本命騒動。

《ハボ編》

「んーいい天気だなオイ」
ハボックは両手に抱えた紙袋を揺すりながら、咥え煙草のまま空を見上げた。
ここ連日続いている事件だわテロだわで、東方司令部はバタバタだ。少尉である自分も例外ではなく、ほぼ不眠不休で働いていた。
特に実働的な仕事が多いハボックは、肉体的疲労が激しく、見かねたホークアイ中尉がシフトを組みなおし、臨時に非番をつくってくれた。

臨時休暇の宣告の時は、いつも常にクールな表情の彼女がうっかり女神様に見えてしまった。
まあ、美貌だけで考えれば十分東方司令部の女神として通るのだが、彼女はいかんせん笑顔が少ない。
とにかくそういった事情で、今日のハボックは軍服を脱ぎ、休日を楽しむただの若者である。
と言っても、結局午前中には目を覚まし、あまりにもいい天気だったので洗濯物を干し、街に食料その他を買出しに出てきたら、すでに昼過ぎだ。ランチは軽く買い物の合間にカフェでとってきたので、帰宅したら今度こそゆっくりしようと心に決める。
明日は午後からの出勤だが、またハードな日々が待っているのだから。

「……んー、でもこんないい天気なら、大佐んトコの洗濯と掃除もしてぇなぁ」
煙草を咥えたままぴこぴこ動かし、彼は一人呟いた。彼の恋人は、彼に輪をかけて多忙を極めている。
ほぼ不眠不休であるこちらに対し、大佐は間違いなく不眠不休で仕事を続けているのだ。
さぼりたくても、休みたくても彼がいないと全てが動かない。
自らが占める重要な位置を認識しているからこそ、彼は今頃必死になって仕事をこなしているだろう。
ここしばらく、プライベートで彼の顔を見ていないな、とふと気がついたのは、自らのアパートの階段を上がり始めてからだ。
ほとんど自らの執務室につめているロイは、おそらくほとんど部屋には戻っていないだろう。
主人のぬくもりを吸収せずにひんやりと冷たくなっているであろうシーツをひっぺがし、太陽の匂いがするふかふかのものと取り替えてやりたい衝動に駆られた。

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