「センパ〜イ!居ますかぁ?あれ?・・・・」
貴章の部屋に戻った由香。あたりを見回しても貴章の姿はなかった。
「なによ。どこにいったのかしら・・・・もお! ま、しょうがないか。忘れ物を取りに来ただけだし」
膨れっ面の由香、ふと見れば、貴章の携帯が落ちているのを見つけた。
近づいて拾って見ると、画面には『観察進行中』の文字があった。
「なんだろう?ギャルゲーかしら?でも変よね、落としたままどっかに行っちゃうなんて・・・」
ふと、不安な気持ちになる由香。
「オンラインゲームって結構お金がかかるのよね。一応切っておきますか」
由香は画面を見て一時停止の箇所を探した。
「あれ?おかしいなぁ、終了の文字がないじゃない。これじゃぁ通信料が馬鹿にならないじゃないのよぉ!」
由香は念のために携帯の通信料金を調べてみた。結果はゼロ!
「無料かしら・・・うーん、終わりまでするしかないようね」
由香は画面を進めて、設定画面を見た。
「何これ?設定変更は可能?・・・ふぅん」
ニヤリとした顔をして、しめしめと携帯のボタンを弄くり回しはじめた。
「身体的特徴の変更は駄目か・・・。もうぉ、この娘スタイルいいじゃない。
ムカつく! あ、性格変更も駄目ぇ? くら〜い性格にしようと思ったのに・・・もお!
あら? 備考の変更は可能のようね。どれどれ・・書き込んだのは先輩ね。えー、今時処女ぉ?
駄目よ、今すぐ経験させなきゃ。そうねぇ、いきなりレイプなんて不潔よねぇ。
じゃぁ憧れの男の子と初体験・・・って設定が男嫌い? 百合じゃないの? うーーん、あら?
『今は後輩の八神由香と一緒』えーー!? あたしと同じ名前じゃん。
それなら、今すぐレズって言うのも悪くないかもね♪」
由香は自分が設定した事がどんな事になるかはわからず、変更を加えていく。
「うん、今はこれで行ってみますか。あたしって結構残酷だったりして♪
でも、先輩が帰ってきたら怒るだろうなぁ・・・」
ちょっと悪びれた感情を出しつつ、由香は設定変更のボタンを押した。
「・・・・ん?まだ始まらないの? つまらないわね・・・あ、やば! 早くしないと講義が始まっちゃう」
壁掛け時計を見て由香は急いで部屋から出た。テーブルには貴章の携帯が残されているだけであった。
一方、そんな事を知らない貴章は・・・
「う、はぁはぁ・・・な、やっと元に戻ったの・・・か? よかった・・・俺の体じゃん。でもどうして・・」
体の感覚が戻る。貴章はブラウスの乱れを気にせず、その場に蹲った。
「せ、先輩・・・」
事態を把握できない由香は、棒立ちになっていた。弘美の態度が変わって、どう対処したら良いのか解らなかったからだ。
「先輩!どうしたんですかぁ?いきなり、あんな事を・・・」
「どうもするか!これは俺の体だ。さっきからベタベタ触りやがって・・・キモ!」
「なっ?・・・・弘美先輩じゃないの?いったいアナタは誰?」
由香の質問に表情を変える貴章。由香の真剣な眼差しが突き刺さる。
・・・う!そうか。俺は、今女だったな。この子にどう説明したらいいのか・・・・
でも言わないと、これからどうしたらいいのかわかんねぇし・・・・
「由香・・・信じてくれか?この話」
「は? ・・・・う、うん」
貴章の真剣な表情に由香は困惑そうに答えた。
「本当に、本当か?」
「・・・・・本当よ」
「じゃぁ、話すよ。実は・・・」
貴章は由香に全てを話した。
自分が元々は男で携帯を弄くっていたら女になった事、いつの間にか別の人格に体が支配された事等。
暫らくして重苦しい雰囲気が薄れた時・・・
「・・・・・信じられない。先輩がそんな事になっていたなんて」
「俺だって信じられないよ。いきなり女子高生になったんだからな」
「先輩・・・いえ、貴章さん。弘美先輩の人格はどうしたんですか?」
困惑そうな由香。貴章ははっ!とした表情になった。
「わからない。消えちまったのか、あるいは俺がわからないだけかも・・・」
「そ、そんなぁ。おねぇ様が好きだったのに・・・・」
目がうるうるの由香は、たまらず貴章に抱きついた。
「お、おい。由香・・・・・」
それ以上は何も言えなかった。
下手をしたら、自分が表に出た事で弘美の人格を消した可能性が大きいからだ。
今は由香の気持ちを受け入れようと貴章は思った。
「・・・・貴章さんは弘美先輩の事を知らないんですよね?」
「あ、ああ。俺、いきなりだから・・・」
突然の質問に困惑する貴章。この時知らなかったのだ、由香の態度が変わった事を。
「そう・・・じゃぁ、あたしが教えてあげる・・」
「え?・・・・・んん・・・・・」
由香は妖艶な目をしつつ、貴章の唇を塞いだ。突然の展開に言葉が出ない貴章。
「んん・・・ふぅ・・・んん」
舌が侵入してくる。クチャクチャと陰妖な音が聞こえる。
「ぶはぁ!・・・由香!何をするんだ」
「いきなりごめんなさい。あたし弘美先輩が好きなんです。一緒に遊んでもらいたくて・・・・ごめんなさい」
「馬鹿!俺は男だぞ。そんな事を・・・第一この体は・・・んん」
と言い終わらない内に再び貴章は唇を塞さがれた。由香は貴章の唇を塞ぎつつ丁寧にブラウスを脱がしていく。
「んん・・・ふぅ・・・んんん」
・・・・なんだろう?体が疼く。これってもしかしたら・・・
貴章は体の奥から湧き上がる快感に困惑していた。自然と息が荒くなる。
「はぁ・・・はぁはぁはぁ」
唇が離される。貴章は頬を赤らめて呆然としていた。
プチ!
ブラジャーのホックが外され、白い二つの物体が外気に晒される。
屋上の風が乳房にあたり、振るえる。自然と疼きが大きくなる。
「・・・・綺麗・・・・」
「お、おい・・・んん・・・・はぁう」
由香は貴章の乳房を揉みつつ、首筋から舌を這わせる。その度に貴章の体は震えた。
・・・・なんだよこの感覚は?・・・・んん・・はぁう・・・
男の時には絶対に味わえない女の快楽に貴章は徐々に支配されていく。
「はぁはぁ・・・や、止めてくれ!・・・・はぁはぁ・・」
「ふふふっ・・・・素敵。こんなに感じてくれるなんて・・・」
いつのまにか、貴章はその場に仰向けになっていた。由香は愛撫をしつつスカートを脱がしていく。
「先輩、素敵なショーツを履いているんですね。あら、もう濡れているんですかぁ?」
「ば、馬鹿!お、俺が感じているわけないだろう」
「ふうん、こんなに染みを作っているのに?」
「そ、それは・・・やぁああああ、ちょ、ちょっとお!」
身を捩らせようとしても由香に抑えられる。由香の手はショーツの中に入っていく。
「貴章さん、弘美先輩のカラダの事が知りたいんでしょ?女の喜びを知りたいんでしょ?
弘美先輩は、あたしにもカラダを見せなかったの。男嫌いなのに誰も・・・
あたしは先輩のカラダを見たかったから・・・ごめんなさい。こんなチャンスが欲しかったの」
「はぁはぁ・・・そ、そんな事は知るか!・・・ぁぁああああ」
綺麗な声で喘ぐ貴章。一方で男に戻れないのではないのでは? という、恐怖を感じていた。
「あははは・・・素敵。こんなに感じちゃって。いつもの弘美先輩なら想像も出来ないわ」
由香はそう言って、淫液で濡れた指を貴章に見せる。貴章は恥ずかしさで思わず目を閉じた。
由香はおかまいなし、と舌と手で愛撫を続ける。その度に快感が増大する。
「ぁぁあああ、はぁはぁ・・・ぃや・・・あああぁぁあん」
「ふふっ。先輩、気持ちいいですか?」
汗でキラキラ光る肌に舌を這いずりながら由香は貴章に言った。
貴章は目を潤ませながら、快楽に染まっていて言葉が出なかった。
・・駄目だ・・・はぁはぁ気持ちいい・・・もう・・・・
「はぁはぁ・・そ、そんな事・・はぁぁあああああああん!!」
貴章は絶頂を迎えた。体は一瞬浮いたかと思ったら元に戻った。
後は心地よい快楽に全身を委ねるのみ・・・・
「ふふふっ・・・先輩・・・・」
由香は満足そうな表情を浮かべていたが、目ははっきりと野獣のような眼差しのままであった・・・・

  ◇◆◇

野獣の目は仰向けになっている美しい雌鹿に注がれている。
汗で光る白い肌、形が良く頂点は桃色の二つの丘、括れた腰の先にある薄い茂みの桃色の筋、
近くには絶頂を迎えた証である白く濁った水溜り・・・
まだ食べたい、味わいたい、でもこれ以上は・・・・しだいに後悔とともに由香の目は元の状態にもどっていく。
「貴章さん、もう着替えてください。風邪を引きますよ」
「あ、あ、ああ・・・」
貴章はゆっくりと起き上がる。脚がどうもふらつく。まださっきの余韻が残っているようだ。
・・・俺は女としてイッちまったのかよ。由香に弄ばれて・・・
自己嫌悪が心を満たしている。だが一方では、あの快感をもう一度味わいたいという願望もあった。
ふと目線を下げて自分の姿を見る・・・・恥ずかしさで、みるみるうちに貴章の顔が真っ赤になった。
「裸じゃねぇか!! うわぁぁああああああああああああ!!」
屋上には絶叫がこだました。


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