすっと通ってるし、唇も形がいい。
髪も艶々してサラサラと手触りがいいし、鎖骨も綺麗だ。
腹には余計な贅肉もないし、腰だってしゃぶりつきだくなるくらいだぜ。
バランスのある引き締まった、綺麗な男の体だ」
体のひとつひとつの手触りを確認しながら感想をつける。
すっかりと剥かれた五右エ門だったが次元の言動にクスクスと笑いだした。
「キザというか、くさいぞ」
「そうか?思ったことを言ったまでさ。キザというならお前が俺をキザにしてるんだぜ」
「やっぱりくさい」
覆いかぶさり肌を合わせてくる体を、五右エ門は笑いながら抱きしめた。
合わさった素肌が気持ちいい。
体重の重みすら心地よさを感じる。
「好きだぜ、五右エ門」
「・・・うむ」
深い口付けが交わされる。絡まる舌。
五右エ門はそれに積極的に応えた。
唇を合わせながら次元の大きな手は五右エ門の体を弄り、快感を引き摺りだす。
少しずらした唇の隙間から甘い吐息を吐き、押さえ込まれた白い体が快感に波打った。
気持ちいい。
熔けてしまいそうだ、何も考えられなくなる。
体中に口付けを受け、体の隅々まで手で舌で愛撫され、五右エ門は与えられる快楽をすべて受け入れた。
これは自分が望んでいることなのか。
次元に愛されたいと抱かれたいと思っているのか。
嫌悪感も拒否する気持ちも湧かず、されるがままの自分をみるとそう望んでいるとしか思えない。
だが、それでもいいと五右エ門は思った。
これは夢だ。
現実の次元は自分が彼を求めはじめていることを知らない。
それでいい。
これはこの気持ちは自分だけの秘密だ。
次元の大きな手が反り返った2本の性器を一緒に握り込んだ。
ぐりっという刺激に五右エ門は嬌声をあげた。
その声に煽られたのか、掴んだ手が上下にハイピッチで動きだす。
側面を摩擦される快感とぐりぐりと性器同士が擦りあう快感。
二重の快感がふたりの性器に与えられる。
「ああっ」
「いいぜ」
信じられないくらい気持ちいい。
手で擦るなんて自慰とほとんど変わらないのに、一緒に擦られているというだけなのに。
汗ばんだ肌の感触が、耳元で聞こえる荒い息が、快感を昂ぶらせていく。
「イクッ」
「俺もっ」
重なったふたつの体がぶるっと大きく震え、同時に達した。
ドクドクと吐き出される開放感。
ふたり分の精液が溢れ下肢を濡らしていく感触。
乱れる息の中、五右エ門はゆっくりと体を弛緩させた。
肉体も精神も深い満足感で満たされるのを感じながら、五右エ門は次元の体を優しく抱きしめた。
 
 
 
 
 

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■YUME-YA■
   

    
 
 
   
 ■なかがき■
ま、また夢のお話です。
でも今回は
『ようやく五右エ門が自分の気持ちを自覚した』
というお話でした。

五右エ門が目覚めたら
「このような淫夢を・・・拙者は修行が足らん!」
とか思いそうな気もするけど、
夢十夜で散々淫夢慣れ(笑)してるので意外と冷静に
「こんな夢をみるほど拙者は次元を・・・」
とか思ってくれるといいな〜とか思いますよね!<聞くな



 
 

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