元々エルフは美しいもの、可愛らしいものに格別に愛する。
美しい自然、可愛らしい動物たち。
森の中で暮らす彼らの周りには、そういう愛すべきもので満ち溢れている。
だからある程度慣れているつもりだったのに。
フロドの場合、少々勝手が違うのだ。
 
 
 
■あいらしき(3)■
 
 
 
フロドがレゴラスに向かってゆっくりと歩きだす。
離れていく背中を皆が心配気にみつめる。
レゴラスとフロドの微妙な雰囲気には誰もが気がついていた。
というか、共に旅をしているのだ。気がつかない方がおかしい。
それどころかおしゃべりなとある人物のお陰で、あの夜のレゴラスの言葉は皆が知るところであった。
このままでいても良いはずはない。
打開する何かが必要だと誰しも思っていたがこればかりはどうすることも出来なくって。
結局は当の本人たちがどうにかするしかないのだ、と様子を伺っている状態だった。

「フロド様・・・大丈夫でしょうか?」

サムが人一倍心配そうな表情でガンダルフをみる。
フロドの背中を押したのはガンダルフだ。
灰色の魔法使いのすることに間違いはないとは思っていても、心配は晴れない。

「大丈夫だ。」

返事をしたのは意外なことにガンダルフでなくアラゴルンだった。
レゴラスに問いかけてあの言葉を引き出した当の本人の台詞だ。
誰しもが驚いてアラゴルンをみつめた。

「私もレゴラスとは付き合いが長い。大丈夫だよ。」

アラゴルンは苦笑しながら、遠ざかるフロドとその先にいるレゴラスをみつめている。
ほんと、世話の焼ける。
そんな声が聞こえてきそうな表情だった。




ぼんやりと佇んでいたレゴラスは近づいてくる人の気配に我に返った。
焦点のあった瞳で前方をみると小さな姿が少しずつ近づいてくる。
それがフロドだと気がついたとき、レゴラスの心臓は高らかに鳴りはじめた。
自分を避けていたはずのフロドが近づいてくる。それもひとりで。

レゴラスは今までフロドのことを考えていたのだ。
そしてある決心を固めたのだがどう切り出してよいのかわからない。
その気持ちを反映してか情けないことに体は緊張のため微動だにしない。

レゴラスの前までやってきたフロドはピタリと歩みを止める。
だが視線はレゴラスを見据えたまま。
何も言わず見つめ返すだけのレゴラスにフロドはゴクリと唾液を飲み込んだ。
言いたいことを言わなければ。
いつまでも今の状態が続くいやだし、避けられる理由を聞いてみたいと思ったのだ。
それが欠点であれば直すように努力するし、そうでなければ少なくともレゴラスの前では控えるようにすればいい。
なにもかも気に喰わない、と言われればそれまでだが。
そこまで嫌われてはいないということをフロドはなんとなくわかっていたし、好意を感じることすらあった。
ガンダルフの言葉に後押しされて、勇気を持って接しようと決心したのだ。

「レゴラス」
「なんだい?・・・・フロド」

固まった体とは裏腹にすんなりと声が出て、レゴラスは自分で自分に驚いた。
優しい声色にフロドの緊張が少し解かれた。
大きく深呼吸すると聞きたくて聞けなかったことを言葉にした。

「レゴラスは僕が嫌いですか?僕に近づきたくない理由を・・・教えてもらえませんか?」

直球勝負のフロドの言葉にレゴラスは大きく目を見開いた。
何か言われるだろうとは思ったが、ここまで素直な言葉で問われるとは思わなかった。
黙っているレゴラスを哀しげに見つめてフロドは続けた。

「直せるところなら直します。これから共に旅を続けていくのに・・・このままでは辛いのです。」

ふい、と視線をはずしてフロドは少し俯く。
反応のないレゴラスに少し寂しさと哀しさを覚えたのだ。
でもこれだけは言っておかなければいけないと小さな声で呟いた。

「貴方がなんと思っていても僕は貴方のことが好きだから。」

その言葉はスルリとレゴラスの心に入って来た。
フロドの言っている好きが特別な好きでなく、友人としての仲間としての好きという意味であることはわかっている。
それでも「好き」という言葉は特別な力を持つ。
レゴラスの緊張が解ける。固まった体が動きだす。

「私も貴方のことが好きですよ、フロド。」

え、っと驚いて顔をあげたフロドの目に映ったのは、申し訳なさそうな困ったような、でも優しさを含んだ表情のレゴラスの顔。

「すみません、嫌な思いをさせてしまって。貴方に嫌なところなどひとつもありません。」
「でも・・・」

戸惑った表情のフロドにレゴラスは心底申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
自分の行動がフロドを悲しませていたのはよくわかっていたが、避ける以外方法はないと思っていた。
だが、フロドに避けられるのは、名前を呼んでもらえないのはとても辛い。
今、フロドに名前を呼んで貰えただけで、みつめられただけで嬉しいのだ。
自分のこの行動がふたりに不幸をもたらしているのなら、解決するのはレゴラスの告白以外なにもない。
少なくともこれでフロドの杞憂は失せるだろう。もし嫌われても自分にとって現状とあまり変わらないのだし。

「私が貴方を避けていた理由を知りたい?」

ビクッと体が震えたが、フロドはごくりと喉を鳴らして大きく頷いた。
 
 
 
 
 

(4)へ
 

   
  
 ■なかがき■
次回、レゴラスがフロドを避けていた理由が明かされる!<大げさ
請うご期待!<大嘘

このお話はシリアスじゃないですよ〜
そして全然エロくもならないです〜
この後の展開はあんまり期待しないでくださいネ
皆様の期待や予想通りにはならない可能性大♪
でも、どっちかというと・・・らぶらぶカナ?
      
  

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