ANOTHER SIDE
『クソッ、あの野郎…』
普段なら10時までには風呂に入っているのだが、メシ食った後ふて寝していて起きたら12時前だった。
それであろうことかあいつ、貴志と風呂場で鉢合わせになってしまった。
鉢合わせ、というかあいつが人が入っているにも関わらず普通に入ってきやがったわけなんだが。…ったく変態エロ野郎め。
『まったくぬけてやがる…普通、人が入ってるのぐらい気づくだろうが…』
まあ、別に俺のことを覗きたくて入ってきたわけじゃないだろう。
だいたい覗きならもっとうまくバレないようにするのが当たり前だからな。
だいたいあいつに覗きなんてする度胸があるとは思えない。あいつ相当ヘタレだからな…
もっとも仮に度胸があってもそんなことはしないだろうが…あいつは、そのお人好しというか優しい奴だからな。
『うっ! 何考えてんだ俺…きめえ…』
どうも女になってから変だ。なんか妙にあいつのことが気になる。
確かに男の時もあいつのことは変な奴だと思っていた。お袋が死んでから俺はなんかやる気となくしていた。
どうもそれまでのように相手に合わす、とか気を遣うってことがめんどくさくなっていった。
だからか俺の周りから今まで友達だった奴も少しずつ離れていき代わりに俗に言う“悪い奴ら”が寄ってくるようになった
そのためか俺も馬鹿なことをやるようになったし、馬鹿なことと馬鹿っていてもなんかスカッとするから止められなかった。
俺に寄ってくる女とも何人かと付き合ったし、セックスもした。
だがそれで気が晴れるわけでもない。誰ともすぐに別れた。
オヤジは放任主義だからそんな俺にもあまり五月蠅く言わなかったし俺的にもそのほうがよかった。
だけどオヤジが再婚して兄貴になったあいつは妙に俺に絡んできた。
ウザいと思って突き放してもかまわずいろいろと世話を焼いてきやがる。
あんまりしつこいんで無視ってやってもまだついてくる。
そんなあいつを何時からか、俺はけっこういい奴だと思い始めていた。こいつなら信じられるかなっていうぐらいに…
『でも、だからって…』
だからって別に特別な感情があったわけじゃない、もしあったらホモだ。でも女になってから、なんか、なんか変なんだ。
初めてトイレでオナった時も、最初は女になった自分の体見てムラっときたんだけど、何故か途中からあいつの姿が脳裏に浮かんできた。
あろうことか、あいつのことオカズにしたわけだ。
『マジきめえ。何やってんだ俺…わけ、わかんねえよ』
そうは言っていみたものの、そのことを考えると体が少し熱くなるのが自分でも分かった。
…そう言えば、俺あいつに裸見られたんだよな…。あいつ俺のこと見てどう思ったんだろう…?
その可愛いとか思ったのかな…?
そう考えるとさらに体が熱くなる。俺はたまらなくなって履いてるズボンをずり下ろし、ショーツに手を触れた。
『…んっ!』
ショーツの上からアソコを触れた瞬間、体が少しビクンとなる。
やってみてわかったが女のオナニーってのはすげえ気持ちいい。
男の時は解放感みたいなもんがあるけど、女のはゆっくりゆっくりと快楽を味わうような感じだ。
『ふ…んぁ…ん…あ…』
そのままショーツごしにしゅっしゅとアソコを撫でさする。見るとショーツに小さなシミがついていた。
『あっ…あぅ…んん…ふ…んあ』
しばらくさすっていると徐々にショーツごしのじれったい刺激では我慢できなくなっていた。もっと気持ちよくなりたい…
『…ひぅっ! ふぁぁ…んあ…あん』
今度はショーツもずり下ろし直に手を触れる。触れてみてわかったが股間は湿り気を帯び、濡れていた。
『…あん…ん、んぁ…ふぁ…あうっ…』
濡れたアソコのまわりを指でやさしく撫でる。トロトロと愛液が流れ出るのが分かる。
俺は指を1本だけその濡れた肉の割れ目に潜り込ませる。
“ズチュ…”
『ひ…ふぁぁぁ…つ、は…はいちゃ、った…』
割れ目は指をキュウッときつく締めつけ、少しだけ股間に圧迫感がある。
そのまま指で割れ目の中をゆっくり、ゆっくりとかき混ぜる。
“クチュ…チュ…”
『ああ、あああっ…ひん…あ…あうん、あ…あああっ』
指を出し入れしているうちに頭はぼうっとしてくる。
まるで自分のではない誰かの指にアソコをかき混ぜられてるような気になる。
『んぁ…だ、だめぇ…んん…』
そうまるであいつが俺の中に指をいれているような錯覚をおこす。
『ふぁ…んん、そんなに、いじっちゃ…だ、だめなのぉ…あぅ』
妄想の中であいつが俺のアソコをいじり、そして胸を揉んでいる。
気がつくと俺も上着を脱ぎ捨てブラの上から胸を揉んでいた。
『ふぁ…い、いっぺんに…ん、するなんて…んんっ』
胸を揉みしだく手に力が入る。それに比例して指のやや速いスピードで出し入れする。
『…ひん…ふぁあ…きもち、いいよぉ…ふぁ…おにい、ちゃん…』
“お兄ちゃん”そう口にすると一気に自分の体がカッっと熱くなるのが分かる。
『…ひゃぅっ!…んぁあ…だ、だめだよぉ…おにいちゃぁん…そんなにしたら…だめぇ…』
“クチュ…チュク…クチュ”
粘着質の高い水音が耳に響く。もう、頭はまともに機能してない。ただ快楽を得るためだけに動いている。
気がつくと割れ目の上の方についている突起がひょっこりと顔を出していた。
それを手でやさしく撫でる。
『んぁああっ! ああぅっ!…ん…ク、クリ…いいよぉ…あん…おにいちゃんっ…ふぁあ』
肉芽を触れるといっきに快楽が押し寄せる。体の中から液体が噴出するのが分かる。
だ、だめ…っ。もう、真っ白に…なる。
“ジュ…ジュ…クチュ…チュ…クチュ”
最後の力を振り絞り、思いっきり中を指でかき回す。愛液が大量に流れ出る。
『んあっ! も、もう…い、いっちゃう!…いっちゃうよぉ!
ひぅぅっ……あ、あああ、お…おに…おにいちゃんんんっ!……んっ! ふああああああっ…!!』
愛液がぴゅっと噴出する。同時に中に入っている指がきゅううっと締め付けた…
『はぁ…はぁ…はぁ…ん…』
どっと脱力して荒い呼吸のままベッドに倒れ込む。しばらく呼吸を整えていると徐々に意識がまともに戻っていった。
『…はあ、最悪…』
ベトベトになった指を見て呟いた。
ホント、何やってんだ…俺…
冷静になった頭が自分に対する怒りで満ちてくる。俺は思わず壁を思いっきり殴った。
“ズゥンンッ!”
思いっきり殴ったせいで壁に少しヒビが入った。同時に手の皮も切れ、血が滲んできた…
『…ってえ!…はっ、当たり前か…クソッ! 硬てーよこの壁』
自分の拳に出来た赤い血玉を見つめてボヤく。
『チッ。マジ意味分かんねえよ…』
とりあえず脱ぎ捨てた上着を羽織り、ショーツを履き直す。股にも愛液が流れてぬるぬるになっていた。
『はぁ、汚ねえ…もっかい風呂、入らねえとな…』
ANOTHER SIDE OUT