「好きです!!俺と付き合って下さい!!」
 俺は彼女に言うのは実に23回目になるセリフを言った。
 しかし、23回目でも緊張はするもので俺が差し出した手はかすかに震えていた・・・
 「・・・・・」
 彼女からの返事はない・・・
 俺はおそるおそる顔を上げて彼女の顔を見てみる。
 彼女は照れるでもなく、困るでもなく、ただ冷たく俺を見下ろしていた・・・
 俺は(またダメかぁ〜)と心の中で思いながらも、彼女の間近で見る美しさにまた惚れてしまった。
 彼女の名前は「高嶺野 華子」(たかねの はなこ)、容姿端麗、頭脳明晰、財閥の大金持ちの娘とゆうまさにその名の通りのお嬢様なのだ。
 身長は167cmと女の子にしては高いほうで、スラッとした長い手足、
おじいさんがドイツ人とゆうだけあって彫りの深い美神ヴィーナスのような顔立ち。
 そんだけの条件がそろえばもちろん学園一のアイドル的存在なのだ。
 風になびくほとんど金色の天然の茶髪などを見て、何度こっそり写メを撮ったことか・・・

 そんな彼女に今、無様に見下ろされてるのが俺・・・
 俺の名前は「駄目名 のび夫」(だめな のびお)
 その名の通りで、スポーツ音痴、勉強は大体下のほう、親も普通のサラリーマン、
外見は163cmと背が小さい分顔も小さいので整ってる方だと思うのだが、女子からは見向きもされない・・・・
 そんな男です・・。
 がしかし、そんな俺も恋をする。
 あれは忘れもしない半年前の事、俺は高校2年になったばかりの桜舞う頃。
 前々から噂では聞いていた学園のアイドル、3年の高嶺野さんを下駄箱で間近で見て俺はまさに一目惚れをしたのだ!!!
 まさに美しいとゆう言葉がそのまま当てはまる華子さん・・・
 俺はもちろん童貞で、女子とまともに話した事がないにもかかわらず。
 この想いを止める事などできるわけもなく、俺は彼女に告ったのだ!!
 がしかし・・・
 当たり前と言えば当たり前だが、彼女は冷たく
 「ごめんなさい」
 とだけ言うと俺には目もくれず、そのまま立ち去ったのだった・・
 俺の人生初めての告白は、ものの3秒で砕けたのだった;;
 友達に聞くと「お前も告ったのか? 俺も告ったけど振られたよ〜」
 「あんな美人が俺たちなんか相手にするわけないだろ」
 「なんでも彼女は三日に一度は誰かに告られてるらしいぞ」
 などと散々に言われたのだか、俺は全然諦めることができず次の週にはまた告白をしにいったのだった。
 そうしてかれこれ半年も過ぎ、俺は23回目の告白をしているのだった。

「お願いします!!」
 俺はもう一度頭を下げて彼女に右手を差し出した。
 (あ〜、ダメだろうなぁ、またいつものように「ごめんなさい」の一言だけ言って立ち去るんだろうなぁ・・)
 と俺は思っていたのだが、彼女はなかなか立ち去らずに俺を見ているようだった。
 しかもそれだけではなく、
 「クスッ」
 と彼女が笑う声さえ聞こえてきたのだ。
 俺はゆっくりと顔を上げて彼女の美しい顔を見上げてみた。
 すると彼女は少し笑顔で俺を見ているではないか!!!
 (???)
 俺はわけがわからず、ポカ〜ンと口を開けマヌケな顔で彼女を見ていた。
 「ハァ〜、あなたには呆れるわ、確かあなた私に告白するの20回目くらいよね?」
 彼女は少し笑顔で俺に聞いてきた。
 「23回目です!!」俺はそこだけは強調しておきたかった。
 「ウフッ、ねぇ、あなた、そんなに私の事が好きなの・・?」
  彼女は少し顔を傾けて俺に聞いてくる、長い髪がサラッと流れる・・
 俺の心臓はドッキ〜〜〜ンと大きく高鳴った。
 彼女に笑顔で話しされるだけでも俺はドキドキなのに、そんな核心にせまる質問をいきなりされれば誰でもドキドキしてしまうだろう。
 がしかし、俺は迷わなかった。
 もともと恥も、プライドも捨てている。
 彼女への想いはひとつだ・・・
 「もちろん好きです!! 愛しています!!」
 俺は自信に満ちた声で言い切った!!
 「あははは」
 彼女は長くしなやかな手を口にあてて、おかしそうに笑い出した。
 そんな彼女を見て俺は心から(かわいい・・)
 と思いまた惚れ直してしまった・・
 彼女は笑いながらも俺の事を観察するように俺の事を見ていた。
 俺の心臓は心拍数120をゆうに超えていた、顔が赤くなっているのが自分でもわかった。
 それぐらい俺は興奮していた。
 (いける、今回はいけるぞ!!!)
 23回も告白したのは無駄ではなかったのだ。
 「ねぇ、あなた、異性を好きになるってどうゆう事だかわかる?」
 彼女は急に真面目な顔になると俺にそんな事を聞いてきた。
 「は?」
 俺はいきなりな質問になんと答えていいかわからずに、またポカ〜ンと口を開けていた。
 なんだか難しい質問だ、哲学的と言っていいかもしれない。
 「フフッ、異性を好きになるってゆうのは、ようするにその人とエッチをしたいって事なのよ、あなた、わたしとエッチしたいの?」
 「!!!」
 俺の頭は真っ白になった。
 (今、彼女は俺にエッチしたいの?って聞いたような・・)
 そりゃーエッチしたい、毎晩彼女を想像しながらオナニーしているのだから、当たり前といえばあたり前だ。
 がしかし、そんな事をいきなり聞かれるとは思ってもみなかった・・・
 俺は情けないながらも、何と答えていいかわからずに困っていた、すると・・
 「あたしとはエッチしたくないの・・?」
 彼女はまたいつもの冷たい顔に戻って、もう一度俺に聞いてきた。
 「したいです!!」
 俺は思わず言っていた、体が反応したと言ってもいいかもしれない。
 俺はなんだか情けない気持ちになり、目を伏せていた。
 「ウフッ、素直ね、それでいいわ」
 彼女はまた少し笑顔になり俺に一歩近づいた。
 彼女が一歩近づいただけで、俺の心臓はまた大きく高鳴った。
 俺ははっきり言って状況が掴めずに、ドキドキしながら彼女の顔を見ていた。
 「本当にわたしの事が好きなら、これが出来るかしら?」
 そう言うと彼女は鞄からなにやら薬の瓶のような物を取り出した。
 ラベルにはびっしりと英語っぽい字が書かれている。
 その瓶を開けて中からカプセルの錠剤を一つ取り出すと、手のひらに載せ、俺に差し出した・・
 「飲んで」
 「!?」
 彼女は挑発するような顔で、その怪しげな薬を俺に差し出している・・・
 (いったい、なんなんだろう・・、彼女は何がしたいんだ??
 俺にいきなり得体のしれない薬を飲めとは??
 う〜ん・・、はっ!!わかった!! 彼女は俺の勇気を試しているんだ!!
 そうして自分への愛が本物かどうか試しているんだ!!
 そうか、そうなんだ!!
 あはは、やっぱり華子さんも女の子なんだなぁ〜、俺の愛が本物かどうか不安なんだな。
 よ〜し、俺の愛の深さを証明してやるぜ!!!)
 俺はニヤッと笑うと彼女のしなやかな手からカプセルを受け取る。
 もちろん一瞬手が触れた瞬間ドキッとした。
 彼女は俺が薬を取ると、腕組をしジーと俺を見ている。
 (見ている、華子さんが俺を見ている!! 俺に真の愛があるかどうか試しているんだ!!)
 俺はもう一度よく薬を見てみた。
 長さ1.5cmはある赤くいかにも怪しげなカプセルの薬。
 がしかし、俺に迷いはなかった。
 例えカプセルに『毒薬』と書いてあったとしても、俺は迷わずに飲んだだろう。
 それほど俺は彼女への愛に溺れていた。
 恋で人は狂うと言うが、あれは本当だ。
 俺は華子さんの目を見つめ、ニコッとすると一気に薬を口に放り込み、水もないのにそのまま飲み込んだ。
 喉でちょっとつっかかる感じはあったが飲み込んでしまった・・
 (・・・・)
 何の薬かはわからないが、今の所何も感じない・・
 もちろんすぐに効果が出るはずもないのだが・・
 「飲みました」
 俺は自信に満ちた顔で彼女に言った。
 「飲んだのね・・、偉いわ」
 彼女はなにやら怪しげな顔で俺を見ている。
 「そうね・・、たぶん明日の朝には・・・」
 彼女は何やら一人でブツブツ言っていたが、俺の方を見ると満面の笑顔で。
 「ねえ、明日一緒に登校しましょ? あなたの家に明日の朝行ってもいいかしら?」
 と、笑いかけてきた。
 「も、も、もちろんです!!」
 俺は勢いこんで言った。
 とうとう彼女の心を掴んだのだ!!
 「あなたのお家どこかしら?」
 俺の家はわかりやすい場所にあるので、簡単に説明する。
 「ウフッ、わかったわ、それじゃ明日迎えに行くから」
 そう言うと彼女は俺にさらに二歩近づき、俺のおでこにチュッとキスをするとそのまま笑顔で立ち去っていった・・・
 俺は彼女の後ろ姿をボーっと見つめていた・・・
 茶色のブレザーの制服にチェックのスカートから伸びた長い足。
 歩くと一緒に揺れる長く美しい髪をゆらめかせながら、彼女は廊下を曲がって行った・・・
 俺はそのままその場所に10分程立ち尽くしてから。
 「よっしゃ〜〜〜!!!!!!」
 と大声を叫んだ。
 放課後の学校全体に響くような大声だった。
 開いた廊下の窓からは校庭で部活をする賑やかな掛け声が聞こえていた。
 窓から入る西日が眩しい。
 俺は勝利の余韻にひたりながら学校を後にした・・・・・。

 走っていた、俺は走っていた、走らずにはいられなかった、それほどうれしかった。
 俺は帰り道をまるで誰かと競争でもしてるかのような勢いで走った。
 時々飛び跳ねたり、奇声を発したりしながら帰り道を一気に駆け抜けた。
 (やった、とうとうやった!! 華子さんと俺は付き合うんだ!! 彼女は俺のものだ!!)
 友達にどう自慢しようかなどと考えながら、あっとゆうまに家につく。
 「ただいま〜〜〜〜!!」
 玄関を開けるなり大声で叫ぶ。
 返事はなかった。
 両親は結婚20周年記念とかで海外旅行に一週間旅行にいっているのだ。
 がしかし、そんなことはどうでもよかった。
 俺は自分の部屋に駆け込むとベットにダイブし大声で笑っていた。
 (明日は華子さんが迎えにくるから、1時間早起きしてビシッときめよう!!)
 そんな事を考えていた。

 がしかし、適当に夕食を取り終わってくつろいでた21時頃・・・
 俺は突然の高熱、悪寒、体中のふるえ、吐き気、猛烈な股間の痛みなどを感じのたうち回っていた。
 家には誰もいない・・
 俺は這うように風邪薬を取りに行き、一回3錠の所を10錠飲み込みベッドに横になった。
 明日、風邪で休むなどとゆう事は俺の中ではありえないことだった。
 がしかし、通常の風邪とは違う感じだった。
 時間がたつにつれて、俺の苦しみは増していった。
 体中が本当に燃えるような暑さだった。
 そして股間などは何かに引きちぎられるような痛みになっていた・・・
 (ひょっとして華子さんにもらったあの薬のせいかも・・・)
 俺はそんな事をぼんやり考えながらも、苦しみのあまり気を失っていた・・・・


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