■続・よいびと(前編)■
人間やホビット達が必死になって深夜の屋外を探し回っている頃。
レゴラスとフロドは、とある一室にいた。
抱きかかえたフドロごとベットに腰掛けると、腕の中の小さい人にニッコリと笑いかける。
「フロド」
もう幾度となく深いキスを繰り返していて、その刺激の強さと酒の影響でフロドの意識は朦朧としているらしく。
しんなりとレゴラスの胸の中に垂れかかっている状態だった。
吐く息は荒く、見上げてくる瞳も潤んでいる。
快楽の色を乗せはじめているのか、いつもは白い肌がピンク色に染まっている。
レゴラスは再び、その唇を奪った。
舌を絡ませわざと大きな音を立てながら、フロドの躯をゆっくりと寝台に横たえる。
唇を合わせ抵抗なく自分の躯の下に収まった小さな躯にレゴラスはくらりと眩暈を覚えた。
息をつかせぬ程の激しいキスを施しながら、ゆっくりと衣服を乱していく。
上着のボタンをはずし胸元を肌蹴させてもフロドからの抵抗は一切ない。
吸い付くような肌を掌全体で撫で回すと、フロドは鼻にかかった声を洩らしながら
積極的に口付けに応じてくる。
窓の外、遠くからふたりを探して呼ぶ声が聞こえる。
それに気がついたレゴラスは顔をあげて窓の方をみた。
開いた窓からは微かに風が流れ込んできていて、空には輝く星星が瞬いている。
宴会場の窓から飛び出して遠くに去るように装ってすぐに屋敷内に戻って来た。
それもフロドに与えられている部屋に。
灯台下暗しともいう通り、まさかふたりがこの部屋にいるとは誰も思いつかないようだ。
アラゴルンらしき怒声が聞こえて、レゴラスはくすり、と笑った。
してやったり、の感があってなんだか楽しくなってくる。
そのうえ、フロドとベットのうえにふたりきり、という状況だ。
どうしようもなく湧き上がってくる高揚感と期待感。
そんな自分の心境を自覚してレゴラスは再びくすりと笑った。今度は自分に対して。
やはり、とある一室。
窓の外、遠くからふたりを探して呼ぶ声を聞きながら酒を傾ける男がふたり。
日頃フロドを気にかけているガンダルフが動かないことをギムリは疑問に思っていた。
「あんたは本当に探さなくていいのか?」
「ああ、別に良かろう。」
杯を煽りながらガンダルフはのほほんと答えた。
このままではフロドは確実にレゴラスの毒牙にかかることは間違いない。
それなのにこのガンダルフの態度。
「・・・フドロが心配じゃないのか?」
ガンダルフが真面目な顔をしてギムリをじっとみつめた。
が、すぐにクククッと心底おかしそうに笑いだした。
「なにがおかしいんだ?俺がフロドを心配するのはおかしいか?」
「いや、そう意味ではない。心配なのはむしろ・・・レゴラスじゃよ。」
一瞬不機嫌な表情を浮かべたが、あとに続くガンダルフの言葉にギムリはポカンと口をあけた。
あの状態で、フロドよりレゴラスを心配?
ガンダルフの言っている意味がわからない。
笑い続けるガンダルフをみてギムリは眉間に皺を寄せた。
彼は相当酔っていてたわ言を言っているだけではないのか、と思ったのだ。
そんなギムリの気持ちに気がついたのか、ガンダルフは悪戯気な眼をしてギムリを見た。
「酒を飲むとあの調子だというのに、未だフロドは誰にも食われたことはない。それどころか反対に・・・」
言葉を止めたガンダルフをみて、ギムリは酔ったフロドの様子を思い出した。
酔うとキスをしまくるというのもアレだが、あのレゴラスの状態をみても
慣れているというかテクニックもよほどのものらしい。まあ、あまり深く考えたくはないが。
ということは。
「まさかレゴラスが反対に食われる、とでも?」
あの体格差だ。ありえないとは思う。
だがしかし、世の中絶対というものはない。何がどう転ぶかわからないのだ。
特に酒に酔った者というのは何をしでかすかわからない。
聞きたくはないが、怖いもの見たさというか知りたさというか。
ギムリは覗き込むようにガンダルフをみて恐る恐る聞いた。
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■なかがき■
「よいびと」で拉致したあとのお話。
レゴラス、ヤる気満々ですね(爆)
でも、ガンダルフとギムリの会話によると
フロレゴらしい(爆笑)
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