(そういえばなんかお腹の下の方が……あぁ……ムズムズしてヘンな感じになってきちゃった……)
何気なく麻子は下腹部に手を伸ばし、その先のショーツの上から股間の辺りを擦る。するとなんとショーツがしっとりと濡れているではないか!
いつの間にか麻子はその艶かしい自分の姿を見て欲情し興奮したのか、彼女の女性自身からは僅かながら愛汁が溢れ出てきて白いショーツを濡らしてしまってい たのだ。
本来男であればこの場合、きっと男根がいきり起ちその先端からは透明な汁が溢れ出ている状態なのであろう。
しかしいくら精神的に欲情していても今はれっきとした女の体である。
今の彼女の肉体ではその女陰から愛液を垂らすことでしかその興奮を表現できなかった。
案の定、愛液で濡れたショーツは薄っすらと、自分の最も恥ずかしい部分に黄色いシミを作っていた。
(な、なにコレ? いつの間にお漏らししちゃったの私? パンツにこんなシミが……)
しかも最悪なことにそのシミのせいか、その奥に潜む彼女の黒々とした秘部の恥毛がショーツを透してだんだん透けて見えて来てしまっていた。
(いやだ……ど、どうしよう……こ、こんなの見られたら恥ずかしい)

「──麻子さん……麻子さん!」
「は、はい!」
「それじゃあ、いよいよドレスを着付けるわね。ほら! あなたの憧れの純白のウェディングドレスよぉ〜!」
「え、えぇそうですね……わ、わぁ〜、なんて綺麗なドレス!」
(なんて言ってる場合じゃないわ……と、とにかく今はコレがバレないようにしなきゃ……)
麻子は体をくねらせ、少しでもそのショーツのシミが見えないように股間を閉じていた。
ガーターベルトを着けてるせいか、脚をくねらせる麻子のその姿は、傍から見れば少々セクシーでもあるが、ある意味少し挙動不審でもある。
「あ、そうそう麻子さん忘れるとこだった。ドレスの前にこのパニエを穿かないと……スカートの綺麗なプリンセスラインが出ないわ」
「は、ぱにえ?」
従業員は白く透き通るふわふわした釣鐘型のスカートのようなパニエを麻子に穿かせる。ひらひらなパニエを穿いた麻子はまるでバレリーナのようでもある。
(へぇ〜スカートの下ってこんなもの穿くの? だからドレスのスカートがふわっとお姫様にみたくなるのね……なるほど)
パニエの幾重にも折り重なった白く透き通る生地を手に取って、それを舞い上げヒラヒラさせながら感心する麻子。
(それにしても良かった……このパニエのおかげでなんとか中のパンツのシミは誤魔化せそうだわ…)

「さ、次はいよいよウェディングドレスね。あ、ちょっと○○さんと○○さん、手伝ってくれる?」
従業員はもう2人の従業員を呼び、3人がかりで麻子にドレスを着付け始めた。
サテン生地の光沢のそのドレスは、サワサワと生地の擦れる音を部屋中に響き渡らせる。
まずドレスのスカート部分をパニエの上から穿かせ、次に上半身部分を整え背中のチャックを上げる。
身に着けた格調高いレースのロングブラは惜しまれながらも次第にドレスの中へと隠れていく……

予想通りその胸元がはだけたようなチューブトップのドレスの上半身は肩や首筋が大きく露出し、胸元には小さなリボンと細かいレースの装飾が施され彼女の胸 の谷間を飾っていた。
(なんか今にも脱げそう。このドレス……大丈夫かな? なんとか私のおっぱいで辛うじて脱げ落ちるのを保ってるって感じだけど……)
アンティークな部屋の一室で、OL制服のようなスーツ姿の3人の女性従業員が、寄ってたかって1人の女にウェディングドレスを着せるその様は、
ある意味とても絵になる精悍な光景でもあった。

次に首にはキラキラと小さな宝石が散りばめられた銀のネックレスが掛けられ、耳にも銀のイヤリングが施される。
首に掛かった銀のネックレスは彼女の鎖骨の凹凸に沿って伝わり、そのの細かい装飾や宝石で飾られたネックレスの先端が彼女の胸元を美しく飾る。
そして両手には所々小さな花柄の付いた透き通る白いレースのグローブ(手袋)がはめられ、薄っすらと透ける彼女の細くて長い指先は益々美しく栄える。
(わぁ、こんなアクセサリーとか手袋とかいろいろ着けただけでいかにも格調高い花嫁になったって感じ……それにしてもこの口紅といい化粧といい……
重ね重ね女っていろいろ部品が多くて大変ね。それに比べると男って簡単……)
最後に花飾りのついたティアラに腰まで掛かる透き通った薄いベールを頭に被せると、ついに汚れなき純白のウェディングドレス姿の花嫁がそこに誕生した。

「ほら見て! 麻子さん、とっても綺麗よ」
目の前の鏡に映る、純白のウェディングドレスに包まれた自分を見ながら麻子は頭の中がポワ〜ンとなり、益々自分が自分でなくなるような不思議な感覚に襲わ れた。
(これが私? ……とうとうウェディングドレス着ちゃってるよ……なんか信じられない)
「素敵ね」
「ほんと綺麗な花嫁さん」
周りにいる数人の従業員の口からも思わずそんな言葉が出てくる。
「さてと、やれやれこれで何とか式には間に合いそうね。ホッとしたわ……それにしても麻子さん元がいいからドレス着ると良く似合うわね」
最終確認するかのようにドレスのスカートや頭のベールの乱れを整えながら従業員は達成感に浸っていた。

「ご苦労様、麻子さん暫くそこで腰掛けて休んでてね。皆さん手伝ってやって」
麻子は数人の従業員にスカートを持ち上げられ部屋の隅にある椅子に案内される……が穿いているハイヒールがコレまでよりも数段高いせいなのか、
あるいはスカートの中に穿いているパニエが足の動きを邪魔するのかどうも上手く歩けない。
(っとと……転ばないようにしないと……こりゃちょっと動くだけでも一仕事ね……)
やっとの思いで椅子に座ることができた麻子。

「ところで肝心のお相手の方はと……やだ、まだトイレなの?」
その時であるコンコンとドアをノックする音が。
「すいません戻ってきました。入っていいですか?」
「あ、やっと来た……はいはい! どうぞ!」
ドアを開けるとグレーのタキシードを着た一人の男性が入ってきた。どうやらこの男が麻子のお相手の新郎のようである。
「まぁ長いトイレだったわね〜」
「いやぁ、すいません。慣れない服着てるもんだからズボンからアレ出すのにちょっとてこずっててね」
「まぁヤダ! 綺麗なウェディングドレスの花嫁さんの前で……下品ね〜」
(ぷっ! なかなか面白い男じゃないの……博士は代役を立てるって言ってたけど一体どんな顔してるのかしら……もしかしてあの博士が自ら演じてたりし て?)
部屋の向こうで後ろ向きに座ってその会話を聞いていた麻子は思わず苦笑した。

「ほらぁ! あそこで花嫁さんがお待ちかねよ。麻子さ〜ん! あなたの大切な人のお出ましよ!」
「あ、はい」
部屋の向こうでベールに包まれたウェディングドレスの麻子の後姿が。
窓から差す日の光の加減が真っ白なベールとウェディングドレス姿の麻子をよりいっそう引き立てる……
「お、おぉ〜っ! 麻子ぉ〜! すっかり見違えるようになったなぁ〜。ほらこっち向いてその可愛い姿を見せてくれ」
「え、えぇ〜なんか恥ずかしい」
(なんちゃって……一応ココは恥らう花嫁を演じておかないと……)
「そんな恥ずかしがってないで、さぁ!」
麻子は立ち上がってゆっくりと振り向き、男の方にウェディングドレス姿を披露する。
動くたびにサワサワとスカートが床を引き摺る音や、ドレスのサテン生地のこすれる音が静かに響き渡る。
麻子はそのままゆっくりと顔を上げ男の顔を見た瞬間、驚いて思わず声を上げた。この不細工な顔つきには見覚えがある。
(うっ! この顔は……)
「あ、あなた! もしかしてさっきの助手!」
「うへへぇ〜また逢えたね〜麻子ちゃん!」
それはまさしく麻子……いや誠があの例の機械に掛けられるとき見たオタクのような風貌の助手、上田であった。
「ご免ね、本当はイケメン顔で来る予定だったんだけど、プログラムしてる時間がなくてそのまま来ちゃった……」
「来ちゃったって、あなた……新郎の代役って、まさかあなたなの? ……私てっきり博士自ら来ると思ってた……」
すると上田は表情を変えそのブサイク顔を近付け小声でささやいた。
「ふふふ……実は博士も同じように仮想世界にいるぜ。ただし俺が作った別のシナリオに送ってやった。今頃は刑務所の中で囚人として罪を償ってるんじゃない か?
いいきみだ。変わりに俺が君の相手をさせてもらうよ。うひひ」
「そ、それ……どういうこと?」

上田はポケットから小さなリモコンのようなものを取り出し、あるボタンを押した。
すると前回と同じように周りの従業員の動きが一瞬にして止まった。またしても時間が止まったようだ。
「……これは?」
「へへ、驚いたか? このスイッチ一つで仮想世界のあらゆる操作が出来るんだぜ。こうやってもちろん時間を止めたり、早めたり、話の流れも変えられる。
これでこの世界は俺様が意のままに操れるってもんだ。まさに俺はこの世界では神ってわけだ。うひひひ」
「……いったい何を考えているの?」

「それにしても近くて見るとますます綺麗でカワイイよ麻子ちゃん! ハァハァ……あの野郎がこんな可愛い娘に変身したなんて想像できない
……ますます俺興奮してきたぜ……ハァハァ」
上田は背後からゴツくて大きな手を麻子の肩に掛けると、美しく着飾った麻子の顔にそのブサイク面を近付け、
そして反対の手を麻子の胸元にしのばせドレスの上から胸を触ろうとする。
「ちょ、ちょっと! 何するの! その汚い手どけてよ!」
麻子は上田の厭らしい手を振り払おうするが、逆に自分の細い腕を上田のゴツい手で捉まれてしまう。
「おっと! 抵抗したり反抗するとこのスイッチに手が行くぜ!」
上田は再びリモコンのスイッチに手を掛ける。
「このスイッチ一つで博士に繋がれている機械を暴走させることも出来る。そうすれば博士の命はない」

「そ、そんな……」
「まさに俺はこの世界では神ってわけだ。ひひひ。さぁて今日からめでたく俺たちはれっきとした夫婦になるってわけだ。
もちろん夫婦といっても嘘っぱちだが、そんな事はどうでもいい。うひひ……夫婦になるって事は……ひひ、その意味が解るよね、麻子ちゃん……」
いやらしい目つきで麻子を見つめる上田。


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